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今回のテーマは「小西祥文教授(環境経済学・実証ミクロ経済学)と『AI時代にデータから因果関係を見抜く力』」です。

慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。地球温暖化や脱炭素といった環境問題について、「技術革新が進めば解決する」「人々の意識を変えればよい」と考えていませんか。

もちろん技術や意識改革は重要です。しかし、現実の環境問題はそれだけでは解決できないほど複雑です。

ある政策を導入した結果、本当にCO2は削減されたのか。補助金制度は本当に効果があったのか。規制は企業の技術革新を促したのか、それとも逆に歪めてしまったのか。

こうした問いに対して、感覚や印象ではなく「データ」と「因果推論」を用いて厳密に迫る研究を行っているのが、経済学部および経済学研究科で教授を務める小西祥文教授です。

本記事では、小西教授の研究内容と、AI時代に求められる実証分析力について整理していきます。


「実証ミクロ経済学」で政策の本当の効果を測る

小西教授の専門分野は、「実証ミクロ経済学」「環境経済学」「応用ミクロ計量分析」です。

教授の研究の大きな特徴は、「因果関係」を非常に重視している点にあります。

例えば、「ある環境政策を導入した地域でCO2排出量が減った」というデータがあったとしても、それだけでは政策の効果とは断定できません。

もともと環境意識が高い地域だった可能性もありますし、景気後退によって排出量が自然に減っただけかもしれません。

つまり、「相関関係」と「因果関係」は違うということです。

小西教授は、準実験手法や計量経済学の高度な分析を用いながら、「本当にその政策が原因だったのか」を厳密に識別しています。

これは現在のデータサイエンスやAI活用においても極めて重要な視点です。


研究テーマは環境から交通まで幅広い

小西教授の研究対象は非常に現代的です。

例えば、カーボンプライシングや排出量取引制度など、脱炭素政策の分析があります。

また、ライドシェアサービスが交通や環境に与える影響についても研究を行っています。

2024年には『ライドシェアの経済学 ~環境と交通の経済実証の視点から~』という著書も出版されています。

さらに、規制の抜け穴が企業行動をどのように歪めるのか、技術革新をどう変化させるのかといったテーマにも取り組んでいます。

単に「環境に良いことをしよう」という話ではなく、「制度や政策が実際にどのような行動変化を引き起こしたのか」をデータから分析している点が特徴です。


AI時代に必要なのは「問いを立てる力」

小西教授は、AI時代に必要な能力について非常に印象的なメッセージを発信しています。

教授は、「AIは優秀な部下のような存在であり、それを使いこなすだけの知識と能力が必要になる」と語っています。

これは非常に重要な視点です。

今後は、単純なデータ整理やプログラミングだけであればAIでもできる時代になります。

しかし、「何を分析するべきか」「どのデータが必要か」「この結果は本当に因果関係と言えるのか」といった問いを立てる力は、人間側に求められ続けます。

小西教授は、経済学的な直観や論理的思考力、そして因果推論の方法論を身につけることの重要性を強調しています。

これは単なるデータ分析スキルではなく、「AIを使いこなす側」に回るための力と言えるでしょう。


グローバルな研究・政策の最前線

小西教授は、ゴールドマンサックス証券での実務経験を経た後、アメリカのミネソタ大学などで研究を行い、ウィリアムズ大学で助教授を務めるなど、国際的な研究キャリアを積み重ねてきました。

また、近年では「EBPM(Evidence-Based Policy Making)」、つまり「証拠に基づく政策立案」にも深く関わっています。

内閣府や総務省、財務省、公正取引委員会などでも講演や政策支援を行っており、研究成果を現実社会に還元しています。

大学院で研究する以上、「論文を書いて終わり」ではありません。

実際の政策形成や制度設計にどうつながるのかまで考える姿勢が求められます。


研究計画書で重要になるポイント

小西教授の研究室を目指す場合、研究計画書では「因果関係」をどう分析するかを明確に示すことが重要になります。

例えば、環境政策、交通政策、エネルギー政策などに関心がある場合でも、「ある政策がどのような因果効果を持ったのか」を分析する視点が必要です。

単に「環境問題に興味があります」では弱く、「どの政策が、誰に、どのような影響を与えたのか」を具体的に設定する必要があります。

また、どのようなデータを用い、どの計量手法で分析するのかまで考えられると、研究計画の説得力が大きく高まります。

「社会問題をデータで解き明かし、政策改善につなげたい」という視点を持つことが重要です。


まとめ:AI時代だからこそ問われる経済学の力

小西教授の研究は、環境問題や交通問題といった現代社会の課題に対して、実証ミクロ経済学と因果推論を用いて真正面から向き合うものです。

単なるデータ分析ではなく、「本当にその政策に効果があったのか」を厳密に検証しようとする姿勢は、AI時代においてますます重要になっていくでしょう。

これからの時代は、AIを使えるだけでは不十分です。

「どのような問いを立てるのか」「どう因果関係を識別するのか」という論理的思考力こそが、研究者や実務家に求められる核心になります。

環境問題や政策評価、データ分析に関心がある方は、ぜひ小西教授の著書や論文を読み、自分自身の研究テーマを深めてみてください。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の研究内容や募集要項については、必ず公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。