
KMDでHCIを研究するには?関連する教員と研究テーマ
- 1. HCIとは?人間とコンピュータの関係を研究する分野
- 2. KMDでHCIを研究する魅力
- 3. Junichi Yamaoka氏:デジタルファブリケーションとHCI
- 4. デジタルファブリケーションを利用した研究テーマ
- 5. Ximing Shen氏:ユーザー中心デザインとHCI
- 6. ユーザー中心デザインを利用した研究テーマ
- 7. Mauricio Sousa氏:空間コンピューティングとテレプレゼンス
- 8. 空間コンピューティングを利用した研究テーマ
- 9. Kai Kunze氏:ウェアラブルコンピューティングとHCI
- 10. ウェアラブル技術を利用した研究テーマ
- 11. 堀江新氏:身体情報学とハプティクス
- 12. 吉田多俊氏:空間体験デザインと身体情報学
- 13. 身体性を重視したHCI研究の可能性
- 14. HCIの研究テーマを5つの方向性から整理する
- 15. HCIとデザインの関係
- 16. HCIと心理学・認知科学の関係
- 17. HCI研究ではどのような研究方法が使われる?
- 18. プログラミング経験がなくてもHCIを研究できる?
- 19. 研究計画書ではHCIのどの側面を研究するのか明確にする
- 20. 研究テーマと教員の専門分野を結びつける方法
- 21. 志望理由書ではなぜKMDでHCIを研究したいのかを説明する
- 22. 面接・口述試験で説明できるようにしたいこと
- 23. 国際的な研究環境でHCIを学ぶという視点
- 24. 出願前に確認したい研究環境と設備
- 25. KMDと他研究科のHCI研究を比較する
- 26. まとめ
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDでHCIを研究するには?関連する教員と研究テーマ」です。
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)への進学を検討している方の中には、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)に関心を持っている方もいるのではないでしょうか。
HCIは、人間とコンピュータの関係を研究する学問領域です。スマートフォンやパソコンの操作画面だけでなく、VR、スマートグラス、ウェアラブルデバイス、触覚技術、空間コンピューティングなど、さまざまな技術が研究対象になります。
KMDには、HCIを専門分野として掲げる教員や、HCIと関係の深い研究を行う教員が複数紹介されています。ただし、同じHCIという言葉を使っていても、研究対象や研究方法は教員によって異なります。
この記事では、KMD公式サイトの教員情報をもとに、HCIに関連する教員の専門分野を整理し、具体的にどのような研究テーマが考えられるのかを解説します。さらに、研究計画書の作成方法や、出願前に確認したいポイントについても紹介します。
HCIとは?人間とコンピュータの関係を研究する分野
HCIは、Human-Computer Interactionの略称で、日本語ではヒューマンコンピュータインタラクションと呼ばれます。
この分野では、人間がコンピュータやデジタル技術をどのように利用するのか、また、技術をどのように設計すれば人間にとって使いやすく、価値のあるものになるのかを研究します。
例えば、スマートフォンの操作画面を考えてみましょう。同じ機能を持つアプリケーションであっても、ボタンの配置や情報の表示方法によって、利用者の使いやすさは変わります。
こうした違いを調べ、より適切なインターフェースを設計することもHCIの研究対象です。
ただし、現在のHCIは画面上の操作方法だけを扱う分野ではありません。身体の動きや触覚を利用した操作、VR空間でのコミュニケーション、ウェアラブルデバイスによる情報提示など、研究対象は広がっています。
そのため、HCIを研究したい場合には、自分が人間と技術のどのような関係に関心を持っているのかを明確にすることが重要です。
KMDでHCIを研究する魅力

KMDの教員情報を見ると、HCIに関係する専門分野が、デザイン、情報技術、身体情報学、メディア表現などに広がっていることが分かります。
