
慶應大学院は社会人でも通える?仕事と大学院を両立するポイント
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「慶應大学院は社会人でも通える?仕事と大学院を両立するポイント」です。
社会人として働きながら大学院進学を考える場合、入試対策と同じくらい重要なのが、入学後に仕事と学業を両立できるかという問題です。大学院では授業を受けるだけではなく、文献を読む時間、レポートや発表の準備、研究活動、指導教員とのやり取りなどにも時間が必要になります。さらに、勤務先の繁忙期や通学時間、学費なども考えなければなりません。今回は、慶應義塾大学大学院への進学を検討する社会人が、研究科選びから出願準備、入学後の生活までを考える際に確認しておきたいポイントを整理します。
「社会人がいる」と「働きながら通える」は分けて考える

慶應義塾大学大学院には、システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)、メディアデザイン研究科(KMD)、経営管理研究科(KBS)、健康マネジメント研究科など、社会人が進学先として検討する研究科があります。しかし、ここで注意したいのは、社会人が在籍している研究科だからといって、現在の勤務形態をまったく変えずに通えるとは限らないことです。
研究科によって授業の曜日や時間帯、キャンパス、履修の仕組みは異なります。また、同じ研究科であっても、選択する科目によって授業時間が異なることがあります。自分が履修したい授業が平日の昼間に開講されているのであれば、フルタイム勤務との調整が必要になるでしょう。
さらに、大学院生活は時間割だけでは判断できません。研究テーマによっては、授業とは別に資料収集や調査、グループでの活動、研究に関する打ち合わせなどが必要になる場合があります。そのため、研究科を選ぶときには「夜間や土曜日に授業があるか」という一点だけを見るのではなく、自分が希望する研究を実際に進める場合、週の中でどの程度の時間が必要になるのかまで考えることが重要です。
まずは最新のカリキュラムや時間割、キャンパスなどを確認しましょう。説明会などで質問できる機会があれば、仕事を続けながら在籍している学生がどのように履修しているのかを確認することも、進学後を具体的に考える材料になります。
授業以外に必要な時間まで計算してみる
社会人の大学院進学で見落としやすいのが、授業時間以外の負担です。例えば一週間に数回しか授業がないとしても、それだけで「仕事と両立できる」と判断するのは早いでしょう。授業の予習や復習、指定された文献の読み込み、レポート、発表資料の作成など、自宅で取り組む作業も発生します。
さらに修士課程では、自分自身の研究を進める時間も確保しなければなりません。研究テーマを具体化し、先行研究を調べ、必要な資料やデータを集め、それを整理して文章にしていくには、まとまった時間が必要です。修士論文などに取り組む時期には、授業中心だった時期とは時間の使い方が変わることも考えられます。
進学前には、平日と休日の一週間を簡単に書き出してみる方法があります。勤務時間、通勤時間、睡眠時間など、すでに動かしにくい予定を入れたうえで、大学院に使える時間がどこにあるのかを確認します。例えば、平日の夜を授業や文献を読む時間にし、休日に研究を進めるなど、自分なりの生活を具体的に想定してみましょう。
さらに、自分の仕事の年間スケジュールを振り返ることも重要です。決算期、年度末、繁忙期などと、大学院の課題や研究が重なる可能性もあります。毎週の予定だけではなく、一年間の仕事の波まで考えておくと、両立の現実性を判断しやすくなります。
勤務先との調整は進学後ではなく事前に考える
現在の仕事を続けながら大学院へ通うのであれば、勤務先との関係も重要になります。定時後の時間だけですべて対応できるとは限らないため、自分の働き方でどこまで調整できるのかを確認しておきましょう。
例えば、授業開始時刻に間に合うためには何時に勤務先を出る必要があるのか、キャンパスまで何分かかるのかを実際の移動時間で考えます。残業が日常的に発生する仕事であれば、授業がある日に残業を避けられるのかも確認が必要です。出張や休日出勤が多い場合には、それらが履修にどのような影響を与えるかも考えておく必要があります。
また、勤務先に大学院進学や学習に関する支援制度がある場合には、対象となる条件を確認しておく方法もあります。費用面の支援だけではなく、勤務時間や休暇などに関する制度が設けられている可能性もあるため、自分の会社の規程を調べておくとよいでしょう。
仕事を続けることを前提にする場合は、「何とかなるだろう」と考えるより、授業がある日の勤務、繁忙期、研究時間をどのように確保するのかを具体化しておくことが大切です。
実務経験をそのまま研究テーマにしないことも重要

