【教員紹介】砂原秀樹教授|センサネットワーク研究の礎を築いたインターネットの父のひとり

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今回のテーマは「【教員紹介】砂原秀樹教授|センサネットワーク研究の礎を築いたインターネットの父のひとり」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズ、特任教員編の第5回では、日本のインターネットの発展に長く関わり、モバイル通信技術やセンサネットワーク、情報セキュリティ分野でも研究を続けてきた砂原秀樹教授を紹介します。

砂原教授は、以前紹介した加藤朗教授と同じく、日本のインターネット黎明期から研究活動に携わってきた研究者です。現在のインターネットが当たり前に使われる以前から、その基盤づくりに関わってきた経験を持つ一方で、センサネットワークやセキュリティ人材育成など、時代に応じた新しい課題にも取り組んできました。ネットワーク基盤技術や情報インフラに関心がある受験生にとって、KMDの研究の土台を知る上でも重要な存在です。


砂原秀樹教授はどのような研究者なのか

砂原秀樹教授の専門分野は、モバイル通信技術、センサネットワーク、知識情報構成技術などです。1983年に慶應義塾大学工学部を卒業し、1985年に同大学院工学研究科の修士課程を修了しました。その後、1988年には理工学研究科の後期博士課程で所定単位を取得し、工学博士の学位を取得しています。

その後は、電気通信大学情報工学科の助手、奈良先端科学技術大学院大学情報科学センターの助教授、教授、情報科学研究科教授などを歴任し、2008年からKMDで教育・研究に携わっています。現在はWIDE ProjectのBoard Memberも務めています。

長い研究歴の中で、大学の研究室だけでなく、日本のインターネットそのものを支えるプロジェクトに関わってきた点が大きな特徴です。現在のネットワーク技術を前提として研究するだけでなく、その基盤がどのように作られてきたのかを実体験として知る研究者といえます。


日本のインターネット黎明期から研究に参加

砂原教授は、1984年からJUNET、1988年からWIDE Projectに参加し、日本におけるインターネットの構築と普及に関わってきました。

現在ではスマートフォンやパソコンを使えば、世界中の情報へすぐにアクセスできます。しかし、インターネットが社会インフラとして定着する以前は、大学や研究機関同士をどのようにつなぐのか、異なるコンピュータ間でどのように通信するのかといった問題を一つずつ解決する必要がありました。

JUNETやWIDE Projectは、こうした日本のネットワーク研究と普及に大きな役割を果たしてきた取り組みです。砂原教授は、加藤朗教授やWIDE Projectを創設した村井純教授らと同じ時代に活動し、インターネットの発展を研究者として支えてきました。

KMDというと、VR、AI、デザインなど比較的新しい研究分野が注目されやすいですが、それらの技術も安定した情報ネットワークがあって初めて成り立ちます。こうした基盤技術の蓄積が研究科の中にあることも、KMDを見る上で重要な点です。


センサネットワークを社会の情報基盤へ

砂原教授の研究の中で特に重要なのが、センサネットワークに関する取り組みです。記事案では、自動車をインターネットにつなぐ「Internet ITS」や、環境情報を収集・共有する「Live E!」などのプロジェクトが挙げられています。

センサネットワークとは、さまざまな場所に置かれたセンサから情報を取得し、それをネットワーク経由で集め、活用する仕組みです。現在では、気温や湿度、交通状況、機械の稼働状態など、多くの情報がセンサによって取得されています。

しかし、多数のセンサから集まる情報を社会で利用するには、何をどのような形式で記録するのか、どのようにデータを集約するのか、異なる機器同士をどう接続するのかといった課題があります。砂原教授は、こうしたセンサ情報の定義や情報収集の仕組みに早い段階から取り組んできました。

Live E!プロジェクトでは、東京大学の江崎浩教授らとともに、インターネットを通じて環境情報を共有する取り組みを進めてきました。情報を人が入力するだけではなく、現実世界そのものからデータを取得し、ネットワークへ流すという考え方は、現在のIoTにもつながる重要な視点です。


セキュリティ人材の育成にも取り組む

砂原教授は、ネットワーク技術の研究に加えて、情報セキュリティ分野の人材育成にも取り組んできました。IT KeysやSecCapといった実践的な教育プログラムを通じて、実際の情報システムを守るための知識と技能を持つ人材の育成に関わっています。

以前紹介した加藤大弥特任助教も、SecCapの実践演習の開発・実施に携わってきました。KMDの教員同士の研究分野が個別に存在するのではなく、セキュリティ教育やネットワーク運用の知識が次の世代へつながっていることが分かります。

また、記事案では、慶應義塾大学先導研究センターのサイバーセキュリティ研究センター所長を務めていることも紹介されています。

ネットワークが社会の隅々まで広がるほど、安全性の重要性も高まります。センサから収集される情報やモバイル通信を社会インフラとして利用するのであれば、不正アクセスや情報漏えいを防ぐ視点も欠かせません。ネットワークを広げる研究と、それを安全に利用するための研究は切り離せない関係にあります。


受験生は「見えないインフラ」に目を向ける

砂原教授の研究に関心がある受験生は、普段使っているサービスの裏側にある技術へ目を向けてみるとよいでしょう。

たとえば、スマートシティ、IoT、遠隔医療、自動運転、災害情報システムなどは、利用者から見ると便利なサービスですが、その背景にはセンサ、通信ネットワーク、データ収集、セキュリティといった複数の基盤技術があります。

研究計画では「IoTを研究したい」と述べるだけでなく、どのような情報を収集したいのか、どのような場所で使うのか、多数の機器をどう管理するのか、集めた情報を誰が利用するのかまで考えると、研究テーマが具体的になります。

また、インターネットの歴史を知ることも、将来の技術を考える手がかりになります。現在の仕組みがどのような課題を解決するために生まれたのかを知れば、次に必要となる情報インフラの姿も考えやすくなります。志望理由や面接でも、使いたい技術だけでなく、その技術を支える基盤まで理解していることは、自分の研究目的を説明する上で役立ちます。


まとめ

砂原秀樹教授は、JUNETやWIDE Projectへの参加を通じて、日本のインターネットの黎明期からネットワークの発展に関わってきた研究者です。その後も、Internet ITSやLive E!などを通じてセンサネットワーク研究を進め、情報を現実世界から取得して社会で共有するための基盤づくりに取り組んできました。

さらに、IT KeysやSecCapなどを通じたセキュリティ人材育成にも携わり、ネットワークを作るだけでなく、安全に運用できる人材を育てる活動も続けています。

KMDへの進学を検討している方で、インターネット基盤、センサネットワーク、モバイル通信、IoT、セキュリティなどに関心がある場合は、目に見えるサービスだけでなく、それを支える情報インフラにどのような課題があるのかを考えてみてください。そこから、自分ならどの部分を研究したいのかを具体化していくことが、研究計画や志望理由を深めることにつながります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。