KMDの研究テーマから自分に合う研究室の見つけ方

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDの教員紹介29回総まとめ|研究テーマから自分に合う分野を探す」です。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)への進学を検討する際、多くの受験生が悩むのが、自分の研究テーマに合う教員や研究分野をどのように探せばよいのかという問題です。

KMDには、情報技術、デザイン、メディア表現、経営、起業、教育、社会課題など、さまざまな専門分野に関わる教員が紹介されています。

そのため、興味のある分野が明確な方にとっては魅力的な研究環境である一方、研究テーマをまだ絞り込めていない方にとっては、どの教員の研究を調べればよいのか迷うこともあるでしょう。

これまで志樹舎では、KMDの教員29名を対象とした個別紹介記事に加え、VR・XR、AI、ハプティクス、起業・スタートアップ、教育、アクセシビリティなど、研究テーマ別の解説記事をお届けしてきました。

今回の記事では、これまでのシリーズを振り返りながら、KMDの研究分野を整理し、自分に合う研究テーマや教員を見つけるための考え方を詳しく解説します。

KMDの教員紹介29回シリーズとは?

今回のシリーズでは、KMD公式サイトの教員一覧に掲載されていた情報をもとに、専任教員20名、特任・兼任教員9名、合わせて29名の専門分野や経歴を個別に紹介してきました。

教員のプロフィールを調べると、専門分野だけでなく、これまでに取り組んできた研究や、企業・研究機関での活動経験など、さまざまな特徴が見えてきます。

例えば、同じ情報技術に関係する教員であっても、コンピュータネットワークの基盤技術を専門とする場合と、人間が技術をどのように利用するのかを研究する場合では、研究の方向性が異なります。

また、同じデザインという言葉を使っていても、製品のデザイン、ユーザー体験、メディアアート、サービス開発など、対象となる領域はさまざまです。

こうした違いを理解するためには、教員の名前や職位だけでなく、具体的な研究テーマまで確認することが重要です。

なお、29名という人数はシリーズ制作時点で対象とした教員数です。現在の教員数や所属、研究指導体制については、必ず最新の公式サイトをご確認ください。

研究テーマ別の記事からKMDの全体像をつかむ

KMDの幅広い研究テーマを整理して自分に合う分野を探すイメージ

教員29名のプロフィールを最初からすべて読むこともできますが、まだ研究テーマが定まっていない場合には、研究分野別のまとめ記事から読み始める方法もおすすめです。

これまでのシリーズでは、VR・XR、AI、HCI、ハプティクス、ゲーム・エンタテインメント、起業・スタートアップ、教育とテクノロジー、アクセシビリティ、インターネット・セキュリティ、身体性メディアなどを取り上げてきました。

これらの研究分野は、それぞれ独立しているわけではありません。

例えば、VRの研究には、コンピュータグラフィックスやプログラミングだけでなく、人間の感覚や認知、インタラクションデザインなどが関係します。

また、教育とテクノロジーの研究では、AIやVRを活用する場合もあれば、教育制度や学習環境の設計に注目する場合もあります。

研究テーマ別の記事を読み比べることで、一つの関心が複数の専門分野につながっていることを理解しやすくなります。

技術・HCI系の研究分野

KMDの研究分野を整理するうえで、まず注目したいのが、情報技術と人間の関係を扱う領域です。

HCIは、Human-Computer Interactionの略称で、人間とコンピュータの相互作用を研究する分野です。

例えば、スマートフォンやスマートグラスの操作方法、VR空間での身体の動き、触覚を利用した情報提示などが研究対象になります。

KMDでは、ハプティクスや人間拡張を専門とするKouta Minamizawa氏、ウェアラブルコンピューティングを専門とするKai Kunze氏、デジタルファブリケーションやインタラクティブメディアを専門とするJunichi Yamaoka氏などの研究分野が参考になります。