例えば、利用者が操作しやすいシステムを設計する研究もあれば、身体に装着するデバイスを開発する研究、物理空間とデジタル空間を組み合わせた新しい体験を設計する研究もあります。
このように、HCIを一つの技術分野として捉えるのではなく、人間の体験や社会との関係まで含めて考えられることは、KMDの研究分野を理解するうえで重要な特徴です。
一方で、研究対象が幅広いからこそ、自分の関心に近い教員や研究プロジェクトを丁寧に調べる必要があります。
単にHCIという専門分野が一致しているだけでは、希望する研究を進められるとは限りません。
Junichi Yamaoka氏:デジタルファブリケーションとHCI
Junichi Yamaoka氏は、ヒューマンコンピュータインタラクション、デジタルファブリケーション、メディアアート、インタラクティブメディアを専門分野とする教員として紹介されています。
デジタルファブリケーションとは、コンピュータによる設計とデジタル工作機器などを組み合わせて、物理的なものを制作する技術や方法を指します。
例えば、3Dプリンターやレーザーカッターなどを利用して、新しい形状の装置やインターフェースを制作することが考えられます。
HCIとの関係では、利用者が触れたり、動かしたりできる装置を制作し、その操作方法や体験を研究することができます。
また、デジタルファブリケーションを利用することで、既存の製品にはない新しいインタラクションを試作できる可能性があります。
ものづくりと人間の体験を組み合わせた研究に関心がある方にとって、参考になる専門分野です。
デジタルファブリケーションを利用した研究テーマ
デジタルファブリケーションとHCIを組み合わせる場合には、新しいインターフェースの開発が研究テーマとして考えられます。
例えば、利用者が手で形状を変えることのできる装置や、身体の動きに反応するインタラクティブな作品などが考えられます。
また、従来のボタンやタッチパネルとは異なる操作方法を開発し、その使いやすさを評価する研究も考えられます。
研究テーマの例としては、「形状が変化するインターフェースは、利用者の操作体験にどのような影響を与えるのか」「身体の動きを利用した操作方法は、従来の入力方法と比較してどのような特徴を持つのか」といった問いが挙げられます。
ただし、これらは専門分野から考えられる研究テーマの例であり、特定の教員が現在指導している研究内容を示すものではありません。
Ximing Shen氏:ユーザー中心デザインとHCI
Ximing Shen氏は、ユーザー中心デザインとヒューマンコンピュータインタラクションを専門分野とする教員として紹介されています。
ユーザー中心デザインとは、製品やサービスを設計する際に、利用者の目的や行動、利用環境などを重視する考え方です。
例えば、新しいアプリケーションを開発する場合、開発者が便利だと考える機能と、実際の利用者が必要としている機能が一致するとは限りません。
そこで、利用者へのインタビューや観察、試作品の評価などを通じて、利用者の課題を把握することが重要になります。
ユーザー中心デザインでは、こうした調査結果を設計へ反映し、改善を繰り返すことが重視されます。
新しい技術を開発することだけでなく、利用者にとって価値のあるサービスやシステムを設計したい方にとって、関連性の高い分野です。
ユーザー中心デザインを利用した研究テーマ
ユーザー中心デザインを研究する場合には、利用者がどのような課題を抱えているのかを具体的に把握することが重要です。
例えば、高齢者がデジタルサービスを利用する際に、どのような操作上の問題が生じるのかを調べることが考えられます。
また、オンライン学習システムを利用する学生が、どのような場面で操作に迷うのかを調査することもできます。
研究テーマとしては、「利用者の行動観察を取り入れた設計は、サービスの使いやすさにどのような影響を与えるのか」「利用者の意見を反映した改善プロセスは、製品の利用継続にどのように関係するのか」といった問いが考えられます。
この分野では、技術的な開発能力だけでなく、調査設計やデータ分析、利用者の行動を理解する力も重要になります。
Mauricio Sousa氏:空間コンピューティングとテレプレゼンス
Mauricio Sousa氏は、HCI、空間コンピューティング、テレプレゼンス、未来インターフェースなどを専門分野とする教員として紹介されています。
