「改善」を歴史と文化から紐解く!坂爪裕教授が探求するモノづくりと組織文化の真髄

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今回のテーマは「『改善』を歴史と文化から紐解く!坂爪裕教授が探求するモノづくりと組織文化の真髄」です。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)への進学を目指す皆さんを応援する教員紹介特別編。今回は、モノづくりや改善活動、組織文化の研究で知られる坂爪裕教授にスポットを当てます。

これまでの特別編では、経済学、医療政策、データ分析、生産システムなど、KBSの多様な教員陣をご紹介してきました。今回取り上げる坂爪教授は、日本企業の強みとも言われてきた「改善」を、現場の仕組みだけでなく、人間の行動、歴史、文化という深い視点から捉える研究者です。

「改善」や「5S」という言葉は、多くの企業で日常的に使われています。しかし、それを本当の意味で組織に定着させることは簡単ではありません。

坂爪教授の研究は、なぜ改善活動がうまくいく企業とうまくいかない企業に分かれるのか、その背景にある組織文化や人の行動に光を当てています。

人間科学から経営学へつながる独自のキャリア

坂爪裕教授は、慶應義塾大学文学部人間関係学科人間科学専攻を卒業されています。

その後、アンダーセン・コンサルティング、現在のアクセンチュアや、さくら総合研究所、現在の日本総合研究所などで実務経験を積まれました。

その後、研究者としての道に進み、京都産業大学経営学部を経て、KBSで教鞭をとられています。

文学部で人間を深く理解する学びを経験し、コンサルティングの現場で企業の課題に向き合い、さらに経営学の研究者として理論を磨いてきたキャリアは非常に特徴的です。

坂爪教授の研究には、このような背景が色濃く反映されています。

単に生産効率を高める方法を考えるのではなく、「人はなぜその行動をするのか」「組織にはどのような文化が根付くのか」「改善はどのように習慣として定着するのか」といった、人間に深く関わる問いを大切にしているのです。

改善活動はなぜ企業によって差が出るのか

日本企業の現場では、改善活動が長く重視されてきました。

小さなムダを見つけ、現場の知恵を活かしながら少しずつ業務を良くしていく取り組みは、日本のモノづくりを支えてきた重要な考え方です。

しかし、同じように改善活動を導入しても、企業によって成果には大きな差があります。

ある企業では現場に根付き、社員が主体的に改善を続ける一方で、別の企業では掛け声だけで終わってしまうこともあります。

この違いは、単なる制度やマニュアルの差だけでは説明できません。

坂爪教授は、改善活動が定着するためには、日々の習慣や組織文化が大きく関係していると考えています。

特に注目されているのが、5S活動や掃除、手入れといった身近な行為です。

整理、整頓、清掃、清潔、しつけといった5Sは、製造現場だけでなく、多くの職場で基本とされています。

しかし、それを形だけでなく文化として根付かせるには、現場の人々がなぜそれを大切にするのかを理解する必要があります。

掃除や手入れから組織文化を読み解く

坂爪教授の研究で興味深いのは、掃除や手入れといった日常的な行為を、組織文化の観点から捉えている点です。

掃除は単なる衛生管理ではありません。

道具や設備を大切に扱うこと、異常に気づくこと、職場への当事者意識を持つことにもつながります。

また、手入れという行為には、長く使い続けるための工夫や、対象への関心が表れます。

これらの習慣が日々の現場に根付いているかどうかは、改善活動の質にも大きく影響します。

坂爪教授は、こうした行為を歴史や文化の視点からも分析しています。

現代の経営課題を考えるために、過去の生活や働き方までさかのぼる姿勢は非常に独創的です。

改善活動を単なる管理手法としてではなく、人間と組織の文化として捉えることで、より深いマネジメントの理解につながります。

セル生産方式と現場マネジメント

坂爪教授は、セル生産方式や生産マネジメントについても研究されています。

セル生産方式とは、少人数のチームや一人の作業者が、まとまった範囲の作業を担当する生産方式です。

大量生産型のライン生産とは異なり、作業者の自律性や技能が重視されます。

この方式では、現場で働く人の能力や判断力が生産性に大きく影響します。

そのため、単に作業手順を決めるだけでは不十分です。

どのように人を育てるのか、どのようにチームを運営するのか、どのように改善活動を継続させるのかが重要になります。

坂爪教授の研究は、こうした現場マネジメントの本質に迫るものです。

特にミドルマネジャーの役割に注目している点は、KBSを目指す社会人や将来マネジメントを担う学生にとって大きな学びになるでしょう。

情報システム導入にも通じる人間理解

坂爪教授の研究は、製造現場だけに限定されません。

情報システム導入の失敗原因に関する研究なども行われています。

新しいシステムを導入すれば業務が改善すると思われがちですが、実際にはそう簡単ではありません。

現場の理解が得られなかったり、部門間で利害が対立したり、使う人の行動が変わらなかったりすることで、システム導入が失敗することは珍しくありません。

ここでも重要になるのは、人と組織の理解です。

テクノロジーはあくまで手段であり、それを使う人や組織が変わらなければ、本当の成果にはつながりません。

坂爪教授の視点は、DXや業務改革を進める現代の企業にも非常に示唆的です。

KBSで学ぶ持続可能な改善の考え方

KBSでは、坂爪教授が「生産政策」「生産マネジメント」「生産経営特論」などを担当されています。

生産という言葉が入ると製造業向けの科目に見えるかもしれませんが、そこで学べる考え方はあらゆる業界に応用できます。

金融、IT、教育、医療、サービス業など、どの業界にも業務プロセスがあります。

そして、そのプロセスを改善し、より良い価値を顧客に届けることは、すべてのビジネスに共通する課題です。

坂爪教授の授業では、改善活動を一時的な取り組みとしてではなく、組織に根付く文化としてどう育てるかを考えることができます。

これは、将来リーダーとして組織を動かしていく人にとって非常に重要な学びです。

まとめ

今回は、改善活動と組織文化を歴史や人間理解の視点から探求する坂爪裕教授をご紹介しました。

改善や5Sは、一見すると現場の基本動作のように見えます。

しかし、その奥には、人間の習慣、組織の文化、歴史的な背景、マネジメントの本質が隠れています。

坂爪教授の研究は、その奥深い世界を丁寧に紐解き、現代の企業経営に活かすための視点を与えてくれます。

KBSには、このように一つのテーマを深く、多角的に掘り下げる教員が数多く在籍しています。

大学院で何を学ぶかを考える際には、科目名だけでなく、その背後にある教員の問題意識や研究姿勢にも注目してみてください。

そこに、皆さん自身の学びを大きく広げるヒントがあるはずです。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。教員の役職、研究内容、担当科目、カリキュラム等は変更される場合があります。最新情報については、必ず慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。