また、Mauricio Sousa氏のように、HCIや空間コンピューティングに関係する研究を行う教員も紹介されています。

この領域に関心がある場合には、技術そのものを開発したいのか、人間の行動や感覚を研究したいのか、あるいは新しいユーザー体験を設計したいのかを整理することが重要です。

VR・XR・身体性メディアに関心がある場合

VRやXRに関心がある方は、身体性メディアやハプティクスとの関係にも注目するとよいでしょう。

身体性メディアとは、人間の身体や感覚を通じて情報をやり取りする技術や表現を扱う領域です。

例えば、VR空間で物体に触れた感覚を再現する技術や、遠隔地にいる人の身体動作を共有する技術などが考えられます。

Kouta Minamizawa氏のハプティクスや人間拡張に関する専門性は、こうした領域を理解するうえで参考になります。

また、VRや代替現実、認知心理学、身体情報学などを専門とする脇坂崇平氏の研究分野も関連します。

さらに、デジタルファブリケーションやインタラクティブメディアを専門とするJunichi Yamaoka氏の研究分野からは、身体で操作できる装置や新しいメディア表現について考えることができます。

同じVRという言葉を使っていても、装置の開発、身体感覚の研究、利用者の認知、コンテンツ制作など、研究の切り口は大きく異なります。

AI・データ活用に関心がある場合

AIに関心がある場合には、まず自分がAIのどの側面を研究したいのかを整理する必要があります。

例えば、AIのアルゴリズムそのものを研究したいのか、AIを利用した新しいサービスを開発したいのか、人間とAIの関係を研究したいのかによって、適した研究環境は異なります。

KMDのようにメディアデザインを扱う研究科では、AIを利用したユーザー体験や、人間と技術の関係などが研究テーマの候補になります。

例えば、ウェアラブルデバイスから取得した情報をAIで分析し、利用者へ適切な情報を提示する仕組みが考えられます。

また、教育分野では、学習者の理解度に応じた支援や、AIを利用した学習環境の設計なども研究の切り口になります。

ただし、AIに関連する研究を行っていることと、AIの基礎理論を専門的に研究できることは同じではありません。

希望する研究内容に応じて、KMD以外の研究科とも比較することが重要です。

デザイン・メディア表現系の研究分野

デザインやメディア表現に関心がある場合には、作品制作と学術研究の違いを理解しておくことが重要です。

例えば、新しいゲームや映像作品を制作したいという目標は、研究の出発点になることがあります。

しかし、大学院では、作品を制作すること自体に加えて、その表現方法にどのような新規性があるのか、利用者の体験にどのような影響を与えるのかなどを検討する必要があります。

KMDでは、エンタテインメントデザインやメディアアートに関係する稲蔭正彦氏、ゲームやシナスタジア体験の拡張などに関わる水口哲也氏などの専門分野が参考になります。

例えば、音楽と映像を組み合わせた体験や、触覚を利用したインタラクティブな表現などが研究テーマとして考えられます。

デザインや表現を研究したい方は、自分がどのような体験を実現したいのかを具体的に考えることが重要です。

ゲーム・エンタテインメント研究の広がり

ゲームやエンタテインメントの研究は、コンテンツ制作だけに限定されません。

例えば、ゲームの操作方法が利用者の没入感に与える影響や、音楽と映像の組み合わせが感情に与える影響なども研究テーマになります。

また、VRや触覚技術を利用することで、従来とは異なるエンタテインメント体験を設計することも考えられます。

さらに、ゲームやエンタテインメントの技術を教育や医療、コミュニケーションなどへ応用する研究も考えられます。

例えば、ゲームの仕組みを学習活動へ取り入れる場合には、学習意欲や継続性への影響を調べることができます。

このように、ゲームに関心がある場合でも、研究対象を技術、体験、心理、社会的な活用などに分けて考えることが重要です。

経営・起業・スタートアップ系の研究分野

KMDで起業やスタートアップ、新規事業開発の研究テーマを検討するイメージ

KMDには、技術やデザインだけでなく、経営や起業に関係する専門分野を持つ教員も紹介されています。

例えば、経営戦略論や起業家活動を専門とするJungeun Elly Kim氏、アントレプレナーシップに関係するShutaro Takeda氏などの専門分野が参考になります。

