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今回のテーマは「壽里竜教授はどんな人なのか」です。
慶應義塾大学大学院を目指している方の中には、「経済学=数式やデータ分析」というイメージを持っている人も多いかもしれません。
もちろん、現代経済学において数学や統計は非常に重要です。しかし一方で、「そもそも資本主義とは何か」「人間はなぜ市場を作るのか」「合理性だけで社会は成り立つのか」といった根本的な問いは、数式だけでは説明しきれません。
そうした“経済学の土台にある思想”を深く掘り下げているのが、慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科の壽里竜教授です。
壽里教授は、18世紀ヨーロッパの思想家たちの古典を読み解きながら、現代社会の成り立ちや資本主義の本質を探究している研究者です。
この記事では、壽里教授がどんな研究をしているのか、どんな考え方を大切にしているのかを、できるだけわかりやすく紹介していきます。
18世紀の思想から「近代社会」を読み解く先生
壽里教授の専門分野は「社会思想史」です。
特に、18世紀のスコットランド啓蒙思想を中心に研究しています。
スコットランド啓蒙とは、近代社会や近代経済学の基礎が形作られた重要な思想運動のことです。
アダム・スミスやデイヴィッド・ヒュームといった思想家たちが活躍した時代でもあります。
壽里教授は、こうした思想家たちの著作を精密に読み解きながら、「近代社会とは何か」「資本主義はどのような思想から生まれたのか」を考え続けています。
特にデイヴィッド・ヒュームに関する研究で知られており、博士論文でもヒュームの文明社会論を扱っています。
また、英語で執筆した著書『Hume's Sceptical Enlightenment』は国際的にも高く評価され、日本イギリス哲学会賞も受賞しています。
つまり、日本国内だけでなく、海外の研究コミュニティからも評価されている思想史研究者なのです。
「経済学は人文知でもある」という考え方
壽里教授の大きな特徴は、「経済学を人文知として捉えている」ことです。
教授自身も、「政治思想や哲学は、一見すると経済学と関係が薄く見えるかもしれない」と語っています。
しかし実際には、現代の経済学も、資本主義という社会システムも、“近代”という時代の中で生まれたものです。
だからこそ、その背景にある思想や価値観を理解しなければ、現代社会そのものを深く理解することはできないという立場を取っています。
この考え方は、非常に慶應らしいとも言えます。
単なるテクニックとして経済学を学ぶのではなく、「人間社会をどう捉えるか」という大きな視点から経済を考えるスタイルだからです。
特に最近は、AIやデータ分析が急速に発展している時代でもあります。
だからこそ逆に、「人間とは何か」「社会とは何か」という哲学的な問いを持てる人材の価値が高まっているとも言えるでしょう。
古典を読む力を徹底的に重視する研究スタイル
壽里教授の研究室では、古典文献を深く読む力が非常に重要になります。
ヒュームやルソー、マンデヴィルなど、18世紀の思想家たちの原典を読み込み、その背景や文脈を丁寧に分析していきます。
そのため、単なる知識暗記ではなく、「なぜこの思想がこの時代に生まれたのか」を考える力が求められます。
また、英語文献を読む力も重要です。
思想史研究では、日本語の解説書だけでなく、原典や海外論文を読むことが前提になるケースも多いためです。
その分、表面的な流行ではなく、本質的な思考力を鍛えられる環境とも言えます。
合理性だけでは説明できない社会を考える
現代経済学では、「合理的な人間」が前提として置かれることが多くあります。
しかし、現実の社会はそれほど単純ではありません。
人間は感情で動きますし、慣習や文化、歴史にも大きく影響されます。
壽里教授の研究は、そうした“数値化できない部分”にも目を向けています。
例えば、「情念」「想像力」「文明社会」といったキーワードは、まさにその象徴です。
経済現象だけを見るのではなく、「その背景にどんな人間観や社会観があるのか」を考える姿勢が特徴的です。
これは、現代の効率重視社会を見つめ直す視点にもつながっています。
壽里教授の研究室に向いている人とは?
壽里教授の研究室に向いているのは、「深く考えることが好きな人」です。
例えば、以下のような関心を持つ人には特に向いています。
- 経済学を思想や哲学から学びたい
- アダム・スミスやヒュームに興味がある
- 近代社会や資本主義の本質を考えたい
- 古典をじっくり読むことが好き
- 数式だけでは説明できない社会に関心がある
- 人文系と経済学を横断して学びたい
一方で、「すぐ役立つスキルだけ学びたい」というタイプよりは、「遠回りでも本質を考えたい」というタイプの方が相性は良いかもしれません。
研究計画書では何を書くべきか
壽里教授を志望する場合、研究計画書では「どの思想家を、どんな視点で研究したいのか」を具体的に書くことが重要になります。
例えば、以下のようなテーマが考えられます。
- ヒュームにおける文明社会論
- アダム・スミスの道徳哲学と市場社会
- ルソーの近代批判
- 啓蒙思想と資本主義形成
- 近代社会における合理性と感情
また、「現代社会とどう結びつくのか」を考えることも重要です。
例えば、多文化共生、格差、孤立、効率主義など、現代の問題を思想史の視点からどう捉え直せるかを書くと、研究の意義が伝わりやすくなります。
まとめ:「人文知としての経済学」を学べる研究者
壽里竜教授は、18世紀の思想史研究を通じて、「近代社会とは何か」「資本主義とは何か」を根本から問い続けている研究者です。
単なる歴史研究ではなく、古典を通して現代社会を見つめ直そうとする姿勢が特徴的です。
また、「人文知としての経済学」という考え方は、AI時代だからこそより重要になっているとも言えるでしょう。
効率や合理性だけでは説明できない人間社会の複雑さを深く考えたい人にとって、非常に魅力的な研究環境です。
「経済学をもっと深く、本質から学びたい」と考えている方は、ぜひ壽里教授の著書や研究テーマに触れてみてください。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の研究内容や募集要項については、必ず公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。

