【教員紹介】岸博幸教授|元官僚・経済評論家がKMDでクリエイティブ産業を語る

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今回のテーマは「【教員紹介】岸博幸教授|元官僚・経済評論家がKMDでクリエイティブ産業を語る」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第13回では、経済産業省での官僚経験を持ち、経済評論家としても広く活動してきた岸博幸教授を紹介します。

KMDには、テクノロジーやデザインを専門とする教員だけでなく、経営、政策、コンテンツビジネスなどを専門とする教員も在籍しています。岸教授は、行政での政策形成、民間企業での経営、メディアでの発信という複数の経験を持つ教員です。新しい技術やコンテンツを社会に広げる際に、ビジネスや政策をどのように考える必要があるのかを知りたい受験生にとって、参考になる研究領域といえるでしょう。


岸博幸教授はどのような研究者なのか

岸博幸教授の専門分野は、経営戦略、メディア・コンテンツビジネス論、経済政策です。一橋大学経済学部を卒業後、1986年に通商産業省、現在の経済産業省に入省しました。

官僚としては、産業政策、IT政策、通商政策、エネルギー政策など、幅広い政策分野に携わってきました。在職中にはコロンビア大学ビジネススクールへ留学し、MBAを取得しています。行政の現場に加えて、経営やビジネスについて体系的に学んだ経験も持っています。

その後は、経済財政政策担当大臣や総務大臣の政務秘書官を歴任し、不良債権処理や郵政民営化など、日本の構造改革に関わりました。経済産業省を退職した後は、経済評論家としてテレビや雑誌などでも政治・経済について解説しています。

こうした経歴を見ると、岸教授は経済理論だけを研究するというより、政策や企業活動が実際の社会の中でどのように動くのかを知る研究者だと捉えることができます。KMDでは、その経験をクリエイティブ産業やコンテンツビジネスの研究へつなげています。


クリエイティブ産業を新しいビジネスとして考える

KMDにおいて岸教授が携わる研究活動のひとつが、「クリエイティブ・インダストリー」プロジェクトです。コンテンツや文化、地域資源などを経済や経営の視点から捉え、新しい産業としてどのように発展させられるのかを考える取り組みです。

記事案で紹介されている具体例のひとつが、福井県鯖江市と共同で進める漆の現代化・産業化です。漆は長い歴史を持つ伝統文化ですが、伝統的な価値を守るだけでは、産業として持続していくことが難しい場合もあります。

そこで、現代の生活や市場にどのように取り入れるのか、新しい利用方法や商品、ビジネスにつなげられないかを考えます。伝統文化を単に保存する対象として見るのではなく、その価値を生かしながら現代の産業として捉え直す視点です。

これは地域活性化を考える受験生にとっても参考になります。「地域を元気にしたい」というだけでなく、その地域にどのような資源があり、誰にどのような価値を提供できるのか、継続的な事業にするには何が必要なのかまで考えることが研究につながります。


音楽・ゲーム・寺院まで広がる研究テーマ

岸教授が扱うテーマは、伝統工芸だけではありません。記事案では、新しい音楽配信モデル、リアルとヴァーチャルを融合したゲーム、仏教や寺院が地域コミュニティの中で果たす役割の再構築など、幅広い取り組みが挙げられています。

一見すると、音楽、ゲーム、仏教、伝統工芸には共通点がないように見えます。しかし、どの分野にも、社会環境の変化によって従来の仕組みが通用しにくくなっているという課題があります。

たとえば音楽業界では、デジタル配信の普及によってコンテンツの届け方が変わりました。ゲームでは、現実空間とオンライン空間の境界が以前より曖昧になっています。寺院についても、宗教施設としてだけでなく、地域社会の中でどのような役割を持てるのかを改めて考えることができます。

岸教授の研究に共通しているのは、既存の産業や文化をそのまま維持するのではなく、社会やテクノロジーの変化を踏まえて、新しい価値や役割を見つけようとする点です。この考え方は、コンテンツビジネスを研究したい人だけでなく、地域産業や文化政策などに関心がある人にもつながります。


政策とビジネスの両方を見ることの重要性

岸教授の経歴で特徴的なのは、官僚として政策形成に携わった経験と、民間企業の経営に関わった経験の両方を持っていることです。記事案では、大手音楽・エンターテインメント企業であるエイベックスの取締役を兼任してきたことも紹介されています。

新しいサービスやビジネスを社会に広げるとき、企業の努力だけでは解決できない問題があります。法律や規制、行政制度、補助政策などが事業に影響する場合があるためです。特に新しいテクノロジーを利用したビジネスでは、既存の制度が想定していなかった課題が生じることもあります。

反対に、政策を考える際にも、企業や利用者が実際にどのように行動するのかを理解しなければ、制度が期待通りに機能しない可能性があります。政策とビジネスを両側から考えられることは、社会に研究成果を広げていく上で重要な視点です。

KMDで研究テーマを考える際にも、プロダクトやサービスの内容だけではなく、それが社会に普及するために必要な制度や市場環境まで考えることで、研究の社会的な位置づけが明確になります。


受験生は自分のテーマと産業構造を結びつける

岸教授の研究に関心がある受験生は、自分が扱いたいテーマを、産業や政策との関係から考えてみるとよいでしょう。

たとえば、音楽や映像などのコンテンツを研究したい場合、作品そのものだけでなく、制作する人にどのような収益が還元されるのか、デジタル化によってビジネスモデルがどう変化したのかといった問いがあります。地域活性化に関心がある場合は、観光や特産品を紹介するだけでなく、地域資源を持続可能な産業につなげる仕組みを考える必要があります。

研究計画や志望理由では、「地域を活性化したい」「コンテンツ産業を発展させたい」という大きな目標だけではなく、現在どの部分に課題があり、それをどのような視点から明らかにしたいのかまで整理することが大切です。

また、面接に向けては、自分の研究が企業、行政、消費者、地域住民など、どの関係者に影響するのかを考えておくとよいでしょう。技術やアイデアだけでなく、社会に導入した後まで想像することが、KMDで研究する意味を説明することにもつながります。


まとめ

岸博幸教授は、経済産業省での政策形成経験、コロンビア大学ビジネススクールでの学び、民間企業の経営への参画、経済評論家としての活動など、多様な経験を持つKMDの教授です。

KMDでは、クリエイティブ産業を軸に、伝統工芸、音楽、ゲーム、寺院など幅広いテーマを扱い、既存の産業や文化を現代の経済環境やテクノロジーに合わせてどのように捉え直せるのかを考えています。

メディア・コンテンツビジネス、地域産業、文化、経済政策などに関心がある受験生は、自分の研究テーマがどのような市場や制度の中に存在しているのかまで視野を広げてみてください。そこまで整理できれば、研究計画や志望理由だけでなく、面接で研究の社会的な意義を説明する際にも役立ちます。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。