空間コンピューティングとは、現実の空間や物体の位置関係などを利用しながら、デジタル情報を扱う技術や考え方です。
例えば、ARやMRを利用して、現実の空間にデジタル情報を重ねて表示する技術が関係します。
また、テレプレゼンスは、遠隔地にいながら、その場所に存在しているかのような感覚やコミュニケーションを実現する技術に関係します。
例えば、遠隔地の相手と同じ空間にいるように感じられるコミュニケーション環境や、離れた場所から共同作業を行うためのインターフェースなどが考えられます。
物理空間とデジタル空間を組み合わせた新しい体験を研究したい方にとって、参考になる専門分野です。
空間コンピューティングを利用した研究テーマ

空間コンピューティングに関心がある場合には、デジタル情報を空間の中でどのように提示するのかという問題を研究することができます。
例えば、建物の中で利用者を案内する際に、スマートグラスを利用して進行方向を表示する方法が考えられます。
また、複数の利用者が同じ空間でデジタル情報を共有し、共同作業を行うための仕組みも研究対象になります。
研究テーマとしては、「空間内に表示されたデジタル情報は、利用者の作業効率にどのような影響を与えるのか」「遠隔地の相手と空間情報を共有することで、共同作業の質はどのように変化するのか」といった問いが考えられます。
こうした研究では、システムの開発だけでなく、利用者が実際にどのような体験をしたのかを評価することが重要です。
Kai Kunze氏:ウェアラブルコンピューティングとHCI
Kai Kunze(カイ・クンツェ)氏は、ウェアラブルコンピューティング、応用機械学習、HCI、知覚認知コンピューティングなどを専門分野とする教員として紹介されています。
ウェアラブルコンピューティングは、身体に装着して利用するコンピュータやセンサーなどを扱う研究分野です。
例えば、スマートウォッチやスマートグラスなどを利用して、身体の動きや周囲の環境に関する情報を取得する技術が関係します。
また、取得した情報を分析し、利用者へ適切な情報を提示する方法も研究対象になります。
ご提供いただいた公式プロフィールの情報によると、カイ・クンツェ氏はドイツのパッサウ大学で学位を取得し、アメリカのMITメディアラボで訪問研究員を務めた経歴を持ちます。
こうした国際的な研究経験も、専門分野を理解するうえで参考になります。
ウェアラブル技術を利用した研究テーマ
ウェアラブルコンピューティングとHCIを組み合わせる場合には、身体から取得した情報をどのように活用するのかという問題が研究テーマになります。
例えば、スマートウォッチで取得した身体の動きに関する情報を利用して、日常生活の行動を分析することが考えられます。
また、スマートグラスを利用して、利用者が必要とする情報を適切なタイミングで提示する研究も考えられます。
研究テーマとしては、「ウェアラブルデバイスによる情報提示は、利用者の行動にどのような影響を与えるのか」「身体の動きに関する情報を利用することで、どのような新しいインタラクションが実現できるのか」といった問いが挙げられます。
ただし、身体情報を扱う研究では、個人情報の保護や研究参加者への説明、データの管理などにも注意が必要です。
堀江新氏:身体情報学とハプティクス
Arata Horie(堀江新)氏は、身体情報学、ハプティクス、ヒューマンコンピュータインタラクションを専門分野とする教員として紹介されています。
身体情報学は、人間の身体や感覚と情報技術の関係を扱う研究領域です。
また、ハプティクスは、触覚や力覚など、人間が身体を通じて感じる情報を扱う技術分野です。
例えば、VR空間で仮想的な物体に触れた感覚を再現したり、遠隔地にある物体の感触を利用者へ伝えたりする技術が関係します。
こうした技術は、従来の画面や音声による情報提示とは異なる、新しいインタラクションを実現する可能性があります。
身体を通じて情報をやり取りする技術に関心がある方にとって、関連性の高い専門分野です。
吉田多俊氏:空間体験デザインと身体情報学
Takatoshi Yoshida(吉田多俊)氏は、空間体験デザイン、身体情報学、HCIなどを専門分野とする教員として紹介されています。
空間体験デザインは、利用者が空間の中でどのような体験をするのかを考える分野です。
