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今回のテーマは「【慶應院試・教授陣】穂刈享教授(協力ゲーム理論・数理経済学)の研究室と『数学の奥底にある本質を見抜く力』」です。
慶應義塾大学大学院への進学を目指している方の中には、ゲーム理論や数理経済学に興味を持っている方もいるのではないでしょうか。
ゲーム理論というと、企業同士の競争や駆け引きを分析する「非協力ゲーム」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際には複数の人や組織が協力して生み出した利益をどのように分配するのかを考える「協力ゲーム理論」という重要な分野も存在します。
その協力ゲーム理論や数理経済学の研究に取り組んでいるのが、慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科の穂刈享教授です。
本記事では、穂刈教授の研究内容や研究室の特徴、そして大学院受験生に求められる資質について解説します。
協力ゲーム理論とは何を研究する学問なのか
穂刈教授の専門分野は、協力ゲーム理論と数理経済学です。
協力ゲーム理論では、複数の主体が協力することで生まれた利益や成果を、どのように分配するのが公平で合理的なのかを考えます。
例えば、共同研究によって大きな成果が生まれた場合、その成果を誰にどの程度配分するべきなのか。あるいは複数の自治体が共同で事業を行った場合、費用負担をどのように決めるべきなのか。
こうした問題は現実社会でも頻繁に発生します。
協力ゲーム理論は、そのような場面で望ましい配分ルールや意思決定ルールを数学的に分析する学問です。
公理的分析から社会のルールを考える
穂刈教授の研究の特徴は、「公理的分析」と呼ばれるアプローチにあります。
公理的分析とは、ある制度やルールに対して「公平性」「効率性」「対称性」といった望ましい条件を設定し、その条件を満たす制度が存在するのかを論理的に検討する方法です。
一見すると抽象的に感じるかもしれませんが、実際には選挙制度や投票制度、利益配分のルールなど、私たちの社会に深く関わるテーマにつながっています。
また、この研究分野は社会的選択理論とも密接に関係しています。
社会的選択理論は、個人の意見や選好をどのように集約して社会全体の意思決定を行うかを研究する分野であり、経済学だけでなく政治学や公共政策にも大きな影響を与えています。
未解決問題に挑み続ける研究者
穂刈教授は、協力ゲーム理論について「研究者の数は決して多くないが、重要な未解決問題が数多く残されている魅力的な分野」と語っています。
経済学の中には、多くの研究者が取り組み、研究が成熟している分野もあります。
一方で、協力ゲーム理論にはまだ解明されていない理論的課題が数多く存在しています。
穂刈教授はそうした未解決問題に真正面から取り組み、国際的な学術誌でも研究成果を発表しています。
流行に流されるのではなく、本質的な問いにじっくり向き合う研究スタイルは、大学院で研究を行ううえで大きな刺激になるでしょう。
ロチェスター大学で博士号を取得した理論経済学者
穂刈教授は京都大学経済学部を卒業後、アメリカのロチェスター大学で経済学博士号(Ph.D.)を取得しています。
ロチェスター大学は理論経済学やゲーム理論の分野で世界的に知られる大学です。
その環境で最先端の理論研究を学び、現在も国際的な研究活動を続けています。
また、教授は経済学だけにとどまらず、物理学や高度な数学にも強い関心を持っています。
一般相対性理論を理解するために微分幾何学やテンソル解析を学び直したというエピソードからも、純粋な知的好奇心の強さが伝わってきます。
数学の本質を理解することが重要
ゲーム理論や数理経済学というと、高度な数学が必要な分野という印象を持つ方も多いでしょう。
実際に大学院レベルになると、線形代数や解析学、最適化理論などの数学的知識は必要になります。
しかし穂刈教授は、「大切なのは数学の本質を理解すること」だと述べています。
難しい数式を機械的に扱うだけではなく、その数式が何を意味しているのかを理解することが重要なのです。
これは大学院受験にも共通する考え方です。
単に参考書の解法を暗記するのではなく、その理論がなぜ成り立つのかを理解している受験生ほど、研究者として大きく成長していきます。
穂刈研究室に向いている人
穂刈教授の研究室に向いているのは、次のようなタイプの方です。
- ゲーム理論に興味がある
- 数学的な思考が好き
- 論理的に物事を考えるのが得意
- 公平性や制度設計に関心がある
- 未解決問題に挑戦したい
- 理論研究にじっくり取り組みたい
特に、「なぜそのルールが公平なのか」「どのような条件なら合理的と言えるのか」といった本質的な問いに興味を持てる人には非常に魅力的な研究環境だと思います。
研究計画書では何をアピールするべきか
穂刈教授を志望する場合、研究計画書では理論研究への関心を明確に示すことが重要です。
例えば、資源配分や費用負担、投票制度、協力関係の形成などをテーマに設定し、それらをどのような理論モデルで分析したいのかを具体的に説明すると良いでしょう。
また、「なぜその問題に興味を持ったのか」「どのような未解決の課題があると考えているのか」を論理的に整理することも大切です。
大学院では正解のある問題を解くだけではなく、自ら問いを立てる力が求められます。
その姿勢を研究計画書で示すことができれば、高く評価される可能性があります。
まとめ
穂刈享教授は、協力ゲーム理論と数理経済学を専門とし、公平な配分や社会の意思決定ルールを数学的に分析している研究者です。
ロチェスター大学で博士号を取得し、未解決問題に挑み続ける理論経済学者として国際的に研究活動を行っています。
研究室では高度な数学も扱いますが、それ以上に重要なのは「本質を理解しようとする姿勢」です。
ゲーム理論や数理経済学に興味があり、論理的思考力を磨きたい方にとっては非常に魅力的な研究環境と言えるでしょう。
興味を持った方は、ぜひ穂刈教授の論文や研究内容を調べ、自分自身の研究テーマとの接点を探してみてください。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。研究内容や担当科目、入試制度等は変更される場合があります。必ず慶應義塾大学大学院の公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


