
【教員紹介】石戸奈々子教授|NPO法人CANVAS理事長が切り拓く子どもとメディアの未来
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今回のテーマは「【教員紹介】石戸奈々子教授|NPO法人CANVAS理事長が切り拓く子どもとメディアの未来」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第11回では、子どもとメディアを専門とし、教育とテクノロジーを結びつける活動を長年続けてきた石戸奈々子教授を紹介します。
石戸教授の特徴は、大学で研究や教育を行うだけでなく、NPO法人や一般社団法人、企業など、さまざまな場で実際に教育環境をつくってきたことです。子どもの創造力や表現力をどのように育てるのか、デジタル技術を教育にどのように取り入れるのかという課題を、研究と社会活動の両面から考えてきました。教育、メディア、子ども、デジタル技術などに関心のある受験生にとって、KMDで考えられる研究の広がりを知る上でも参考になる教員です。
石戸奈々子教授はどのような研究者なのか

石戸奈々子教授の専門分野は「子供とメディア」です。東京大学工学部システム創成学科を卒業した後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程を修了し、米国MITメディアラボでは客員研究員として研究に携わった経験を持っています。
KMDでは教授として教育・研究を行うとともに、KMD研究所長も務めています。一方で、活動の場は大学の中だけに限られていません。NPO法人CANVASの理事長をはじめ、株式会社デジタルえほんの設立、一般社団法人超教育協会の理事長など、教育とデジタル技術に関わる複数の組織で活動してきました。
さらに、株式会社フジ・メディア・ホールディングスや株式会社フジテレビジョンの社外取締役を務めるなど、メディア業界の経営にも関わっています。研究者、教育実践者、組織運営者という複数の立場から、メディアと社会の関係を考えている点が大きな特徴です。
CANVASで子どもの創造力と表現力を育てる
石戸教授の活動を理解する上で欠かせないのが、NPO法人CANVASです。CANVASは、子どもたちの創造・表現活動を推進するために設立された組織で、2002年以降、多様なワークショップを実施してきました。
活動内容は、手や道具を使ったものづくり、自然の中で身体を動かしながら学ぶ体験、デジタル機器を使った創作、プログラミングなど幅広いものです。記事案によれば、これまでに開催されたワークショップは3000回、参加した子どもは約50万人にのぼります。
また、石戸教授が実行委員長を務める「ワークショップコレクション」は、子どもの創作活動を集めた博覧会として発展し、2日間で10万人を動員する規模にまで成長しています。
ここで注目したいのは、教育について考えるだけでなく、実際に子どもたちが参加できる場をつくり、その活動を継続している点です。新しい教育方法を提案するのであれば、それを実際の社会で試し、子どもや保護者、教育関係者がどのように受け止めるのかを見る必要があります。石戸教授の活動には、研究を具体的な社会活動へつなげていく姿勢が表れています。
デジタル時代に子どもはどう学ぶのか

石戸教授の研究・活動の中心にある問いのひとつが、デジタル技術が広がる社会の中で、子どもたちがどのように学び、創造力や表現力を育てていくのかということです。
子どもとデジタル技術の関係については、「使わせるべきか」「制限するべきか」という議論になりがちです。しかし、技術そのものを良いもの、悪いものと決めるだけでは、教育のあり方を十分に考えることはできません。重要なのは、子どもが何を作り、何を考え、他者とどのように関わるために技術を利用するのかという視点です。
石戸教授は、プログラミング教育の必修化に関する著書や、生成AIと子どもの関係についての発信など、時代の変化に応じたテーマにも継続的に取り組んでいます。日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞などへの寄稿・掲載もあり、研究や実践から得た問題意識を社会に伝える活動も行っています。
生成AIをはじめとした新しい技術が教育現場に入る中で、「使うか使わないか」だけではなく、「どのような学びにつなげるのか」という問いは、今後さらに重要になっていくでしょう。
超教育協会から考えるこれからの教育
石戸教授が理事長を務める一般社団法人超教育協会では、テクノロジーを活用した新しい教育のあり方について活動が進められています。
学校教育には長い歴史があり、教室、授業時間、教科、教師と生徒といった一定の枠組みがあります。一方で、インターネットやデジタル教材が普及したことで、学ぶ場所や時間、学習方法は以前より柔軟になっています。
こうした変化の中で、従来の学校教育の仕組みをそのままデジタル化するだけではなく、そもそもこれからの時代にどのような学びが必要なのかを考え直すことが求められます。超教育協会の活動は、そのような問いと関係しています。
KMDへの進学を検討している方にとっても、教育分野の研究は「新しい教材を作る」ことだけではありません。学習者同士のコミュニケーション、学校と家庭の関係、メディアリテラシー、創造活動、教育制度など、研究の対象は幅広く考えることができます。
受験生は教育現場の課題を具体的な問いに変える

石戸教授の研究や活動に関心がある受験生は、まず自分が教育のどの場面に問題意識を持っているのかを整理するとよいでしょう。
たとえば、子どもが生成AIをどのように使えば学びにつながるのか、プログラミング教育によってどのような力が育つのか、デジタル教材が子どもの創造性にどのような影響を与えるのかなど、具体的な問いに落とし込むことができます。
学校や塾、教育サービスなどで働いた経験がある社会人であれば、現場で感じた課題を研究テーマにつなげる方法もあります。子育て支援、メディア制作、出版、ITサービスなどの経験から、教育との接点を見つけることも可能です。
出願書類や研究計画では、「教育を良くしたい」「子どものためになることをしたい」という思いだけでなく、現在どのような問題があり、その問題をどのような方法で明らかにしたいのかまで整理することが重要です。
また、石戸教授の活動を見ると、研究成果を論文だけで終わらせず、ワークショップや組織活動を通じて社会へつなげていることが分かります。自分の研究成果を将来どのような形で教育現場へ還元したいのかまで考えておくと、KMDで取り組みたいことがより具体的になります。
まとめ
石戸奈々子教授は、子どもとメディアを専門とし、NPO法人CANVASをはじめとするさまざまな活動を通して、子どもの創造力・表現力を育む教育のあり方を追究してきた研究者です。
デジタル技術を教育へ取り入れること自体を目的にするのではなく、その技術によって子どもが何を学び、どのように表現し、どのような力を身につけられるのかを考えている点が特徴です。また、研究を実際のワークショップや社会活動につなげ、長期間継続してきたことも石戸教授の活動を理解する上で重要です。
KMDへの出願を検討している方で、教育、子ども、メディア、生成AI、プログラミング教育などに関心がある場合は、自分が解決したい具体的な教育上の課題を整理してみてください。その問題意識を研究計画や志望理由につなげ、どのように社会へ還元したいのかまで考えることが、面接準備にもつながります。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