例えば、展示空間や体験型施設において、利用者の動きに応じて映像や音が変化する仕組みなどが考えられます。
また、身体の動きや位置情報を利用して、利用者が空間とどのように関わるのかを研究することもできます。
こうした研究では、空間の設計だけでなく、利用者の行動や感覚をどのように評価するのかが重要になります。
身体を使ったインタラクションや、空間全体を利用した新しいメディア体験に関心がある方にとって、参考になる専門分野です。
身体性を重視したHCI研究の可能性
HCIでは、画面上の操作だけでなく、身体全体を利用したインタラクションも研究対象になります。
例えば、手の動きや身体の姿勢を利用してコンピュータを操作する方法が考えられます。
また、触覚情報を利用することで、画面を見なくても情報を受け取れる仕組みを開発することもできます。
こうした研究は、VRやロボティクス、アクセシビリティなどの分野とも関係します。
例えば、視覚情報に頼らずに操作できるインターフェースを開発することは、障害のある利用者への支援にもつながる可能性があります。
身体性を重視したHCIに関心がある場合には、技術開発だけでなく、人間の感覚や認知に関する知識も重要になります。
HCIの研究テーマを5つの方向性から整理する
KMDでHCIを研究したい場合には、自分の関心をいくつかの方向性に分けて整理するとよいでしょう。
一つ目は、デジタルファブリケーションを利用した新しいインターフェースの開発です。物理的な装置や新しい操作方法を制作したい方に関連します。
二つ目は、ユーザー中心デザインです。利用者の課題を調査し、使いやすい製品やサービスを設計したい方に関連します。
三つ目は、空間コンピューティングやテレプレゼンスです。物理空間とデジタル空間を組み合わせた体験を研究したい方に関連します。
四つ目は、ウェアラブルコンピューティングです。身体に装着するデバイスや、身体情報の活用に関心がある方に関連します。
五つ目は、身体情報学やハプティクスです。触覚や身体の動きを利用したインタラクションを研究したい方に関連します。
これらの分野は互いに独立しているわけではありません。複数の分野を組み合わせることで、新しい研究テーマが生まれる可能性があります。
HCIとデザインの関係
HCIの研究では、技術的な性能だけでなく、利用者の体験をどのように設計するのかが重要になります。
例えば、新しい操作方法を開発した場合でも、利用者が使いにくいと感じれば、実際の利用にはつながらない可能性があります。
そのため、HCIでは、技術開発とデザインを組み合わせて考えることが重要です。
また、利用者の体験を評価する際には、操作時間やエラーの発生回数などの数値だけでなく、利用者がどのように感じたのかという主観的な評価も参考になります。
研究テーマによっては、利用者へのインタビューやアンケート調査などを組み合わせることも考えられます。
HCIと心理学・認知科学の関係
HCIは、心理学や認知科学とも関係の深い分野です。
例えば、利用者が画面上の情報をどのように認識するのか、どのような操作方法を直感的だと感じるのかといった問題には、人間の知覚や認知が関係します。
また、VR空間での没入感や、触覚情報による身体感覚の変化なども、人間の認知や感覚と関係する研究テーマです。
そのため、HCIを研究する際には、プログラミングやシステム開発だけでなく、人間の行動や認知を理解するための知識が必要になる場合があります。
自分が技術開発を中心に研究したいのか、人間の行動や感覚を中心に研究したいのかを整理することが重要です。
HCI研究ではどのような研究方法が使われる?
HCIの研究方法は、研究テーマによって異なります。
例えば、新しいインターフェースを開発する場合には、試作品を制作し、利用者に操作してもらう実験が考えられます。
また、ユーザー中心デザインを研究する場合には、利用者へのインタビューや行動観察などを通じて、課題を把握する方法が考えられます。
さらに、操作方法の違いを比較する場合には、操作時間やエラーの発生回数などを測定することもできます。
利用者の体験を評価する場合には、アンケート調査やインタビューなどを組み合わせることもあります。
重要なのは、研究目的に応じて適切な方法を選ぶことです。
また、人を対象とする研究では、研究倫理や個人情報の取り扱いについても検討する必要があります。
プログラミング経験がなくてもHCIを研究できる?
