
慶應大学院は独学で合格できる?準備しやすい部分と難しい部分
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する『慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド』をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは『慶應大学院は独学で合格できる?準備しやすい部分と難しい部分』です。
慶應義塾大学大学院を目指す際、「大学院受験のために予備校へ通う必要があるのか」「独学でも準備できるのか」と迷う人は少なくありません。特に大学院入試は、大学受験と比べて市販の参考書や合格体験記が少なく、何から始めればよいのか分かりにくい面があります。
独学で院試対策を進めること自体は可能です。ただし、必要な対策は研究科や入試方式によって異なり、現在の専門知識や英語力、研究経験によっても準備の難易度は変わります。また、専門科目や英語のように一人でも勉強しやすいものがある一方、研究計画書や面接のように、自分だけでは課題に気づきにくいものもあります。
大切なのは、「独学か予備校か」という二択で考えることではありません。自分で準備できる部分と、第三者の力を借りたほうがよい部分を整理することです。
まずは志望研究科の入試内容を把握する
独学で慶應大学院を目指すのであれば、最初に行いたいのが情報収集です。大学院入試は研究科によって選考方法が異なるため、一般的な「慶應大学院対策」だけでは十分ではありません。
志望する研究科の募集要項を確認し、出願資格、出願期間、必要書類、研究計画書の有無、専門科目、外国語、面接・口頭試問など、自分が受ける選考を整理しましょう。
たとえば、研究計画書と面接を中心に準備する入試と、専門科目の筆記試験への対策が必要な入試では、半年間の勉強時間の使い方も変わります。
独学で失敗しやすいのは、勉強量が不足している場合だけではありません。そもそも必要な対策を正確に把握できていないこともあります。まず公式情報から「何を準備すればよいのか」を洗い出すことが独学の第一歩です。
専門科目は比較的独学で進めやすい

筆記試験で専門科目が課される場合、試験範囲や過去問などを確認できれば、自分で学習計画を立てやすくなります。
最初に過去問を確認し、どのような分野から出題されているのか、自分に不足している知識は何かを整理します。そのうえで基本書や専門書を読み、知識を身につけてから問題演習へ進むという流れを作ることができます。
ただし、「過去問が解けるようになること」だけを目標にしないことも大切です。大学院入試では専門的な概念について論述を求められる場合もあります。用語を暗記するだけではなく、「なぜそうなるのか」「関連する理論には何があるのか」まで説明できるようにしておきましょう。
また、学部時代と異なる分野へ進学する場合には、基礎知識から学び直す必要があります。独学が可能かどうかを判断する際には、試験までの期間と現在の知識との差も考える必要があります。
英語も独学しやすいが、試験の選択を間違えない
英語も比較的独学で取り組みやすい分野です。外部英語試験を利用する場合には、市販教材や問題集などを使って自分で学習を進めることができます。
ただし、最初からTOEICやTOEFLなど特定の試験の勉強を始めるのではなく、志望研究科でどの英語試験が利用できるのかを確認することが先です。研究科・課程・入試方式によって英語の扱いは異なるため、自分が受験する選考に合わせて対策する必要があります。
英語が苦手な場合には、語彙や英文法などの基礎から学び直しても構いません。試験まで時間があるのであれば、早めに英語を始め、研究計画書の作成が本格化する時期までに一定の基礎力を身につけておくと、準備を進めやすくなります。
独学で難しくなりやすいのが研究テーマの設定
大学院入試で独学の難しさが表れやすいのが、研究計画書の作成です。特に最初の壁となるのが研究テーマの設定です。
「教育について研究したい」「企業のマーケティングを研究したい」といった興味はあっても、それだけでは研究テーマとしては広すぎます。そこから対象や問題を絞り、先行研究を調べ、具体的な研究上の問いへ変えていく必要があります。
独学の場合、自分では十分にテーマを絞ったつもりでも、第三者から見ると対象が広すぎたり、研究で明らかにしたいことが曖昧だったりすることがあります。
反対に、テーマを絞りすぎた結果、必要なデータを集められない計画になっていることもあります。研究テーマについては、「面白そうか」だけではなく、先行研究との関係や修士課程での実現可能性まで考える必要があります。
研究計画書は自分の文章を客観視しにくい
研究計画書を一人で作成する難しさは、自分の文章の問題点に自分では気づきにくいことです。
本人の頭の中では研究背景から研究目的まできれいにつながっていても、初めて読む人には「なぜこの問いが出てくるのか分からない」ということがあります。また、先行研究を並べただけで自分の研究課題が示されていない、研究目的と研究方法が対応していない、といった問題が生じることもあります。
そこで研究計画書を作成するときには、「研究背景」「問題意識」「先行研究」「研究目的」「研究方法」が論理的につながっているかを確認しましょう。
可能であれば、完成直前になって初めて他人に見せるのではなく、研究テーマを設定した段階、初稿を書いた段階、仕上げの段階など、途中で第三者から意見をもらうと修正しやすくなります。
「先輩や教授に見てもらえば十分」とは限らない

