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今回のテーマは
薬学研究科における『研究』と『実験計画』の正しい関係です。

薬学研究科の受験生、とくに実験経験が豊富な人ほど、
次のような状態に陥りやすくなります。

  • 研究計画書=実験計画だと思っている
  • 実験が組めていれば研究は成立していると感じている
  • 「何をするか」は説明できるが「何を問うか」が曖昧

これは能力の問題ではなく、
研究と実験の役割を取り違えてしまっていることが原因です。


1. 薬学研究科で起きやすい「実験=研究」誤解

薬学研究科は、
実験を中心に研究が進む分野です。

そのため多くの受験生が、

  • 実験ができる
  • 手法を理解している
  • プロトコルを組める

=研究ができる
と無意識に考えてしまいます。

しかし大学院入試で評価されるのは、

  • 実験の上手さ
    ではなく
  • 実験を使って何を検討しようとしているか

という、研究としての構造です。


2. 研究は「問い」、実験は「検証手段」

研究と実験の関係を一言で整理すると、

  • 研究:問いを立てる行為
  • 実験:問いを検証する手段

という関係になります。

ところが落ちる計画書では、

  • 実験内容 → 目的 → 背景

という、順序が逆転した構成になっていることが多く見られます。

評価される計画書では、

  1. 何が分かっていないのか
  2. だから何を問いとして立てるのか
  3. その問いを検討するために、なぜこの実験が必要なのか

という流れが明確です。


3. 実験依存型計画書の典型パターン

薬学研究科で評価を落としやすいのが、
次のような実験依存型の研究計画書です。

  • 実験をすれば何か分かるはず
  • 結果を見てから考える
  • 成功したデータを前提にしている

このタイプの計画書は、

  • 仮説が弱い
  • 研究としての見通しが立っていない
  • 指導による発展余地が見えない

と判断されやすくなります。


4. 評価される研究計画は「仮説が先にある」

評価される薬学研究科の研究計画書では、
必ず次の点が整理されています。

  • 既存研究からどんな疑問が生じるのか
  • その疑問に対する仮説は何か
  • その仮説をどう検討するのか

実験は、

  • 仮説を支持するか
  • 別の解釈を示すか

を検討するために位置づけられています。

実験が研究を引っ張るのではなく、
研究が実験を要請している

という関係が成立しているかが重要です。


5. 「実験が失敗したら終わる研究」は危険

研究計画書でよくある危険な設計が、

  • 実験が成功すれば意味がある
  • 失敗したら研究にならない

という構造です。

修士研究では、

  • 想定と違う結果が出る
  • 仮説が支持されない

ことは、珍しくありません。

評価される計画書は、

  • 結果が想定と違った場合でも
  • 何が言えるのか

まで含めて、
研究としての筋道が描かれています。


6. 修士研究としての現実性も同時に見られている

薬学研究科では、

  • 実験量が多すぎないか
  • 条件が複雑すぎないか
  • 2年間で完結するか

といった、研究の現実性も重要な評価ポイントです。

実験を詰め込みすぎると、

  • 研究の焦点がぼやける
  • 仮説検証が曖昧になる

という問題が起こりやすくなります。


まとめ 薬学研究科で評価されるのは「実験力」ではなく「研究構造」

薬学研究科の大学院入試で評価を分けるのは、

  • 実験経験の量
  • 技術的な高度さ

ではありません。

評価されるのは、

問い → 仮説 → 実験
が、研究として一貫した構造を持っているか
という一点です。

実験は強力な武器ですが、
使い方を誤ると研究を壊してしまいます。

研究が先、実験は後。
この順序を守れるかどうかが、
薬学研究科合格への重要な分岐点になります。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。