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今回のテーマは、社会学研究科の先行研究レビューで見られている視点です。
先行研究レビューで落ちる人は「読んでいない」のではない
社会学研究科の不合格者の多くが、
口をそろえてこう言います。
- 文献はかなり読んだ
- 有名な研究は一通り押さえた
- 参考文献もたくさん挙げた
それでも評価は伸びない。
ここで起きている問題は明確です。
「読んでいる」と「レビューできている」は別
社会学研究科で見られているのは、
読書量ではありません。
社会学研究科における先行研究レビューの役割
まず前提を整理します。
社会学研究科における先行研究レビューは、
- 知識披露
- 勉強してきた証拠
ではありません。
本来の役割は、
自分の研究が、
どこに位置づくのかを示すこと
です。
- 何が分かっているのか
- 何がまだ分かっていないのか
- だから自分は何をやるのか
この流れを作るために、
先行研究レビューがあります。
評価されるレビューは「整理」されている
社会学研究科で評価される先行研究レビューには、
明確な共通点があります。
それは、
研究を「並べて」いない
という点です。
- Aはこう言っている
- Bはこう主張している
- Cはこう分析している
これだけでは、
評価は上がりません。
見られている視点①「研究の流れを掴めているか」
評価されるレビューでは、
- 研究がどのように発展してきたか
- どこで議論が分かれているか
が整理されています。
つまり、
研究史的な流れ
を理解しているかが見られています。
細かい年代や著者名よりも、
- どんな論点が
- どう変化してきたか
この把握が重要です。
見られている視点②「対立点・論点が見えているか」
社会学研究科では、
対立構造のないレビュー
は、ほぼ評価されません。
- AとBはどこが違うのか
- 何をめぐって議論しているのか
ここが示されていないと、
ただ読んでいるだけ
と判断されます。
NGになりやすいレビュー①「要約の羅列」
最も多い失敗です。
- 各論文の要点をまとめる
- 内容を丁寧に説明する
一見、真面目ですが、
研究としての整理がない
状態です。
社会学研究科では、
- 要約の正確さ
よりも - 論点の配置
が評価されます。
見られている視点③「未解決点を見つけているか」
先行研究レビューで最も重要なのは、
まだ解かれていない部分を示せているか
です。
- どこまで分かっているか
ではなく - どこが十分に検討されていないか
ここを言語化できると、
評価は一気に安定します。
NG②「新規性を無理に作ろうとする」
よくある失敗が、
- 先行研究は間違っている
- これまで誰もやっていない
と強調しすぎることです。
社会学研究科では、
先行研究を否定する姿勢
は、必ずしも評価されません。
評価されるのは、
- 先行研究の前提
- 研究条件の違い
を丁寧に示すことです。
見られている視点④「自分の研究との接続」
評価されるレビューでは、
必ず次の問いに答えています。
だから、自分は何をするのか
- この研究を踏まえて
- この限界を受けて
- この点を検討する
この接続がないレビューは、
読書感想文
に近づいてしまいます。
社会学研究科で評価されるレビュー構造(例)
評価されやすい構造を、
シンプルに示します。
- 研究領域全体の整理
- 主な論点・対立の整理
- 既存研究の限界
- 自分の研究の位置づけ
この4点が揃っていれば、
文献数は多くなくても十分です。
文献数はどれくらい必要か
よく聞かれる質問です。
結論から言うと、
数より配置
です。
- たくさん挙げているが整理されていない
- 少数でも位置づけが明確
後者の方が、
圧倒的に評価されます。
社会人受験生のレビューで多い失敗
社会人受験生に多いのが、
- 実務的な文献に偏る
- 問題提起型の記事が中心
というケースです。
しかし社会学研究科では、
研究としての議論
が求められます。
- 学術論文
- 理論的検討
との接続が不可欠です。
面接でレビューはどう使われるか
面接では、
- どんな文献を読んだか
- その研究は何を示しているか
がよく聞かれます。
ここで、
- 要約だけ
- 名前だけ
だと、すぐに分かります。
評価されるのは、
その研究を、
自分の研究にどう使っているか
です。
先行研究レビューは「研究の地図」
最後に、
最も大切な考え方を伝えます。
社会学研究科における先行研究レビューは、
研究の地図
です。
- どこに何があり
- どこが空いていて
- どこへ向かうのか
この地図が描けていれば、
研究は自然と評価されます。
まとめ
社会学研究科の先行研究レビューで見られているのは、
- 読書量
- 知識の多さ
ではありません。
- 論点整理
- 対立構造
- 未解決点
- 自分の研究との接続
この4点です。
先行研究レビューは、
研究計画書の中核です。
次回は、
社会学研究科における指導教員の選び方と注意点
を解説します。
ここで、
「誰のもとで研究するか」が
なぜ重要なのかを整理します。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