起業に関心がある場合には、単に会社を設立する方法を学ぶだけでなく、新しい技術やサービスをどのように社会へ届けるのかという問題を研究することが考えられます。

例えば、技術系スタートアップが研究成果を事業化する際に直面する課題や、新規事業開発における顧客理解の方法などが研究テーマになります。

また、国際的な市場への進出や、サステナビリティと事業開発の関係なども研究の切り口として考えられます。

ただし、経営学そのものを体系的に学びたい場合には、ビジネススクールとの比較も重要です。

教育・学習系の研究分野

教育に関心がある方は、学習科学や教育工学、教育環境のデザインなどの専門分野を確認するとよいでしょう。

KMDでは、学習科学や教育工学などを専門とするSandra Yu Okita氏、デジタルコミュニケーションや教育環境のデザインに関係する大川恵子氏などの専門分野が参考になります。

また、子どもとメディアの関係に関心がある場合には、Nanako Ishido氏の専門分野も研究テーマを考える手がかりになります。

例えば、AIを利用した学習支援、VRを活用した体験型学習、オンライン環境での協働学習などが研究テーマとして考えられます。

また、デジタル技術を利用できる環境が学習者によって異なる場合には、教育格差やアクセシビリティの問題も関係します。

教育とテクノロジーを研究したい方は、教育制度そのものに関心があるのか、学習者の行動に関心があるのか、新しい学習環境を開発したいのかを整理するとよいでしょう。

アクセシビリティ・インクルーシブデザインの研究分野

アクセシビリティは、年齢や障害の有無などにかかわらず、必要な情報やサービスへアクセスしやすくすることに関係する考え方です。

例えば、視覚や聴覚に制約のある利用者がデジタルサービスを利用する際には、情報の提示方法や操作方法などを工夫する必要があります。

KMDでは、アクセシビリティや障害学、インクルーシブデザインなどに関係するGiulia Barbareschi氏の専門分野が参考になります。

また、発達障害や自閉症に関係する社会学的な研究に関心がある場合には、四宮佐和子氏の専門分野も確認する価値があります。

アクセシビリティの研究では、技術を開発するだけでなく、実際の利用者がどのような課題を抱えているのかを理解することが重要です。

そのため、利用者へのインタビューや観察、試作品の評価など、研究方法についても検討する必要があります。

インターネット・セキュリティ系の研究分野

インターネットやセキュリティに関心がある場合には、通信基盤そのものを研究したいのか、安全なシステム運用に関心があるのか、次世代の通信方式を研究したいのかを整理することが重要です。

KMDでは、コンピュータネットワークやインターネット基盤技術に関係するAkira Kato氏、モバイル通信技術やセンサネットワークを専門とする砂原秀樹氏などの専門分野が参考になります。

また、コンピュータセキュリティや運用技術に関係する加藤大弥氏、量子インターネットに関係するShota Nagayama氏などの専門分野も紹介してきました。

同じインターネットという言葉を使っていても、通信方式、システム運用、セキュリティ、次世代ネットワークなど、研究対象は異なります。

自分がどの技術的な課題に関心を持っているのかを明確にし、関連する教員の研究成果を確認することが重要です。

実務家教員の経歴から研究分野を考える

KMDの教員紹介シリーズでは、企業経営や起業、行政などの実務経験を持つ教員についても取り上げてきました。

例えば、行政と企業経営の両方で経験を持つHiro Kishi氏、ディープテック分野での起業経験を持つShutaro Takeda氏、国際的な企業経営経験を持つJungeun Elly Kim氏などが挙げられます。

また、技術開発と企業経営に関わる堀江新氏、エンタテインメント分野で活動してきた水口哲也氏、デザイン分野で実務経験を持つMatthew Waldman氏なども紹介してきました。

