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今回のテーマは「松沢裕作教授はどんな人なのか」です。

慶應義塾大学大学院への進学を目指している皆さん。経済学や歴史を学ぶとき、私たちはつい国家の政策や大企業の発展といった大きな出来事に目を向けがちです。しかし、社会を形づくっているのは、名前の残らない普通の人々の日常でもあります。

過去を生きた人々は何を考え、どのような悩みを抱え、どのように社会と向き合っていたのでしょうか。その問いに真摯に向き合い、歴史の細部から社会の実像を描き出しているのが、慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科の松沢裕作教授です。

本記事では、日本社会史を専門とする松沢教授の研究内容や研究室の特徴、そして大学院受験生が研究計画書を作成する際に意識したいポイントについて解説します。


日本社会史を専門とする研究者

松沢教授の専門分野は、日本社会史です。特に近世から近代にかけての日本社会を対象とし、人々の日常生活や地域社会の変化、制度と個人の関係などを研究しています。

社会史という分野では、政治や経済の大きな流れだけではなく、その時代を生きた人々の生活や行動に注目します。

例えば、ある政策が導入されたとき、人々はそれをどのように受け止めたのか。地域社会の中でどのような変化が起きたのか。そうした一人ひとりの経験を積み重ねることで、歴史の新しい姿を描き出していきます。


「神は細部に宿る」という研究姿勢

松沢教授の研究を語る上で欠かせないのが、「神は細部に宿る」という考え方です。

歴史研究では、大きな出来事や有名な人物に注目しがちですが、本当に重要なことは日常の細かな記録の中に隠れていることがあります。

古い日記や村の記録、行政文書、手紙など、一見すると些細に見える史料の中から、人々の考えや感情、社会の変化を読み取っていくのです。

松沢教授は、歴史家の仕事を「過去の人々の声に耳を澄ますこと」と表現しています。

過去の人々が残したわずかな痕跡を丁寧に読み解くことで、歴史の中に埋もれてしまった経験や感情を現代によみがえらせる。その姿勢は、多くの研究者や学生に影響を与えています。


社会史から見える現代社会とのつながり

歴史研究というと、過去を知るためだけの学問だと思われることがあります。しかし松沢教授の研究は、現代社会とのつながりを強く意識しています。

現代社会では、生きづらさや格差、不安定な雇用など、さまざまな問題が議論されています。

こうした課題も突然生まれたものではなく、長い歴史の中で形成されてきた社会構造の延長線上にあります。

過去の人々がどのような環境で暮らし、どのような制度の中で生きていたのかを知ることは、現代社会を理解する上でも重要な手がかりになります。

松沢教授の著書『生きづらい明治社会』が多くの読者に支持されたのも、過去と現在を結びつける視点があったからでしょう。


研究と発信を両立する研究者

松沢教授は東京大学文学部を卒業後、東京大学大学院で研究を続け、博士(文学)の学位を取得しています。

その後、東京大学史料編纂所や専修大学などを経て、慶應義塾大学に着任しました。

研究者として高い評価を受ける一方で、一般読者に向けた発信にも積極的に取り組んでいます。

『明治地方自治体制の起源』『日本近代村落の起源』といった専門的な研究書だけでなく、『生きづらい明治社会』や『自由民権運動』など、一般向けの著作も多数執筆しています。

さらに『歴史学はこう考える』は、新書大賞で上位に選ばれるなど、多くの読者から高い評価を受けました。

研究成果を専門家だけでなく社会全体へ届けようとする姿勢も、松沢教授の大きな魅力です。


大学院で求められる力とは

松沢教授の研究室を目指す場合、まず必要になるのは歴史資料を丁寧に読み解く力です。

社会史の研究では、教科書や二次文献だけではなく、一次史料を読み込むことが重要になります。

古文書や日記、地方自治体の記録などを分析し、その背景にある社会や人々の行動を考察していきます。

また、一つの史料だけで結論を出すのではなく、複数の史料を比較しながら慎重に議論を組み立てる姿勢も求められます。

歴史に対する好奇心だけでなく、地道な調査を積み重ねる忍耐力も必要になるでしょう。


研究計画書で意識したいポイント

松沢教授の研究室を志望する場合、研究計画書では日本社会史という分野への関心を明確に示すことが重要です。

例えば、特定の地域社会や村落、あるいは近代化の過程で変化した人々の生活などを研究テーマとして設定することが考えられます。

また、単に制度や政策を分析するのではなく、「その制度を人々はどのように受け止めたのか」「日常生活にどのような影響があったのか」という視点を取り入れると、社会史らしい研究テーマになります。

さらに、その研究が現代社会を考える上でどのような意義を持つのかを説明できると、研究の価値がより伝わりやすくなります。


歴史の中の「普通の人々」に光を当てる

歴史は有名な政治家や企業家だけが作ってきたものではありません。

地域で暮らす人々や働く人々、家族を支えた人々など、無数の普通の人たちの営みの積み重ねによって社会は形成されてきました。

松沢教授の研究は、そのような人々に光を当てることで、歴史の新たな姿を描き出しています。

そして、その姿勢は大学院で研究を行う上でも大切な学びになります。

目立つテーマだけを追うのではなく、史料の中に埋もれた小さな声に耳を傾けること。そこから新しい発見を生み出すこと。それが社会史研究の醍醐味です。


まとめ

松沢裕作教授は、日本社会史を専門とし、近世から近代にかけての人々の日常や地域社会の変化を研究している研究者です。

「神は細部に宿る」という考えのもと、過去の人々が残した小さな記録を丁寧に読み解きながら、歴史の新たな姿を描き出しています。

歴史学や社会史に興味があり、人々の生活や社会の変化を深く研究したい方にとって、松沢教授の研究室は非常に魅力的な環境と言えるでしょう。

興味を持った方は、ぜひ松沢教授の著書や論文を読み、自分自身の研究テーマとの接点を探してみてください。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。研究内容や担当科目、入試制度等は変更される場合があります。出願の際は必ず慶應義塾大学大学院の公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。