
慶應SDMの細田千尋教授とは ― 脳科学×教育×ウェルビーイング、エビデンスベースで人の可能性を拡げる
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今回のテーマは「慶應SDMの細田千尋教授とは ― 脳科学×教育×ウェルビーイング、エビデンスベースで人の可能性を拡げる」です。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMには、自然科学の知見を社会課題へ応用する研究者が所属しています。その中でも細田千尋教授は、脳科学や情報科学を基盤に、教育、人材育成、ウェルビーイング、コミュニティなど、人の成長やつながりに関わるテーマを研究しています。今回は、細田教授の経歴や研究分野を整理しながら、教育や人材育成、ヘルスケアなどの経験を持つ受験生が、研究計画や事前コンタクトにどうつなげられるのかを考えていきます。
脳科学と情報科学を背景に持つ細田千尋教授

細田千尋教授は、東北大学大学院情報科学研究科および同大学加齢医学研究所の准教授を経て、現職に就いています。脳科学と情報科学の専門性を背景にしながら、人の学習や能力、社会とのつながりに関する研究へと活動領域を広げてきました。
また、内閣府のムーンショット目標9に関わるプロジェクトのプロジェクトマネージャーも務めています。大学の中だけで研究を行うのではなく、国の研究プロジェクトにも携わり、社会全体を視野に入れた研究活動を進めている点も特徴です。
研究分野は、脳科学、情報科学、教育・学習科学、ウェルビーイングなどを横断しています。さらに、非認知能力、社会関係資本、人材育成、コミュニティ、子育て支援、フェムテック、ヘルスケア、地域共創など、対象となるテーマも幅広く、人の能力や生活の質を科学的な根拠から考える研究につながっています。
非認知能力を科学的な根拠から捉える
細田教授の研究を理解するうえで重要なテーマの一つが、非認知能力です。非認知能力とは、学力テストの点数などで測りやすい認知能力とは異なり、意欲、自己肯定感、協調性、粘り強さなど、人が学び、働き、他者と関わるうえで重要になる力を指します。
教育や人材育成の現場では、こうした力の重要性が語られることは少なくありません。しかし、実際にどのような働きかけが効果を持つのか、どの程度変化したのかを客観的に示すことは簡単ではありません。細田教授は、脳科学をはじめとする学術的な知見を用いながら、こうした人の能力や変化を科学的に捉えようとしています。
例えば、教育や研修を実施して手応えを感じても、それが本当に参加者の変化につながったのかを説明できなければ、次の施策へ生かすことが難しくなります。脳活動や生理指標などの客観的なデータも視野に入れながら効果を検証する考え方は、経験や感覚だけに依存しない教育や人材育成を考えるうえで重要な視点になります。
教育・人材育成の実務経験を研究へつなげる

細田教授の研究テーマは、教育業界で働く方だけでなく、企業の人事や人材開発、研修、組織づくりなどに携わってきた社会人とも接点があります。これまで仕事の中で、人が成長するための取り組みを行ってきたものの、その効果を十分に説明できないと感じた経験があれば、研究テーマの出発点になる可能性があります。
例えば、研修を受けた社員の行動がどのように変わるのか、子どもの学習意欲を高める働きかけにはどのような意味があるのか、コミュニティへの参加が人のウェルビーイングにどう影響するのかといった問いが考えられます。
重要なのは、自分が行ってきた教育や人材育成の方法を正しいものとして証明しようとするのではなく、本当に効果があるのかを客観的に確かめようとする姿勢です。大学院で研究する場合には、実務経験を持っていることそのものよりも、そこからどのような疑問を持ち、何を明らかにしたいのかが重要になります。
ウェルビーイングやヘルスケアにも広がる研究
細田教授の研究は、教育や能力開発だけに限られていません。ウェルビーイング、人と人とのつながり、子育て支援、フェムテック、ヘルスケア、地域共創なども研究対象に含まれています。
人の健康や幸福を考える場合、個人の身体状態だけを見るのではなく、周囲の人との関係や生活環境、地域とのつながりなども重要になります。例えば、子育て支援であれば、親子だけではなく、地域や支援者との関係も影響します。人材育成であっても、本人の能力だけでなく、職場の人間関係や組織環境によって成果が変わることがあります。
こうした複数の要素を含むテーマを、脳科学や情報科学の知見と組み合わせながら考えるところに、細田教授の研究の特徴があります。フェムテックやヘルスケアに関わる事業経験を持つ方であれば、サービスを提供するだけでなく、それが利用者の生活や行動にどのような変化を生んでいるのかを研究テーマとして考えることもできるでしょう。
事前コンタクトでは現場の課題と検証したいことを整理する

細田教授への事前コンタクトを検討する際には、自分が関わってきた現場で何を課題だと感じたのかを具体的に整理しておくことが大切です。教育に興味がある、人材育成を研究したいというだけでは、研究したい内容が十分に伝わりません。
例えば、研修後の行動変化をどのように確認すればよいか分からなかった、子どもの意欲を高める取り組みの効果を客観的に検証したい、地域活動への参加とウェルビーイングの関係を調べたいなど、実際の経験から生まれた問いを言葉にしてみましょう。
そのうえで、何をデータとして確認したいのか、どのような対象について調べたいのかまで考えると、研究計画の方向性が見えやすくなります。科学的なエビデンスを重視する研究だからこそ、自分の経験や感覚をそのまま結論にするのではなく、どのような方法で確かめたいのかという姿勢が重要です。
また、細田教授は社会実装や実証にも力を入れています。研究成果を論文としてまとめるだけでなく、教育、人材育成、地域、ヘルスケアなどの現場でどのように活用したいのかまで考えておくと、志望理由や面接でも研究の目的を説明しやすくなるでしょう。
まとめ
細田千尋教授は、脳科学や情報科学を基盤として、教育・学習科学、非認知能力、人材育成、ウェルビーイング、コミュニティ、子育て支援、フェムテック、ヘルスケアなど、幅広いテーマを研究しています。特徴的なのは、人の成長や幸福といった捉えにくいテーマを、科学的な根拠に基づいて検証し、実際の社会へつなげようとしている点です。
教育、人事、人材育成、子育て支援、ヘルスケアなどの現場で、経験的には効果を感じるものの十分に説明できない課題を抱えてきた方は、その疑問を研究テーマとして整理してみるとよいでしょう。研究計画や事前コンタクトでは、自分が何を良くしたいのかだけでなく、その効果を何によって確かめたいのかまで考えることが大切です。実務上の課題を科学的に捉え直すという視点が、細田教授の研究との接点を探す手がかりになります。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


