経営者はなぜ「脱税」や「利益操作」をするのか?村上裕太郎教授がゲーム理論で解き明かす会計と人間のリアル
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今回のテーマは「経営者はなぜ『脱税』や『利益操作』をするのか?村上裕太郎教授がゲーム理論で解き明かす会計と人間のリアル」です。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)への進学を目指す皆さんを応援する教員紹介シリーズ。今回は、分析的会計研究と税務会計を専門とする村上裕太郎教授をご紹介します。
会計や税務というと、ルールに従って数字を処理する堅い学問というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、村上教授の研究はそうしたイメージとは少し異なります。
なぜ経営者は利益を大きく見せたがるのか。なぜ不正会計や過度な節税が起こるのか。制度やルールが変わると人の行動はどう変化するのか。
村上教授はこうした問いに対して、ゲーム理論や契約理論を用いて論理的にアプローチしています。数字の裏側にある人間の心理や行動原理を解き明かそうとする研究は、経営学の中でも非常に興味深い分野です。
経済学を基盤に会計研究へ挑んだ研究者
村上教授は上智大学経済学部を卒業後、大阪大学大学院経済学研究科へ進学し、博士(経済学)を取得されています。
その後、名古屋商科大学を経て、慶應義塾大学大学院経営管理研究科へ着任されました。長年にわたり、会計学と経済学を融合した研究に取り組み、現在は教授として教育と研究の両面で活躍されています。
経済学で培った理論的な分析力を活かしながら、企業経営の現場で起こる会計行動や税務戦略を研究するというスタイルは、KBSらしい実践性と学術性の融合を象徴しています。
なぜ経営者は利益操作や脱税を行うのか
村上教授の研究テーマの中でも特に興味深いのが、「経営者はなぜ不正な行動をとるのか」という問いです。
企業の経営者には、利益を増やしたい、株価を上げたい、投資家から良い評価を得たいといった強い動機があります。
その結果、本来あるべき姿よりも業績を良く見せようとしたり、税負担を減らそうとしたりする行動が生まれることがあります。
もちろん多くの企業は適切に経営されていますが、過去には世界中で不正会計や脱税事件が発生してきました。
村上教授は、こうした行動を単なる倫理の問題として片付けるのではなく、「なぜそのような行動を選択するのか」という行動原理に注目しています。
そして、その分析に活用されるのがゲーム理論や契約理論です。
人はどのようなルールの下で行動するのか。どのような報酬や評価制度があれば適切な行動を選ぶのか。こうした問題を理論的に解明することで、より良い制度設計を目指しているのです。
制度が変わると人はどう動くのか
村上教授の研究の大きな特徴は、「制度変更の影響を事前に予測する」という点にあります。
例えば税制改正や会計基準の変更が行われた場合、企業や経営者はどのような反応を示すのでしょうか。
新しいルールを導入した結果、想定外の問題が発生することもあります。
そのため、制度を実施する前に理論モデルを用いて人々の行動を予測することは非常に重要です。
現実の社会では、一度導入した制度を簡単に元へ戻すことはできません。
だからこそ、ルールを変更する前の段階で、その効果や副作用を分析する必要があります。
村上教授は、このような事前分析こそ理論研究の大きな価値であると考えています。
これは企業経営にも共通する考え方です。新しい制度や組織改革を行う際には、人がどのように反応するかを予測する力が求められます。
税務を経営戦略として考える
KBSでは、村上教授が「会計管理」や「タックス・プランニング」などの授業を担当されています。
ここで学ぶ税務は、単なる税金の計算方法ではありません。
企業価値を高めるために税務をどのように活用するかという、経営戦略としての税務です。
企業活動において税金は大きなコストです。
そのため、法律の範囲内で適切に税負担を管理することは経営上重要なテーマになります。
一方で、行き過ぎた節税や不適切な会計処理は企業の信頼を損なうリスクがあります。
つまり、企業経営には「攻め」と「守り」の両方が必要なのです。
村上教授の授業では、このバランスをどのように考えるべきかを理論と実務の両面から学ぶことができます。
数字の裏にある人間のインセンティブを理解する
村上教授の研究は、会計や税務だけにとどまりません。
会計情報が人の行動にどのような影響を与えるのか、評価制度や報酬制度がどのようにモチベーションを変えるのかといったテーマにも取り組まれています。
企業の数字は単なる結果ではありません。
その数字の裏には、人々の判断や行動、期待や不安といった人間らしい要素が存在しています。
だからこそ、会計を理解するためには、人間そのものを理解する必要があります。
この視点は、将来経営者や管理職を目指す人にとって非常に重要です。
数字を見るだけではなく、その数字を生み出した人間の行動まで考えられるようになることで、より質の高い意思決定ができるようになります。
KBSで学ぶ意義とは
KBSが掲げるミッションは、「新たな構想を作り実現するリーダーを育成すること」です。
そのためには、経営戦略やマーケティングだけでなく、人間の行動原理や制度設計についても深く理解する必要があります。
村上教授の研究は、まさにそのための思考力を養うものです。
制度を変えれば人はどう動くのか。
どのようなインセンティブが組織を良い方向へ導くのか。
経営者や管理職はどのような誘惑やリスクと向き合うのか。
こうしたテーマを学ぶことで、より本質的な経営判断ができるリーダーへと成長することができるでしょう。
まとめ
今回は、分析的会計研究と税務会計を専門とする村上裕太郎教授をご紹介しました。
村上教授は、ゲーム理論や契約理論を活用しながら、経営者の行動原理や制度設計のあり方を研究しています。
利益操作や脱税といったセンシティブなテーマを通じて、人間の心理やインセンティブの本質に迫る研究は、多くのビジネスパーソンにとって学ぶ価値のあるものです。
将来、企業を率いる立場を目指す方にとって、数字の裏側にある人間の行動を理解する力は大きな武器になります。
KBSには、このように理論と実務を高いレベルで結び付ける教員が数多く在籍しています。
ぜひKBSで、経営の本質を深く学び、自らの可能性を広げてみてください。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。教員の役職、研究内容、担当科目、カリキュラム等は変更される場合があります。最新情報については、必ず慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