研究計画書について第三者の意見をもらう場合、誰に相談するかも考える必要があります。志望研究科の在学生や修了生であれば、自分が経験した入試について有益な話を聞ける可能性があります。
一方、その人が合格した年度と現在では入試制度が変わっている場合があります。また、自分自身が合格した経験があっても、他人の研究計画書を指導する専門家とは限りません。
教員への相談についても、研究科側が研究相談や事前コンタクトについてどのように案内しているかを確認する必要があります。教員に研究計画書の添削を依頼することを前提に受験準備を進めるのではなく、募集要項や公式案内に従いましょう。
面接対策は完全な一人練習に限界がある
面接や口頭試問が行われる場合にも、独学には難しい部分があります。想定質問を書き出して回答を作るところまでは一人でもできますが、実際の面接では、自分が準備していなかった質問をされることがあります。
「なぜこの研究方法なのですか」「その研究にはどのような新規性がありますか」「そのデータが集まらなかった場合はどうしますか」と質問され、回答した内容についてさらに質問されることも考えられます。
一人で練習していると、自分が答えやすい質問ばかりを選びがちです。第三者との模擬面接では、予想していなかった角度から質問してもらえるため、その場で考えて説明する練習ができます。
また、回答内容だけでなく、「説明が長すぎる」「質問と答えがずれている」「専門用語の説明が不足している」といった、自分では気づきにくい点についてフィードバックを受けられることもメリットです。
独学で一番怖いのは「間違った方向で努力すること」
独学というと、「モチベーションを維持できるか」が問題になりやすいですが、それ以上に注意したいのが方向性です。
毎日数時間勉強していても、志望研究科で必要のない英語試験を勉強していたり、研究計画書で求められている内容を誤解していたりすれば、努力が十分に入試対策へ結びつかない可能性があります。
そのため、独学では定期的に「今やっていることは本当に必要なのか」を確認しましょう。募集要項、研究科の公式サイト、過去問、シラバスなどの一次情報へ戻り、自分の学習計画とずれていないかを確認する習慣が重要です。
社会人の独学ではスケジュール管理が重要
社会人が独学で院試を目指す場合には、学習内容だけではなく時間管理も課題になります。仕事が忙しくなると、英語や専門科目は続けられても、まとまった時間が必要な研究計画書が後回しになることがあります。
そのため、「空いている時間に院試対策をする」のではなく、あらかじめ院試のための時間を確保しておく方法があります。平日は英語や文献を読む時間、休日は研究計画書を書く時間というように、作業内容を分けるのも一つの方法です。
また、試験日からではなく出願日から逆算することも重要です。研究計画書や志望理由書などは出願時点で完成している必要があります。出願直前に書き始めるのではなく、初稿、修正、第三者による確認、最終修正まで含めたスケジュールを組みましょう。
独学に向いている人はどんな人?
独学に向いているのは、自分で必要な情報を調べ、計画を立て、その計画を修正しながら進められる人です。分からないことが出てきたときに、募集要項や論文などを調べて解決する習慣がある人も、独学を進めやすいでしょう。
一方、「研究テーマをどう決めればよいか分からない」「研究計画書を書いてみたが良いのか悪いのか判断できない」「仕事が忙しく一人では進捗管理が難しい」という場合には、部分的に第三者のサポートを利用する方法もあります。
最初からすべてを他人に任せる必要はありません。英語や専門科目は自分で勉強し、研究テーマの整理、研究計画書、面接など、自分だけでは判断しにくい部分についてサポートを受けるという方法も考えられます。
独学か予備校かではなく「どこに支援が必要か」を考える

慶應大学院を目指す際、「独学でなければならない」「予備校へ行かなければ合格できない」と二者択一で考える必要はありません。
まず自分で募集要項を確認し、必要な対策を書き出してみましょう。専門科目は自分で勉強できる、英語も学習計画を立てられるという人であれば、その部分は独学で進められます。
一方、研究テーマを学術的な問いへ変える方法が分からない、研究計画書を客観的に評価できない、面接でどこまで深掘りされるのか不安という場合には、その部分だけ第三者の視点を取り入れることも選択肢になります。
重要なのは、独学という方法そのものにこだわることではなく、自分の弱点を把握し、限られた受験準備期間をどこに使うかを判断することです。
慶應大学院の入試は研究科や入試方式によって必要な準備が異なります。まず公式情報から自分の受験に必要なものを整理し、独学できる部分とサポートが必要な部分を分けてみましょう。そのうえで早めに準備を始めることが、無理のない院試対策につながります。
この記事の内容は執筆時点の情報です。出願資格、提出書類、研究計画書の有無、筆記試験、外国語試験、面接・口頭試問などの選考方法は、研究科・課程・入試方式・年度によって異なります。受験を検討する際は、必ず慶應義塾大学および各研究科の最新の募集要項・公式サイトをご確認ください。
志樹舎
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


