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今回のテーマは「三嶋恒平教授(工業経済論・国際経営論)の研究室と「新興国の現場から企業成長のリアルを解き明かす力」」です。
慶應義塾大学大学院への進学を目指している皆さん。
近年、東南アジアやインドをはじめとする新興国では急速な経済成長が続いています。多くの日本企業や欧米企業が進出し、工場や研究拠点を設立しています。
こうした海外直接投資(FDI)は、新興国の経済発展を後押しする重要な要素とされています。しかし、外資系企業が進出しただけで、現地企業は自動的に成長するのでしょうか。
技術やノウハウは本当に自然に広がるのでしょうか。それとも、企業側の努力や学習がなければ成長は難しいのでしょうか。
こうした問いに真正面から向き合っているのが、慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科の三嶋恒平教授です。
本記事では、三嶋教授の研究内容や研究室の特徴、大学院受験生が研究計画書を作成する際のポイントについて解説します。
工業経済論と国際経営論から新興国を分析する
三嶋教授の専門分野は、工業経済論、中小企業論、国際経営論です。
研究の中心にあるのは、新興国における産業発展の仕組みを明らかにすることです。
特に注目しているのが、海外直接投資が現地企業に与える影響です。
海外企業が進出することで、新しい技術や経営ノウハウが持ち込まれます。しかし、それらがどのように現地企業へ伝わり、競争力向上につながるのかは簡単な問題ではありません。
三嶋教授は、このプロセスを実証的に分析し、新興国企業の成長メカニズムを明らかにしようとしています。
タイの自動車産業を中心とした研究
三嶋教授の代表的な研究対象の一つが、タイの自動車産業です。
タイは東南アジア有数の自動車生産拠点として知られており、多くの日系企業が進出しています。
教授は、自動車産業や二輪車産業を対象に、外資系企業と現地企業の関係性を詳しく調査しています。
なぜタイは産業集積に成功したのか。
現地企業はどのように技術を学び、成長してきたのか。
こうした問いを通じて、新興国の産業発展の実態を解き明かしています。
また、研究対象はタイだけではありません。
インド企業の成長プロセスや、日本企業の新興国戦略についても研究を進めています。
特に新興国市場における企業競争や経営戦略を分析する研究は、国際経営を学びたい学生にとって非常に参考になります。
スピルオーバー効果の常識に挑む研究
経済学では、外資系企業が進出すると技術や知識が周辺企業へ波及する「スピルオーバー効果」が期待されることがあります。
しかし三嶋教授は、この考え方を現場の視点から検証しています。
教授の研究によれば、重要な技術やノウハウは自然に手に入るものではありません。
現地企業が成長するためには、自ら学び、投資し、技術を吸収する努力が必要になります。
つまり、外資系企業が存在するだけでは十分ではなく、受け手側の能力や行動も重要だということです。
この考え方は、新興国の産業政策だけでなく、企業経営にも大きな示唆を与えています。
現場主義を貫くフィールドワーク
三嶋教授の研究の大きな特徴は、現場を重視している点です。
教授はタイの自動車部品企業を対象に大規模なアンケート調査を実施し、企業データや財務データを分析しています。
さらに、企業経営者や技術者へのインタビューも積極的に行っています。
現地企業だけでなく、技術指導を行う日本人技術者などにも調査を実施し、多角的な視点から分析を行っています。
机上の理論だけではなく、現場で得られた情報をもとに研究を進めるスタイルは、三嶋教授の大きな強みといえるでしょう。
大学院で求められる力
三嶋教授の研究室を目指す場合、産業や企業への関心はもちろん、国際経済や経営学への理解も重要になります。
また、企業行動を分析するためには、データ分析の基礎知識も必要です。
さらに、現場に足を運び、自ら情報を収集する姿勢も求められます。
企業や産業の成長を分析するためには、統計データだけでなく、現地調査やインタビューから得られる情報も欠かせません。
理論と実践を結びつけながら研究を進めたい人に向いている研究室といえるでしょう。
研究計画書で意識したいポイント
三嶋教授を志望する場合、研究計画書では国際経営や産業発展への関心を具体的に示すことが重要です。
例えば、以下のようなテーマが考えられます。
- 新興国における産業集積の形成要因
- 海外直接投資が地場企業へ与える影響
- 日系企業の新興国戦略
- 技術移転と企業の学習プロセス
- 中小企業の国際競争力向上
- 東南アジアの自動車産業の発展要因
- 企業の吸収能力と成長の関係
研究テーマを考える際には、「企業はなぜ成長するのか」という根本的な問いを意識するとよいでしょう。
また、アンケート調査やインタビュー調査など、どのような方法で研究を進めるのかまで考えられると説得力が増します。
企業成長のリアルを学ぶ研究室
経済成長やグローバル化について語るとき、私たちは大きな統計データばかりに目を向けがちです。
しかし、その裏側には、一社一社の企業の努力や学習があります。
三嶋教授の研究は、まさにそうした企業の現場に目を向けています。
新興国の工場や企業の中で何が起きているのか。
企業はどのように知識を吸収し、競争力を高めているのか。
こうした問いを追究することで、産業発展の本質に迫ろうとしています。
国際経営や新興国研究に興味がある方にとって、非常に魅力的な研究分野といえるでしょう。
まとめ
三嶋恒平教授は、工業経済論、中小企業論、国際経営論を専門とし、新興国における産業発展や企業成長のメカニズムを研究している研究者です。
タイの自動車産業をはじめとする豊富なフィールドワークを通じて、海外直接投資や技術移転の実態を明らかにしています。
また、企業の学習や投資の重要性に注目し、現場に根ざした実証研究を行っている点も大きな特徴です。
国際経営、産業発展、新興国研究、企業成長の仕組みに関心がある方は、ぜひ三嶋教授の研究や論文を確認してみてください。
研究計画書を作成する際には、自分自身がどのような企業や産業の成長を明らかにしたいのかを具体的に考えることが大切です。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。研究内容や担当科目、入試制度等は変更される可能性があります。出願を検討される際は、必ず慶應義塾大学大学院の公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