HCIに関心がある方の中には、プログラミング経験が十分ではないことを不安に感じる方もいるかもしれません。
HCIは幅広い分野であり、研究テーマによって必要な技術や知識は異なります。
例えば、新しいインターフェースやウェアラブルデバイスを開発する場合には、プログラミングや電子工作などの知識が必要になる可能性があります。
一方、ユーザー中心デザインや利用者の行動分析を中心とする研究では、調査設計やデータ分析などの能力が重要になる場合があります。
ただし、どの研究テーマであっても、技術的な仕組みを理解するための基礎知識が役立つことは少なくありません。
プログラミング経験がない場合には、希望する研究テーマに必要な技術を確認し、出願前から基礎的な学習を進めておくとよいでしょう。
研究計画書ではHCIのどの側面を研究するのか明確にする

HCIを研究テーマとして研究計画書を作成する際には、まず研究対象を具体的にすることが重要です。
例えば、「使いやすいシステムを開発したい」という目標だけでは、研究内容が十分に明確ではありません。
そこで、「高齢者がスマートフォンを利用する際に、どのような操作上の課題が生じるのかを明らかにしたい」という形で研究目的を具体化することが考えられます。
また、空間コンピューティングに関心がある場合には、「ARを利用した情報提示が、利用者の作業効率にどのような影響を与えるのか」という問いを設定することもできます。
さらに、ハプティクスに関心がある場合には、「触覚情報を利用したインターフェースは、利用者の操作体験をどのように変化させるのか」といった研究テーマが考えられます。
研究計画書では、研究目的、研究方法、期待される成果を整理し、実現可能な計画としてまとめることが重要です。
研究テーマと教員の専門分野を結びつける方法
研究テーマを具体化できたら、次に確認したいのが、教員の専門分野との一致です。
例えば、物理的な装置を利用したインターフェースを研究したい場合には、デジタルファブリケーションやHCIに関係する教員の研究が参考になります。
また、利用者の行動を調査し、サービスを改善したい場合には、ユーザー中心デザインに関係する教員の専門分野を確認することが考えられます。
空間コンピューティングやテレプレゼンスに関心がある場合には、Mauricio Sousa氏の専門分野が参考になります。
ウェアラブルデバイスに関心がある場合には、Kai Kunze氏の専門分野を確認することが考えられます。
さらに、触覚や身体情報を利用した研究に関心がある場合には、堀江新氏や吉田多俊氏の専門分野が参考になります。
ただし、専門分野が近いという理由だけで、希望する研究指導を受けられるとは限りません。現在の研究活動や研究指導体制を確認することが重要です。
志望理由書ではなぜKMDでHCIを研究したいのかを説明する
志望理由書では、「HCIに関心があるから」「KMDにはHCIを専門とする教員が多いから」という説明だけでは、志望理由として十分ではない場合があります。
重要なのは、自分がどのような課題に関心を持ち、その課題を研究するためになぜKMDを選んだのかを説明することです。
例えば、ウェアラブルデバイスに関心がある場合には、身体情報を利用した新しいインタラクションを研究したいという問題意識を示すことができます。
また、ユーザー中心デザインに関心がある場合には、利用者の課題を把握し、より使いやすいサービスを設計したいという目的を説明できます。
さらに、VRや空間コンピューティングに関心がある場合には、物理空間とデジタル空間を組み合わせた新しい体験を研究したいという方向性を示すことが考えられます。
教員の専門分野を紹介すること自体を目的にするのではなく、自分の研究テーマとの接点を具体的に説明することが大切です。
面接・口述試験で説明できるようにしたいこと
大学院入試で面接や口述試験が実施される場合には、研究テーマや志望理由について具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
例えば、「なぜHCIを研究したいのか」「HCIの中でも、なぜその研究テーマを選んだのか」「どのような方法で研究を進めたいのか」といった質問が考えられます。
また、希望する教員の専門分野と自分の研究テーマの関係について説明できるようにしておくことも大切です。
