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今回のテーマは法学研究科の筆記試験は何を見ているのかです。


「論文は書けたのに落ちた」人が一番戸惑う試験

法学研究科の受験後、
毎年のように聞く声があります。

  • 論文は時間内に書けた
  • 論点も一通り拾った
  • 大きなミスはしていない

それでも、不合格。

このとき多くの人は、

もっと細かい知識が必要だったのでは
判例をもっと覚えるべきだったのでは

と考えます。

しかし、結論から言います。

法学研究科の筆記試験で見られているのは、
「どれだけ書けたか」ではなく
「研究として考えられているか」です。


法学研究科の筆記試験の役割

まず前提として、
法学研究科の筆記試験は、

  • 学力順位をつける試験
    ではありません。

役割は明確です。

研究を進めるための基礎的な法学思考があるか

これを確認するための試験です。

そのため、

  • 満点を取る必要はない
  • すべての論点を書く必要もない

という点を理解していないと、
対策がズレていきます。


筆記試験で見られている3つの視点

法学研究科の筆記試験では、
主に次の3点が見られています。

  1. 法学的な思考構造を理解しているか
  2. 条文・判例・学説を使って論理を組み立てられるか
  3. 研究計画書と大きく矛盾していないか

この3つは、
すべて「研究につながる力」です。


① 法学的思考構造が理解できているか

法学研究科の筆記試験で最も重視されるのは、

思考の型が身についているか

という点です。

  • 問題設定
  • 規範提示
  • あてはめ
  • 結論

この流れを、

  • 機械的に
    ではなく
  • 意味を理解して

使えているかが見られます。


「論点を全部拾う」必要はない

多くの受験生が、

  • 論点を漏らさない
  • すべて触れる

ことを意識しすぎます。

しかし法学研究科では、

すべての論点に触れている答案
より
一つの論点を深く考えている答案

の方が評価されることも多いです。

理由は明確です。

研究では、
網羅性より思考の深さが重要

だからです。


② 条文・判例・学説の「使い方」が見られている

筆記試験で評価されるのは、

  • 判例名を覚えているか
  • 学説をたくさん知っているか

ではありません。

評価されるのは、

なぜその条文・判例・学説を使うのか

が説明できているかです。

  • 通説だから
  • 有名だから

という使い方は、
評価につながりません。


「正解を書こう」とする答案が弱くなる理由

法学部までの試験では、

  • 通説を書く
  • 判例に従う

ことが安全でした。

しかし法学研究科では、

通説を書くこと
= 高評価

ではありません。

  • 通説の前提
  • 通説の限界

に触れられる答案は、

研究的視点がある

と評価されます。


③ 研究計画書との整合性

受験生がほとんど意識していないのが、
この点です。

法学研究科の筆記試験は、

  • 出願書類
  • 面接

切り離されて評価されていません。

教員は無意識に、

この答案は、
この人の研究テーマと
つながっているか

を見ています。

  • 研究計画が解釈論なのに
    政策論ばかり書いている
  • 基礎法志望なのに
    事例処理一辺倒

こうしたズレは、
評価を下げる要因になります。


落ちやすい答案の典型パターン

法学研究科で評価が伸びない答案には、
共通点があります。

  • 結論が先に来る
  • 理由づけが弱い
  • 条文・判例の位置づけが曖昧

これらはすべて、

思考のプロセスが見えない

と判断されます。


社会人受験生が特に注意すべき点

社会人受験生は、

  • 実務感覚
  • 現場感

を活かしたくなります。

しかし筆記試験では、

実務的に妥当か
ではなく
理論的に説明できるか

が評価基準です。

  • 実務ではこうする
    だけでは、評価されません。

筆記試験対策でやるべきこと・やらなくていいこと

やるべきこと

  • 思考プロセスを言語化する練習
  • 条文・判例の「意味」を理解する
  • 研究テーマと結びつけて考える

やらなくていいこと

  • 判例・学説の丸暗記
  • 論点コレクション
  • 時間内に書く練習だけに偏ること

筆記試験は「研究の入口」

最後に、最も重要な視点を伝えます。

法学研究科の筆記試験は、

  • 落とすための試験
    ではなく
  • 研究ができるかを確認する試験

です。

  • 完璧でなくていい
  • 深く考えていればいい

この姿勢が伝わる答案は、
必ず評価されます。


まとめ

法学研究科の筆記試験で見られているのは、

  • 知識量
    ではなく
  • 法学的思考の質

です。

  • 思考の型を理解しているか
  • 条文・判例を材料として使えているか
  • 研究計画と矛盾していないか

この3点を意識することで、
筆記試験対策の方向性は大きく変わります。

次回は、
法学研究科における外国語(英語・独語・仏語等)の位置づけ
を解説します。

ここで、
「語学はどこまで必要か」を
はっきりさせます。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。