こうした経歴は、研究成果を社会へ届ける方法や、実務上の課題を研究テーマへ発展させる方法を考えるうえで参考になります。

ただし、実務経験が豊富な教員であっても、現在の研究指導内容が過去の職務経験と一致するとは限りません。

教員の経歴と専門分野を区別して確認することが大切です。

海外経験を持つ教員から見るKMDの国際性

教員紹介シリーズでは、海外の大学や研究機関で経験を積んできた教員についても整理しました。

例えば、ドイツやアメリカで研究経験を持つKai Kunze氏、フランスと日本の研究機関で活動してきたGuillaume Gourmelen氏などが挙げられます。

また、オーストラリアや韓国で学位を取得したJungeun Elly Kim氏、ハーバード大学や国際機関での経験を持つShutaro Takeda氏なども紹介しました。

海外経験を持つ教員の経歴は、国際的な研究活動や異なる文化的背景の中での学びを考えるうえで参考になります。

ただし、海外経験を持つ教員が在籍していることと、学生が必ず国際共同研究や海外留学に参加できることは同じではありません。

現在の研究プロジェクトや研究指導体制を確認することが重要です。

複数の研究分野にまたがるテーマをどう考える?

KMDの研究分野を調べていると、一つのテーマが複数の専門分野に関係していることに気づく場合があります。

例えば、VRを利用した教育システムを研究したい場合には、VR技術だけでなく、学習科学や教育工学、HCIなどが関係します。

また、AIを利用したアクセシビリティ支援技術を研究したい場合には、AI、HCI、インクルーシブデザインなどが関係します。

さらに、触覚技術を利用した新しいエンタテインメント体験を研究したい場合には、ハプティクス、VR、メディア表現などが関係します。

このように、複数の専門分野を組み合わせることで、新しい研究テーマが生まれる可能性があります。

ただし、関心のある分野を単純に組み合わせるだけでは、研究テーマとして十分ではありません。

どのような課題を解決したいのか、何を明らかにしたいのかを具体的に考えることが重要です。

自分に合う研究分野を探すための5つのステップ

KMDの教員情報を比較しながら研究テーマと志望分野を絞り込むイメージ

研究テーマがまだ明確でない場合には、段階的に関心を整理することをおすすめします。

最初のステップは、自分が興味を持っている技術や社会課題を書き出すことです。

例えば、AI、VR、教育、起業、アクセシビリティなど、最初は大まかな言葉でも構いません。

次のステップでは、そのテーマの中で何に関心があるのかを具体的にします。

例えば、VRに関心がある場合には、VR装置の開発、身体感覚、教育への応用、エンタテインメント体験などに分けて考えることができます。

3つ目のステップでは、研究テーマ別のまとめ記事を読み、関連する教員を探します。

4つ目のステップでは、候補となる教員の公式プロフィールや研究プロジェクト、論文などを確認します。

最後のステップでは、自分の研究テーマと教員の専門分野がどのようにつながるのかを整理します。

このように段階的に調べることで、単に興味のある分野を探すだけでなく、大学院で取り組みたい研究を具体化しやすくなります。

研究テーマを具体化するための問いの立て方

研究テーマを考える際には、興味のある分野をそのまま研究テーマにするのではなく、研究上の問いへ発展させることが重要です。

例えば、「AIに関心がある」という段階では、研究対象が広すぎる場合があります。

そこで、「AIを利用した学習支援は、学習者の理解度にどのような影響を与えるのか」という問いへ具体化することが考えられます。

また、「VRに関心がある」という場合には、「VR空間での触覚情報は、利用者の没入感にどのような影響を与えるのか」という問いを考えることができます。

さらに、「起業に関心がある」という場合には、「技術系スタートアップが研究成果を事業化する際には、どのような課題が生じるのか」といった問いが考えられます。

重要なのは、研究テーマを具体化することで、必要な専門分野や研究方法が見えてくることです。

教員の専門分野と研究テーマの一致を確認する

研究テーマをある程度具体化できたら、次に確認したいのが、教員の専門分野との一致です。

例えば、VRを利用した教育システムを研究したい場合には、VR技術に関係する教員だけでなく、教育工学や学習科学に関係する教員の研究も参考になります。

