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今回のテーマは、法学研究科で評価される研究テーマの作り方です。


「テーマはあるのに落ちる」人が後を絶たない理由

法学研究科の受験では、
次のような相談が非常に多く寄せられます。

  • テーマ自体は悪くないと言われた
  • 関心は評価されたと思う
  • でも結果は不合格だった

このとき多くの人は、

もっと難しいテーマにすべきだったのか
斬新さが足りなかったのか

と悩みます。

しかし、結論は違います。

法学研究科で落ちるテーマの多くは、
「レベルが低い」のではなく
「研究として立ち上がっていない」だけです。


法学研究科における「良いテーマ」とは何か

まず前提として押さえておくべきことがあります。

法学研究科で評価されるテーマとは、

  • 面白そうなテーマ
  • 社会的に重要なテーマ

ではありません。

評価されるのは、

法学的に問いとして成立しているテーマ

です。

つまり、

  • 何が問題なのか
  • どこが未解決なのか
  • なぜそれを法学で扱うのか

が明確になっているテーマです。


テーマ作りで最初にやるべきこと

多くの受験生は、
いきなりテーマ名を考えようとします。

しかし、これは順番が逆です。

まずやるべきなのは、

「どこに引っかかっているのか」を言語化すること

です。

  • この判例のどこに違和感があるのか
  • この通説の前提は本当に妥当か
  • なぜ議論が分かれているのか

この違和感こそが、
研究テーマの原点になります。


評価されるテーマ①「問いの形になっている」

評価される研究テーマは、
必ず「問い」の形をしています。

たとえば、

  • ○○制度の問題点
  • △△判例の検討

というテーマは、
一見それらしく見えますが弱いです。

評価されるのは、

  • ○○制度は、どの点で理論的に問題があるのか
  • △△判例は、どの規範構造に修正を迫っているのか

というように、

答えが一つに決まらない問い

が立っているテーマです。


落ちやすいテーマ①「結論ありき」

よくある失敗が、

  • この解釈が正しい
  • この立場を支持したい

という結論からテーマを作ってしまうことです。

この場合、

  • なぜそれが問題になるのか
  • 他の立場はなぜ否定されるのか

が弱くなり、

主張文
意見文

に見えてしまいます。

法学研究科では、

結論を導く過程そのもの

が研究対象です。


評価されるテーマ②「先行研究とのズレが明確」

良い研究テーマには、

  • 先行研究がどこまでやっていて
  • どこがまだ十分でないか

が必ず組み込まれています。

  • 通説は何を前提にしているのか
  • 少数説はどこに疑問を投げているのか

この整理ができているテーマは、

なぜ今、この研究が必要なのか

が自然に伝わります。


落ちやすいテーマ②「射程が広すぎる」

  • 憲法と行政法を横断する
  • 日本法と外国法をすべて扱う
  • 歴史から現代まで追う

意欲的ではありますが、
修士研究としては危険です。

法学研究科では常に、

2年間で書き切れるか

が評価基準になります。

広すぎるテーマは、

最後までたどり着けない研究

と判断されやすくなります。


評価されるテーマ③「研究範囲が切れている」

評価されるテーマには、

  • 条文
  • 判例
  • 時代
  • 国・法体系

のどこかに、
明確な区切りがあります。

  • この条文に限定する
  • この判例以降を扱う
  • 日本法に絞る

こうした制限は、

研究の弱さ
ではなく
研究としての強さ

です。


社会人受験生のテーマで注意すべき点

社会人受験生の場合、

  • 実務での問題意識
  • 現場での違和感

をテーマにしたくなります。

これは悪いことではありません。

ただし、

  • 現場では困っている
    だけで終わると、

実務報告

になってしまいます。

評価されるのは、

実務経験を
法学的な問いに
変換できているか

です。


テーマは「完成」していなくていい

最後に、非常に大事なことを伝えます。

法学研究科の受験時点で、

  • 完成したテーマ
  • 結論が出ているテーマ

は、必要ありません。

必要なのは、

研究として正しい方向を向いているテーマ

  • 問いが立っている
  • 方法が見えている
  • 範囲が現実的

これが揃っていれば、
テーマは入学後に洗練されていきます。


まとめ

法学研究科で評価される研究テーマは、

  • 面白さ
  • 社会性

ではなく、

  • 問いの構造
  • 先行研究との関係
  • 研究範囲の現実性

で決まります。

テーマ選びは、
法学研究科入試の最重要工程の一つです。

次回は、
法学研究科の先行研究レビューで見られている視点
を解説します。

ここで、
「文献を読んでいるのに評価されない理由」を
はっきりさせます。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。