
【教員紹介】佐藤千尋准教授|KMD修士課程一期生から母校の教壇へ
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今回のテーマは「【教員紹介】佐藤千尋准教授|KMD修士課程一期生から母校の教壇へ」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第7回では、KMDの修士課程一期生として学び、その後研究者として経験を積み、現在はKMDで教育・研究に携わる佐藤千尋准教授を紹介します。
佐藤准教授の研究は、サービスデザイン、購買行動、公共空間デザイン、経済地理学など、社会科学とデザインを横断する点に特徴があります。KMDでは先端技術に関する研究が注目されることも多いですが、人が集まる場所や社会活動そのものを研究対象にするアプローチもあります。今回は、佐藤准教授の経歴や研究テーマを通して、社会科学系のバックグラウンドを持つ受験生がKMDでどのような研究を考えられるのか見ていきます。
佐藤千尋准教授はどのような研究者なのか

佐藤千尋准教授の専門分野は、サービスデザイン、購買行動、公共空間デザイン、経済地理学、ベイジアンネットワークなどです。慶應義塾大学経済学部を卒業した後、KMDが開設された当初の修士課程一期生として入学し、その後、博士(メディアデザイン学)の学位を取得しています。
つまり、現在KMDへの進学を考えている受験生と同じように、大学院生としてKMDで研究を始めた経験を持つ教員です。学ぶ側から研究者へ進み、現在は教育する側としてKMDに関わっているという経歴は、教員紹介シリーズの中でも特徴的です。
その後は、米国ニューヨーク大学のサマープログラムでパフォーミングアーツを学び、英国キングスカレッジロンドンでは訪問講師としてデジタル人類学を教えるなど、海外でも教育・研究経験を積んできました。
経済学を出発点にしながら、メディアデザイン、芸術、文化、デジタル人類学などへ関心を広げてきた経歴からも、ひとつの専門領域だけにとどまらない研究姿勢がうかがえます。
情報空間と実空間を結びつけるサービスデザイン
佐藤准教授の研究では、市場、劇場、広場など、人々の経済活動や文化活動、社会活動が行われる場所が重要な対象となっています。そこで、情報空間と実際の空間を融合させながら、新しいサービスや体験のあり方を考えています。
たとえば市場を考える場合、そこには商品を売る人と買う人だけがいるわけではありません。人が移動し、商品を比較し、他者の行動から影響を受け、場所そのものの雰囲気を感じながら意思決定をしています。劇場や広場でも同様に、人と人、人と場所の関係によって体験が生まれます。
こうした場にデジタルな情報やサービスが加わったとき、人の行動がどのように変わるのかを考えることが、情報空間と実空間を融合させる研究につながります。スマートフォンやデジタル表示だけを見るのではなく、それが実際の場所や人間関係とどう結びつくのかまで考える点が重要です。
KMDにおけるメディアは、映像やインターネットだけに限定されるものではありません。人と人、人と社会をつなぐ場や仕組みまで広く考えることで、佐藤准教授の研究テーマも理解しやすくなります。
経済学とデザイン、データ分析を組み合わせる研究

佐藤准教授の専門分野には、購買行動や経済地理学といった経済学・社会科学に近い領域と、公共空間デザインやサービスデザインといったデザイン領域が含まれています。さらに、ベイジアンネットワークという統計的な分析手法も専門としています。
この組み合わせから分かるのは、単に魅力的な空間やサービスを考えるだけではなく、人が実際にどのように行動しているのかをデータから捉えようとしている点です。
たとえば、ある公共空間にサービスを導入した場合、そのサービスを利用した人がどのように行動したのか、場所の使われ方がどのように変化したのかを観察・分析することができます。人間の行動を感覚だけで説明するのではなく、データや社会調査を組み合わせて考えることが、研究として深めるために重要になります。
経済学やマーケティング、社会学などを学んできた受験生にとっても、このような研究の進め方はKMDとの接点を考えるヒントになります。これまで身につけた社会科学の知識を捨ててテクノロジー分野へ移るのではなく、既存の専門性をデザインやデジタル技術と組み合わせるという考え方ができます。
ITOMAプロジェクトから見る場と価値の研究
記事案では、佐藤准教授が率いる研究活動のひとつとして、リアルプロジェクト「ITOMA」が挙げられています。ITOMAでは、贅沢のあり方を模索するというテーマが掲げられており、人の生活や文化、経済活動に関わる価値について考えるプロジェクトとして捉えることができます。
贅沢という言葉も、高価な商品を所有することだけを意味するとは限りません。時間の過ごし方、場所で得られる体験、人との関わりなど、何を豊かだと感じるかは人や社会によって変わります。
市場や劇場、広場といった人の集まる場所を研究してきた佐藤准教授の専門性と、人が何に価値を感じるのかを問い直すテーマには接点があります。サービスデザインを考える際にも、機能を追加することだけでなく、利用する人にとってどのような経験や価値を生み出すのかを考えることが必要です。
KMDへの出願を検討する際には、リアルプロジェクトの名称だけを見るのではなく、担当教員の研究テーマとどのようにつながっているのかまで調べてみると、研究環境をより具体的に理解できます。
KMD一期生という経歴から受験生が考えられること

佐藤准教授の経歴で受験生にとって特に参考になるのは、慶應義塾大学経済学部からKMDへ進学し、その後研究者としてキャリアを築いている点です。
KMDへの進学を考えている方の中には、「情報系や工学系の出身でなければ難しいのではないか」と不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、佐藤准教授の研究は、経済学を背景に持ちながら、サービスデザインや公共空間、データ分析などへ研究領域を広げてきた例です。
重要なのは、出身学部の名称よりも、自分がこれまで何を学び、どのような問題に関心を持ち、その経験をKMDでどのように発展させたいのかを説明できることです。経済学を学んできたのであれば、消費行動や地域経済の視点を生かすことができます。ビジネス経験がある場合も、実際のサービスや顧客行動の中で感じた課題を研究テーマにつなげられる可能性があります。
出願書類や面接では、自分の過去の専門とKMDで取り組みたい研究を別々に説明するのではなく、その間にどのようなつながりがあるのかを整理しておくことが大切です。
まとめ
佐藤千尋准教授は、慶應義塾大学経済学部からKMD修士課程一期生として進学し、博士号取得や海外での教育・研究経験を経て、現在はKMDでサービスデザインなどを研究しています。
市場、劇場、広場といった人々が集う場所を対象に、情報空間と実空間を融合させながら、人の行動やサービス、公共空間のあり方を考えている点が特徴です。また、経済学的な視点、デザインの視点、データ分析を組み合わせていることからも、KMDにおける多分野横断的な研究のひとつの形を見ることができます。
経済学やビジネス、社会科学、芸術・文化などを背景に持つ受験生は、自分の専門がKMDと離れていると考えるのではなく、その知識や経験をどのような新しい研究へつなげられるのかを考えてみてください。自分のこれまでの経験と佐藤准教授の研究との接点を整理することは、研究計画や志望理由、面接準備を具体化する上でも役立ちます。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