また、技術系スタートアップの事業化を研究したい場合には、技術開発に関係する教員と、経営戦略や起業家活動に関係する教員の研究を比較することが考えられます。

ただし、専門分野が近いという理由だけで、希望する研究指導を受けられるとは限りません。

教員が現在どのような研究プロジェクトに関わっているのか、学生の研究指導をどのように担当しているのかを確認することが重要です。

教員の論文や研究プロジェクトを確認する方法

教員の専門分野を理解するためには、公式プロフィールに掲載されている研究キーワードだけでなく、実際の研究成果を確認することが重要です。

例えば、研究プロジェクトの紹介ページでは、どのような課題を解決しようとしているのか、どのような技術や方法を利用しているのかが紹介されている場合があります。

また、論文のタイトルや概要を確認することで、研究の対象や方法を理解しやすくなります。

論文を読む際には、最初からすべての内容を理解しようとする必要はありません。

まずは、研究目的、研究方法、主な結果、今後の課題などを整理するとよいでしょう。

そのうえで、自分の研究テーマと共通する部分があるかを考えることが重要です。

研究テーマが複数ある場合の優先順位

大学院への進学を考える方の中には、複数の研究テーマに関心を持っている方もいるでしょう。

例えば、AIと教育、VRとエンタテインメント、起業とサステナビリティなど、複数の分野に興味を持つことは珍しくありません。

その場合には、まず自分が最も解決したい課題は何かを考えることが重要です。

例えば、教育に関心がある場合には、AIを利用すること自体が目的なのか、それとも学習者の理解を支援することが目的なのかを整理します。

もし学習者の理解を支援することが目的であれば、AIはその課題を解決するための手段の一つになります。

このように、研究目的と研究手段を区別することで、複数の関心を一つの研究テーマへ整理しやすくなります。

KMDと他研究科を比較することも重要

KMDの研究分野を調べる際には、他の研究科との違いも確認しておくとよいでしょう。

例えば、情報技術の基礎理論や高度な工学的研究に関心がある場合には、理工学研究科なども比較対象になります。

また、経営学を体系的に学びたい場合には、経営管理研究科(KBS)との比較が重要になる場合があります。

さらに、社会課題や政策、教育などに関心がある場合には、政策・メディア研究科などの研究内容も参考になります。

同じ研究テーマであっても、研究科によって研究方法や教育内容、重視する視点が異なる場合があります。

自分が何を研究したいのかだけでなく、どのような方法で研究したいのかを考えることが、研究科選びの重要なポイントです。

社会人経験を研究テーマへ発展させる

社会人としての経験を持つ方がKMDへの進学を考える場合には、これまでの仕事で感じてきた課題を研究テーマへ発展させることが考えられます。

例えば、システム開発に携わってきた方であれば、利用者が使いやすいシステムの設計方法を研究することができます。

また、営業やマーケティングに携わってきた方であれば、顧客の課題を把握する方法や、新しいサービスの価値をどのように伝えるのかという問題を研究することもできます。

さらに、教育分野で働いてきた方であれば、デジタル技術を利用した学習環境の改善などが研究テーマになる場合があります。

重要なのは、職務経験をそのまま説明することではなく、経験から見いだした課題を研究上の問いへ発展させることです。

研究計画書では研究テーマと方法を明確にする

研究計画書を作成する際には、研究テーマだけでなく、研究目的や研究方法を具体的に説明することが重要です。

例えば、「VRを利用した教育システムを開発したい」という目標だけでは、何を研究するのかが十分に明確ではない場合があります。

そこで、「VRを利用した学習体験が、学習者の理解度や学習意欲にどのような影響を与えるのかを明らかにしたい」という形で研究目的を具体化します。

さらに、研究方法として、試作品の開発や利用者への実験、アンケート調査などを検討することが考えられます。

ただし、実際にどのような研究方法が適切かは、研究テーマや利用できる設備、研究期間などによって異なります。

研究計画書では、研究の新規性だけでなく、実現可能性についても検討することが重要です。

