【教員紹介】大川恵子教授|起業家精神とアジア遠隔教育プロジェクトSOI Asiaの牽引者

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。

今回のテーマは「【教員紹介】大川恵子教授|起業家精神とアジア遠隔教育プロジェクトSOI Asiaの牽引者」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズ、特任教員編の第4回では、インターネットと教育の関係を長年研究し、アジア地域を中心とした国際的な教育プロジェクトに携わってきた大川恵子教授を紹介します。

大川教授は、大学での研究に加えて企業や国際機関での勤務経験を持ち、自ら会社を立ち上げて経営者としても活動してきました。研究者と起業家という二つの立場から、インターネットを活用した教育や国境を越えた学びの可能性を考えている点が特徴です。国際教育、教育とテクノロジー、大学間連携などに関心がある受験生にとって、研究テーマを考える上で参考になる教員のひとりです。


大川恵子教授はどのような研究者なのか

大川恵子教授は、1985年に慶應義塾大学大学院工学研究科の修士課程を修了した後、日本DEC、日本サン・マイクロシステムズ、国連大学高等研究所などで勤務しました。その後、再び大学院で研究を進め、2000年に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の博士課程を修了し、2001年に博士号(政策・メディア)を取得しています。

特徴的なのは、博士課程を修了した時期とほぼ同時に起業していることです。2000年には株式会社スクールオンインターネット研究所を設立し、現在も代表取締役所長を務めています。

大学で研究を行いながら、企業を経営し、自ら教育サービスやプロジェクトを社会の中で動かしてきたことになります。研究成果を論文としてまとめるだけでなく、実際の仕組みや事業として形にしていく姿勢は、KMDの実践的な研究環境を考える上でも分かりやすい例です。


インターネットと大学教育を長年研究

大川教授は、1996年頃からインターネットと大学教育に関する研究に取り組んできました。現在ではオンライン授業や遠隔会議は珍しいものではありませんが、インターネットを使った教育が一般的ではなかった時期から、その可能性を研究してきたことになります。

教育にインターネットを導入すると、離れた場所にいる学生が同じ授業に参加できるようになります。一方で、通信環境や言語の違い、授業の進め方、参加者同士のコミュニケーションなど、対面授業とは異なる課題も生まれます。

重要なのは、授業をオンラインで配信するだけではありません。どのようにすれば異なる地域や文化にいる学生が一緒に学べるのか、大学同士がどのように協力できるのかといった、教育の仕組みそのものを考える必要があります。

大川教授の研究は、インターネットを単なる通信手段として扱うのではなく、それによって教育の範囲や参加者の関係がどのように変化するのかを考えてきた点に特徴があります。


SOI Asiaでアジアの大学を結ぶ

大川教授の研究活動を考える上で重要なのが、SOI Asiaです。2001年から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスを拠点として、アジア各国の大学を結ぶ遠隔教育プロジェクトの研究と運営に携わってきました。

SOI Asiaでは、インターネットを利用して複数の国や地域にある大学をつなぎ、教育機会を共有する取り組みが行われてきました。国境を越えた授業を実現するためには、通信技術だけでなく、大学間の連携、授業内容、言語や文化の違いなども考える必要があります。

以前紹介したEBAプログラムのように、KMDではアジア太平洋地域の大学や高等教育機関との連携を重視した教育も行われています。記事案では、大川教授が長年取り組んできたSOI Asiaのような大学間連携の蓄積が、こうした国際的な教育活動につながる背景の一つとして挙げられています。

国際教育に関心がある受験生は、単に海外の学生と交流したいというだけでなく、異なる国の教育機関を結ぶために何が必要なのかという視点を持つと、研究テーマを具体化しやすくなります。


Global Education Projectで世界の教育現場を研究する

大川教授は2008年からKMDの教員となり、リアルプロジェクト「Global Education Project」を主宰しています。テーマは「Global Education for Global Issues」であり、グローバルな課題に向き合うための教育について研究しています。

このプロジェクトの特徴は、対象となる教育段階が非常に幅広いことです。記事案では、UNESCOをはじめ、世界各地の大学、高校、小学校、幼稚園などを研究のフィールドとしているとされています。

大学教育だけを対象にするのではなく、幼児教育から高等教育までを見ることで、年齢や学習環境によってテクノロジーの役割がどのように変わるのかを考えることができます。また、国や地域が違えば、教育課題も同じではありません。

インターネットが生活の前提となった社会では、どのような知識を教えるかだけでなく、異なる文化や価値観を持つ人とどう学ぶかも重要になります。大川教授が担当する「グローバル社会」という授業も、こうした国際的な視点と関係する学びの一つです。


研究と起業を両立するキャリアから考える

大川教授のキャリアで注目したいのは、研究者と起業家のどちらか一方を選ぶのではなく、長期間にわたって両方を続けてきたことです。

教育に関する研究で新しい仕組みを考えた場合、それが実際の社会で利用されるためには、運営する組織や資金、人材、継続的な仕組みも必要になります。研究として有効であることと、事業として継続できることは別の問題です。

その両方を経験している大川教授のキャリアは、教育分野で社会実装や起業を考えている受験生にも参考になります。たとえばオンライン教育サービスを研究したい場合、学習効果だけでなく、誰が利用するのか、どのように運営するのか、地域や国を越えて展開できるのかといった視点も必要です。

研究計画や志望理由では、「教育を変えたい」「国際教育に関心がある」という抽象的な表現だけでなく、対象とする教育段階や地域、解決したい問題、利用するテクノロジーなどを整理すると、自分の研究目的を説明しやすくなります。


まとめ

大川恵子教授は、企業や国際機関での勤務を経て研究者となり、同時に起業家としても活動してきた研究者です。1990年代からインターネットと大学教育について研究し、SOI Asiaではアジア地域の大学を結ぶ遠隔教育に長年取り組んできました。

KMDではGlobal Education Projectを主宰し、大学だけでなく高校、小学校、幼稚園など幅広い教育現場を対象に、インターネットが前提となった社会における教育のあり方を研究しています。

KMDへの進学を検討している方で、国際教育、オンライン教育、アジア地域の大学間連携、教育分野での起業などに関心がある場合は、「どの地域の、どのような学習者に、どのような教育機会を届けたいのか」を具体的に考えてみてください。研究と実践をどのようにつなげるのかまで考えることで、研究計画や志望理由もより明確になります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

志樹舎 では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
院試受験でお困りの方は、 無料相談 にお気軽にお申し込みください。


※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。