慶應SFC院試「現代社会・文化への人文学的アプローチ」研究計画書:人文学の社会実装を描くコツ

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今回のテーマは「慶應SFC院試『現代社会・文化への人文学的アプローチ』研究計画書:人文学の社会実装を描くコツ」です。

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科、いわゆるSFC大学院の入試では、研究計画書であるプロポーザルと面接が合否を大きく左右します。特に「現代社会・文化への人文学的アプローチ」に関心がある受験生は、文学、哲学、歴史、文化研究などへの関心だけでなく、その知見を現代社会の課題にどのように結び付けるのかを示すことが重要です。

人文学というと、文献の精読や思想の分析、歴史的背景の考察などを思い浮かべる方も多いでしょう。もちろん、そうした基礎的な研究は欠かせません。しかし、SFCでは、過去や文化を理解するだけで終わらず、その知識を現在や未来の社会にどう活かすのかまで考える姿勢が求められます。

この記事では、「現代社会・文化への人文学的アプローチ」を志望する受験生に向けて、評価されるプロポーザルの作り方と、面接で伝えるべきポイントを分かりやすく整理します。


人文学的アプローチで求められるのは、現代社会への接続

一般的な文学研究科や人文科学系大学院では、文学作品、思想、哲学、歴史資料、文化的事象などを丁寧に読み解くことが中心になります。もちろん、それらは人文学研究の大切な土台です。

一方で、SFCの「現代社会・文化への人文学的アプローチ」では、そうした知見を現代社会の課題と結び付けることが重視されます。例えば、孤独や分断、マイノリティ文化の継承、AI時代の倫理、SNS上のコミュニケーション、記憶の保存、地域文化の衰退などは、人文学の視点から考える意義が大きいテーマです。

そのため、プロポーザルでは「現代文学を研究したい」「特定の思想家について調べたい」と書くだけでは不十分です。その研究が、現在のどのような課題と関係し、どのような新しい理解や提案につながるのかを明確にする必要があります。


合格するプロポーザルに必要な3つの視点

現代社会から独自のイシューを発見する

SFCのプロポーザルでは、自分自身で課題を発見し、研究として提案する姿勢が重視されます。「好きだから研究したい」という動機だけでなく、現代社会のどのような変化に問題意識を持ったのかを示すことが大切です。

例えば、「孤独について研究したい」というテーマだけでは、やや広く見えてしまいます。一方で、「SNSでつながっているにもかかわらず孤独を感じる若者の語りを分析し、新しいコミュニティのあり方を考える」とすれば、対象、課題、方法、社会的意義が見えやすくなります。

また、「マイノリティ文化を研究したい」という場合も、「地域で継承されてきた文化が都市化や世代交代によって失われる過程を調査し、デジタル技術を活用した継承方法を提案する」と具体化すると、SFCらしい実践的な研究計画になります。

分野融合の方法を具体的に示す

SFCらしいプロポーザルにするためには、人文学だけに閉じないことが重要です。情報科学、データ分析、心理学、社会学、デザイン、教育、都市計画などを組み合わせることで、研究の可能性が広がります。

例えば、SNS上の言説をテキストマイニングで分析する、AIを活用して文化資料を整理する、哲学的な問いを空間デザインやサービスデザインに応用する、映像やデジタルアーカイブを使って記憶を継承するなど、さまざまな方法が考えられます。

ただし、技術を入れること自体が目的になってはいけません。自分が設定した課題を明らかにするために、なぜその方法や分野が必要なのかを説明することが大切です。人文学の深い問いと異分野の手法が自然につながっていると、プロポーザルの説得力が高まります。

社会実装までの道筋を描く

SFCでは、研究成果を論文としてまとめるだけでなく、社会の中でどう活かすかが重視されます。人文学の社会実装というと難しく聞こえるかもしれませんが、必ずしも大規模な制度改革を意味するわけではありません。

例えば、地域文化を伝えるデジタルアーカイブを作る、若者の孤独を考えるワークショップを実施する、AI倫理に関する教育プログラムを提案する、博物館や学校と連携した展示を行うなど、研究成果を社会へ返す方法はさまざまです。

プロポーザルには、どの現場で、誰と関わり、どのような方法で調査や実践を行うのかを具体的に書きましょう。地域住民、NPO、文化施設、学校、企業、自治体など、研究テーマに応じた連携先を想定しておくと、実現可能性が伝わりやすくなります。


面接ではSFCで学ぶ必然性を語る

書類審査を通過した後の面接では、「なぜそのテーマなのか」「なぜ人文学的アプローチが必要なのか」「なぜSFCで研究するのか」が問われます。

自分の研究テーマと関連するアカデミックプロジェクトや教員の研究内容を事前に確認し、どのような分野の人と協働したいのかを説明できるようにしておきましょう。プロジェクト名を挙げるだけではなく、自分がどのような視点を持ち込み、チームの研究にどう貢献できるのかまで考えることが大切です。

また、国内外でのフィールドワークや国際会議での発表を考えている場合は、研究支援制度や国際的な学修環境を研究計画と結び付けて説明するとよいでしょう。東アジアの文化や社会を比較したい場合は、海外大学との交流を活用する構想も考えられます。

面接では、制度名を多く挙げることよりも、自分の研究を前に進めるために、SFCの環境をどう活用したいのかを一貫して説明することが重要です。


まとめ

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の「現代社会・文化への人文学的アプローチ」では、文学、哲学、歴史、文化に関する深い理解に加えて、その知見を現代社会の課題へつなげる視点が求められます。

合格につながるプロポーザルを作るためには、現代社会から生まれる独自のイシュー設定、分野融合の具体性、そして社会実装までの道筋を一貫して示すことが重要です。人文学を過去の研究に閉じ込めるのではなく、情報技術、デザイン、教育、地域社会などと結び付けながら、実践的な研究へ発展させていきましょう。

自分自身の経験や問題意識を出発点にしながら、SFCだからこそ実現できる研究計画を丁寧に描くことが大切です。人文学の知見を使って、現代社会にどのような新しい視点や価値をもたらしたいのかを明確にすることが、説得力のあるプロポーザルへの第一歩になります。


※入試制度や募集要項、研究領域、アカデミックプロジェクト、教員情報、各種制度の内容は変更される場合があります。出願前には必ず慶應義塾大学大学院の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。