志望理由書ではなぜKMDなのかを説明する

志望理由書では、「KMDには幅広い専門分野の教員がいるから」「学際的な研究ができるから」という説明だけでは、志望理由として十分ではない場合があります。

重要なのは、その研究環境が自分の研究目的とどのようにつながるのかを説明することです。

例えば、VRと教育を組み合わせた研究を希望する場合には、技術開発と学習科学の両方に関心がある理由を説明することが考えられます。

また、技術系スタートアップに関心がある場合には、技術開発と事業化を結びつけて研究したいという問題意識を示すことができます。

さらに、社会人経験がある場合には、これまでの仕事で直面した課題と、大学院で研究したい内容を結びつけることも重要です。

教員の名前や専門分野を挙げるだけでなく、自分の研究テーマとの接点を具体的に説明できるようにしましょう。

面接・口述試験に向けて準備したいこと

大学院入試で面接や口述試験が実施される場合には、研究テーマや志望理由について具体的に説明できるようにしておくことが重要です。

例えば、「なぜその研究テーマに関心を持ったのか」「なぜKMDで研究したいのか」「どのような方法で研究を進めたいのか」といった質問が考えられます。

また、希望する教員の専門分野と自分の研究テーマの関係について説明できるようにしておくことも大切です。

ただし、教員のプロフィールを暗記することが目的ではありません。

研究内容を理解したうえで、自分が何を明らかにしたいのかを説明することが重要です。

出願前に必ず確認したいこと

KMDへの出願を検討する際には、まず公式サイトの最新情報を確認しましょう。

教員の所属や職位、専門分野、研究プロジェクトなどは変更される場合があります。

また、専任教員、特任教員、兼任教員など、教員の所属区分によって研究指導への関わり方が異なる可能性があります。

希望する教員が現在どのような研究指導を担当しているのかについても、最新の公式情報や説明会などで確認することが重要です。

さらに、出願資格、提出書類、英語に関する要件、研究計画の扱い、試験内容などについては、必ず受験年度の募集要項を確認してください。

過去の記事や教員プロフィールだけを根拠に、現在の入試制度を判断しないようにしましょう。

まとめ

今回のシリーズでは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)の教員29名を対象とした個別紹介記事と、研究テーマ別のまとめ記事を通じて、KMDの研究分野の広がりを紹介してきました。

KMDには、VR・XR、AI、HCI、ハプティクス、ゲーム・エンタテインメント、起業・スタートアップ、教育、アクセシビリティ、インターネット・セキュリティなど、さまざまな専門分野に関係する教員が紹介されています。

また、企業経営や起業の実務経験を持つ教員、海外の大学や研究機関で経験を積んできた教員など、経歴の面でも多様性が見られます。

ただし、研究分野が幅広いことだけを理由にKMDを選ぶのではなく、自分が何を研究したいのかを明確にすることが重要です。

研究テーマを探す際には、まず自分の関心を整理し、研究テーマ別の記事から関連する教員を探す方法がおすすめです。

そのうえで、教員の公式プロフィールや研究プロジェクト、論文などを確認し、自分の研究目的との接点を具体的に検討しましょう。

研究計画書や志望理由書を作成する際には、単に興味のある分野や教員を紹介するだけでなく、なぜその研究を行いたいのか、どのような方法で研究を進めたいのかを説明することが重要です。

これまでの教員紹介シリーズを参考にしながら、自分に合った研究テーマや研究環境を見つけ、KMDへの出願準備を進めていただければ幸いです。


※本記事は、KMD公式サイトの教員プロフィール情報をもとに制作した教員紹介シリーズを総括したものです。教員29名という人数や所属区分はシリーズ制作時点の情報であり、現在の教員構成を示すものではありません。教員の所属・職位・専門分野・研究指導体制、研究プロジェクト、入試制度などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の入学試験要項をご確認ください。

志樹舎 では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。