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今回のテーマは「佐藤空教授(経済・社会思想史)と『18世紀の思想から多文化共生を問う力』」です。


慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。

これまでの連載では、データサイエンスや計量分析、ミクロ・マクロ経済学など、数式やデータを活用した研究を数多く紹介してきました。しかし、人間社会の本質は、それだけで説明しきれるものなのでしょうか。

私たちがどのように共生し、どのような社会を築くべきなのかという問いは、数値化だけでは捉えきれない側面を持っています。

そうした「人間社会の根本」を、思想史という視点から探究しているのが、経済学部および経済学研究科で教授を務める佐藤空教授です。

本記事では、18世紀イギリス思想を起点に現代社会を読み解く佐藤教授の研究と、研究室で求められる思考力について整理していきます。


18世紀イギリス思想から「共感」と「社会」を読み解く

佐藤教授の専門分野は、「経済思想史」「社会思想史」、特に18世紀後半のイギリス社会経済思想です。

18世紀のイギリス、特にスコットランド啓蒙の時代は、現代経済学や社会科学の基盤が形成された非常に重要な時代でした。

アダム・スミスをはじめとする思想家たちは、「市場」だけでなく、「人間とは何か」「社会はなぜ成り立つのか」といった根本的なテーマを考えていました。

佐藤教授の研究の特徴は、そうした古典思想を単なる歴史として扱うのではなく、「共感」「慣習」「暗黙知」「時間」といったキーワードを通して、現代社会の問題と結びつけている点にあります。

特に、グローバル化が進む現代社会において、多文化共生や社会的分断をどのように考えるべきかというテーマは、思想史研究とも深く結びついています。

合理性や効率性だけでは説明できない、人間社会の複雑さを見つめ直す研究と言えるでしょう。


スコットランド留学で培われた多文化共生への視点

佐藤教授は大学院時代にスコットランドへ留学し、多国籍の人々が集まる環境の中で研究生活を送っています。

その経験を通して、現代社会における「多文化共生」の問題について深く考えるようになったと語っています。

思想史研究というと、古い文献をひたすら読むイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際には、過去の思想を通して、現代の社会問題を考える非常に実践的な学問でもあります。

例えば、「異なる価値観を持つ人々はどう共存できるのか」「共感とは何か」「社会秩序はどのように維持されるのか」といった問いは、現代の国際社会でも重要なテーマです。

佐藤教授の研究には、こうした現代社会への強い問題意識が流れています。


思想史研究で求められる力とは

大学院入試において佐藤教授の研究室を志望する場合、単なる暗記型の勉強では対応できません。

まず必要になるのは、原典を読み込む力です。

18世紀の思想家たちの文献を丁寧に読み、その時代背景や社会構造を理解した上で、自分なりの解釈を組み立てる必要があります。

また、思想史研究では「現代との接続」が非常に重要です。

単に「昔の思想家はこう言っていた」で終わるのではなく、その思想が現代社会にどのような意味を持つのかを考える必要があります。

例えば、多文化共生、グローバル化、社会的分断、アイデンティティの問題など、現代社会の課題と思想史をどう結びつけるのかが問われます。

抽象的な概念を論理的に整理し、自分の言葉で説明する力も重要になります。


研究計画書で意識したいポイント

佐藤教授の研究室を志望する場合、研究計画書では「思想史」と「現代社会」をどう接続するかが大きなポイントになります。

まず、自分の研究が「経済思想史」や「社会思想史」に属することを明確に示す必要があります。

その上で、アダム・スミスやエドマンド・バークなど、具体的な思想家や時代を研究対象として設定すると説得力が増します。

また、「共感」「慣習」「暗黙知」といった、人間社会の非数値的な側面をどう捉えるのかという視点も重要です。

さらに、その研究が現代社会にどのような示唆を与えるのかを説明できると、研究計画として深みが出ます。

例えば、多文化共生、グローバル社会、社会的分断など、現代的な課題と結びつけることで、思想史研究の意義をより強く示すことができます。


まとめ:思想から現代社会を問い直す

佐藤空教授の研究は、18世紀の思想を通して、現代社会の根本的な問題を問い直そうとする点に大きな特徴があります。

データや数式だけでは説明できない、人間社会の複雑さや共生のあり方を探究する姿勢は、現代社会においてますます重要になっています。

また、思想史研究は単なる「過去の勉強」ではありません。

むしろ、過去の思想を通して現代社会を見つめ直し、新しい視点を得るための学問です。

「効率や合理性だけでは割り切れない人間社会を深く考えたい」「思想や歴史を通して現代社会を読み解きたい」という方にとって、佐藤教授の研究室は非常に魅力的な環境と言えるでしょう。

興味のある方は、ぜひ佐藤教授の研究や思想史関連の文献に触れ、自分自身の問いを深めてみてください。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の研究内容や募集要項については、必ず公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。