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今回のテーマは「熊倉和歌子教授の研究室と中東イスラーム経済史・環境史」です。


慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。「歴史学」や「経済史」と聞くと、古い文書を読み続ける学問というイメージを持つ方も多いかもしれません。

しかし近年の歴史研究は、大きく変化しています。特にデジタル技術の発展によって、歴史資料をデータとして分析し、地図やネットワークとして可視化する研究が急速に進んでいます。

その最前線で活躍しているのが、経済学部および経済学研究科で教授を務める熊倉和歌子教授です。

本記事では、中東イスラーム経済史と環境史を専門とする熊倉教授の研究内容と、研究室で求められる視点について整理していきます。


ナイル川から読み解く人間と環境の歴史

熊倉教授の専門分野は、中東・北アフリカ地域の経済と環境の歴史、特にイスラーム期以降のエジプト史です。

研究の中心となるテーマの一つが、ナイル川流域における灌漑や土地制度です。

エジプト社会は、古代からナイル川の水に大きく依存してきました。そのため、水をどのように管理するかは、経済や社会制度に直結する重要な問題でした。

熊倉教授は、マムルーク朝やオスマン朝時代の制度や行政構造を分析し、人々が自然環境とどのように向き合ってきたのかを研究しています。

これは単なる過去の歴史研究ではありません。

現代社会では、気候変動や水資源問題が世界的な課題になっています。過去の社会が環境変化にどう対応してきたのかを知ることは、現代の環境問題を考える上でも重要なヒントになります。


一次史料とデジタル技術を組み合わせる研究

熊倉教授の研究の大きな特徴は、伝統的な歴史研究と最新のデジタル技術を組み合わせている点です。

歴史学では、写本や公文書などの一次史料を丁寧に読むことが基本になります。

しかし熊倉教授は、それだけで終わりません。

GIS(地理情報システム)を用いた空間分析や、歴史データベースの構築、さらにはデジタル人文学の手法を積極的に取り入れています。

例えば、過去の土地制度や水利システムの情報を地図上に可視化することで、当時の社会構造や人々の活動範囲を立体的に理解できるようになります。

また、人物や制度、インフラ同士の関係性をネットワークとして分析することで、従来の歴史研究では見えにくかったつながりも浮かび上がってきます。

歴史研究とデータサイエンスを融合させた、非常に先進的な研究スタイルと言えるでしょう。


デジタル人文学という新しい研究分野

熊倉教授は、「デジタル人文学(Digital Humanities)」の分野でも高く評価されています。

デジタル人文学とは、歴史学や文学などの人文学研究にデジタル技術を導入する研究領域です。

例えば、大量の史料をデータ化して分析したり、VR技術を用いて歴史空間を再現したりする取り組みが進んでいます。

熊倉教授は、VRを活用してイスラーム世界を学ぶ教材開発なども手がけています。

歴史を単なる「文字情報」としてではなく、「空間」や「体験」として理解しようとしている点が非常に特徴的です。

このような研究は、今後ますます発展していく分野として注目されています。


スエズ運河から見るグローバル経済

熊倉教授の研究は、中世や前近代だけにとどまりません。

近代の世界経済や日本との関係についても研究を進めています。

例えば、スエズ運河を通過する船舶データを分析し、日本が中東・地中海経済圏とどのように結びついていったのかを研究しています。

スエズ運河は、ヨーロッパとアジアを結ぶ世界経済の重要拠点です。

その物流や貿易の流れを分析することで、日本の対外進出やグローバル経済の構造が見えてきます。

このように、熊倉教授の研究は、中東史だけではなく、世界史やグローバル経済とも深くつながっています。


研究計画書で意識したいポイント

熊倉教授の研究室を志望する場合、研究計画書では「歴史」と「環境」、さらに「デジタル技術」をどう結びつけるのかを明確にすることが重要です。

例えば、中東やアフリカ地域を対象に、土地制度、水資源、貿易ネットワークなどをテーマに設定することが考えられます。

その上で、GISやデータベース分析など、どのようなデジタル手法を活用したいのかを具体的に示すと説得力が増します。

また、過去の環境適応や社会制度の研究が、現代の環境問題やグローバル経済の理解にどうつながるのかまで考えられると、研究計画として深みが出ます。

単なる歴史紹介ではなく、「なぜその研究が現代社会に意味を持つのか」を意識することが重要です。


まとめ:デジタル技術で歴史を再構築する

熊倉教授の研究は、中東・イスラーム世界の歴史を、環境や経済、空間情報の視点から立体的に読み解くものです。

そこでは、伝統的な史料研究だけでなく、GISやデータベース、VRなどのデジタル技術も積極的に活用されています。

歴史研究とデータ分析を融合させたい人にとって、非常に刺激的な研究分野と言えるでしょう。

「過去の社会を、デジタル技術を使って新しい形で理解したい」「歴史と環境問題を結びつけて研究したい」と考えている方は、ぜひ熊倉教授の研究や著書に触れてみてください。


※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに整理しています。最新の募集要項や研究内容については、必ず公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。