ただし、教員のプロフィールを暗記することが目的ではありません。
研究内容を理解したうえで、自分が何を明らかにしたいのかを説明することが重要です。
国際的な研究環境でHCIを学ぶという視点
HCIは国際的にも研究が行われている分野であり、研究成果は国際会議や学術論文などを通じて発表されています。
例えば、ACM CHIは、HCIに関係する代表的な国際会議の一つです。
KMDのHCI関連教員の中には、海外の大学や研究機関で学位を取得したり、研究経験を積んできた方も紹介されています。
こうした経歴は、国際的な研究活動を考えるうえで参考になります。
ただし、海外経験を持つ教員が在籍していることと、学生が必ず国際共同研究に参加できることは同じではありません。
現在の研究プロジェクトや国際会議での発表実績などを確認することが重要です。
出願前に確認したい研究環境と設備
HCIに関係する研究を進める際には、研究テーマに応じた設備や開発環境が必要になる場合があります。
例えば、デジタルファブリケーションを利用する場合には、試作品を制作するための設備が関係します。
また、VRや空間コンピューティングを研究する場合には、ヘッドマウントディスプレイや各種センサーなどを利用する可能性があります。
さらに、ハプティクスを研究する場合には、触覚情報を提示するための装置などが必要になる場合があります。
ただし、特定の設備が研究科に設置されていることと、すべての学生が自由に利用できることは同じではありません。
出願前には、公式サイトの研究プロジェクト紹介や説明会などを通じて、実際に利用できる設備や研究環境を確認するとよいでしょう。
KMDと他研究科のHCI研究を比較する
HCIを研究したい場合には、KMD以外の研究科も比較することが重要です。
例えば、情報工学やコンピュータサイエンスの基礎理論に関心がある場合には、理工学研究科などが比較対象になることがあります。
また、人間の認知や心理を中心に研究したい場合には、心理学や認知科学に関係する研究科も候補になります。
一方、技術開発とデザイン、人間の体験を組み合わせた研究に関心がある場合には、KMDの研究分野が候補になることがあります。
重要なのは、研究テーマの名称だけで研究科を選ぶのではなく、どのような研究方法で何を明らかにしたいのかを考えることです。
まとめ
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)には、HCIに関連する専門分野を持つ教員が複数紹介されています。
Junichi Yamaoka氏のデジタルファブリケーション、Ximing Shen氏のユーザー中心デザイン、Mauricio Sousa氏の空間コンピューティングやテレプレゼンス、Kai Kunze氏のウェアラブルコンピューティングなどは、HCIの研究分野の広がりを理解するうえで参考になります。
また、堀江新氏の身体情報学やハプティクス、吉田多俊氏の空間体験デザインなども、身体を通じたインタラクションを研究したい方にとって関連性の高い専門分野です。
ただし、HCIという専門分野が一致していることと、希望する研究指導を受けられることは同じではありません。
大学院を選ぶ際には、自分がHCIのどの側面に関心を持っているのかを明確にし、教員の現在の研究活動や研究指導体制を確認することが重要です。
研究計画書や志望理由書を作成する際には、単にHCIに関心があることを説明するだけでなく、どのような課題を解決したいのか、どのような方法で研究を進めたいのかを具体的に示しましょう。
KMDの教員の専門分野や研究プロジェクトを丁寧に調べ、自分の問題意識と研究環境の接点を整理しながら、出願準備を進めていただければ幸いです。
※本記事はご提供いただいたKMD公式サイトの教員プロフィール情報をもとに作成しています。教員の所属・職位・専門分野・研究指導体制、研究プロジェクト、設備の利用条件、入試制度などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の入学試験要項をご確認ください。
志樹舎
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


