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今回のテーマは「神田さやこ教授の研究室とアジア経済史」です。
慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。「歴史」と聞くと、年号や出来事を暗記する学問というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、実際の経済史研究では、人々の暮らしに欠かせない「モノ」の流れを追うことで、社会や政治、環境まで含めた大きな歴史の動きが見えてきます。
そのような視点から、南アジアを中心に経済史研究を行っているのが、経済学部および経済学研究科で教授を務める神田さやこ教授です。
本記事では、アジア経済史を専門とする神田教授の研究と、研究室で求められる学際的な視点について整理していきます。
「塩」から歴史を読み解く経済史研究
神田教授の専門分野は、アジア経済史、特に南アジア史です。
研究対象としているのは、植民地期インドの経済や社会の変化です。
特徴的なのは、「塩」「米」「砂糖」といった具体的な財に注目している点です。
一見すると身近な生活用品ですが、これらの財の流通や価格変動を追うことで、植民地支配、商人ネットワーク、社会制度、宗教、環境変化など、さまざまな歴史的要素が見えてきます。
例えば、塩の流通を分析することで、イギリス東インド会社の政策や、地域社会との関係、商人たちの活動まで読み解くことができます。
つまり、一つの財を入り口にして、大きな歴史構造を理解していくのが神田教授の研究スタイルです。
経済史を「学際的」に捉える視点
神田教授の研究の大きな特徴は、「学際性」にあります。
経済史というと経済だけを扱うように思われがちですが、実際には環境、気候、宗教、文化、技術、金融、法律など、多くの要素が関わっています。
例えば、ある地域で塩の需要が高まった背景には、宗教儀礼や保存技術、気候条件などが影響していることがあります。
また、エネルギー利用や環境問題とも深く結びついています。
神田教授は、このような複数の視点を横断しながら、経済現象を立体的に分析しています。
そのため、研究室では「経済学だけを学べば良い」という姿勢ではなく、幅広い知識や好奇心が求められます。
グローバルな研究環境と現代へのつながり
神田教授は、ロンドン大学SOAS(東洋アフリカ学院)で博士号を取得しています。
SOASはアジア・アフリカ研究の世界的拠点として知られており、国際的な研究環境の中で研究を深めてきました。
また、近年ではエネルギー利用や環境問題と歴史を結びつけた研究も進めています。
例えば、19世紀インドのエネルギー利用の変化を分析することで、現代社会におけるエネルギー問題や環境問題にもつながる視点を提示しています。
つまり、過去の歴史を研究するだけではなく、現代社会の課題を考えるヒントとして経済史を活用しているのです。
「学際的で面白い」経済史研究
神田教授は、「経済史研究は学際的で面白い研究分野」だと語っています。
実際、経済史研究では一つの分野だけで完結することはほとんどありません。
経済学の理論だけでは説明できない現象に対して、歴史学や宗教学、環境学などの視点を組み合わせながら考えていく必要があります。
そのため、「いろいろな分野を横断しながら考えることが好き」という人には非常に魅力的な研究分野と言えるでしょう。
また、一つのテーマを深く掘り下げる粘り強さも求められます。
研究計画書で意識したいポイント
神田教授の研究室を目指す場合、研究計画書では「経済史をどのような切り口で分析するのか」を明確にすることが重要です。
まず、自分が関心を持つ地域や時代、対象となる財を具体的に設定します。
例えば、農産物、エネルギー資源、交易品などをテーマにすることが考えられます。
その上で、「その財が社会や環境、宗教、政治とどのように関わっていたのか」を分析する視点を示すことが重要です。
また、過去の歴史研究が現代社会にどのような意味を持つのかまで考えられると、研究計画書としての説得力が高まります。
単なる歴史紹介ではなく、「なぜその現象が起きたのか」を多角的に分析する姿勢が求められます。
まとめ:一つの財から社会の構造を読み解く
神田教授の研究は、一つの財を入り口にして、経済、社会、環境、文化など多様な要素の相互作用を読み解いていくものです。
経済史は、単なる過去の記録ではありません。現代社会の仕組みや課題を理解するための重要なヒントにもなります。
アジアや南アジアの歴史に関心があり、経済学だけにとどまらない広い視野で研究したい人にとって、非常に魅力的な研究分野と言えるでしょう。
まずは神田教授の著書や論文に触れ、自分自身がどのような歴史の問いに興味を持つのかを考えてみてください。
※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに整理しています。最新の募集要項や研究内容については、必ず公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