社会人受験生にとって、これまでの実務経験は研究テーマを考える大きな材料になります。仕事をしていると、「なぜこの問題は繰り返されるのか」「現在の方法以外に解決策はないのか」など、実務の中からさまざまな疑問が生まれます。こうした疑問は、大学院で研究したいことを考える出発点になります。
ただし、仕事上の課題と学術的な研究は同じではありません。例えば「自社の売上を伸ばしたい」「社内の業務を改善したい」という目的だけでは、業務上の課題解決にとどまります。そこから、どのような現象について明らかにしたいのか、他の組織や事例にも関係する問いとして考えられるのか、どのような方法で調べるのか、といった視点で研究テーマを整理していく必要があります。
研究計画書を準備するときには、「これまでどのような仕事をしてきたか」「その中でどのような問題意識を持ったか」「何を明らかにしたいのか」「なぜ大学院で研究する必要があるのか」という順番で整理すると、自分の経験と研究との関係が見えやすくなります。
社会人としての経歴を長く説明することよりも、その経験が現在の研究関心にどうつながったのかを示すことが重要です。
出願時点で「なぜ今大学院なのか」を整理しておく
社会人が大学院を目指す場合には、進学そのものを目的にするのではなく、「なぜ今なのか」まで考えておくことが大切です。仕事を続けてきた中で、なぜ改めて大学院で学ぶ必要を感じたのかを振り返ってみましょう。
例えば、実務経験だけでは解決できない課題が見えてきた、専門分野について体系的に学び直したい、これまでの経験を研究という形で整理したいなど、進学を考え始めた背景は人によって異なります。その理由を、自分が研究したいテーマや志望する研究科の特徴とつなげていきます。
また、「慶應義塾大学大学院で学びたい」という段階から、さらに「なぜこの研究科なのか」まで具体化する必要があります。研究科のカリキュラム、所属教員の研究領域などを確認し、自分が取り組みたい研究との接点を探していきましょう。
これは志望理由書や研究計画書だけではなく、面接がある場合の準備にもつながります。仕事の経験、進学を考えた理由、研究したいこと、志望研究科を選んだ理由、修了後に考えていることが大きく矛盾していないかを確認しておくと、自分の進学目的そのものも整理できます。
学費・通学・働き方まで含めて進学を判断する

社会人が大学院へ進学する場合には、入試に合格することだけではなく、修了まで学び続けられる環境を準備する必要があります。学費はもちろん、キャンパスまでの交通費、研究活動に伴う費用なども含め、在学中にどの程度の負担があるのかを考えておきましょう。
また、仕事を減らしたり働き方を変えたりする場合には、学費だけではなく収入の変化も考える必要があります。反対に、現在と同じ勤務を続けるのであれば、研究に必要な時間を確保できるかが課題になります。時間と収入のどちらを優先するかではなく、自分にとって継続可能な組み合わせを考えることが重要です。
研究科によって長期履修などに関する制度が設けられている場合には、対象者、利用条件、履修期間、学費の扱いなどを公式情報で確認しましょう。勤務先に進学支援制度がある場合も同様に、利用条件を事前に確認しておくことが必要です。
さらに、予定を仕事と大学院だけで埋めてしまうと、長期間続けることが難しくなる可能性があります。睡眠や休息、家族との時間なども含めて生活全体を考え、「入学できるか」ではなく「修了まで続けられるか」という視点で判断してみてください。
まとめ
社会人が慶應義塾大学大学院への進学を検討する場合は、社会人学生がいるかどうかだけでなく、自分の働き方で実際に通えるのかを具体的に確認する必要があります。授業の曜日や時間帯、キャンパスだけではなく、予習やレポート、研究活動などに必要な時間まで含めて考えることが重要です。
また、社会人として積み重ねてきた経験は、研究テーマや志望理由を考える材料になります。仕事で感じた問題意識をそのまま書くのではなく、何を研究として明らかにしたいのかまで掘り下げることで、大学院で取り組みたい内容が具体的になっていきます。
研究科を選ぶ際には、「受験できるか」「社会人でも在籍できるか」だけで判断せず、現在の勤務をどこまで続けるのか、研究時間をどう確保するのか、費用をどう準備するのか、そしてなぜ今大学院で学ぶのかまで整理してみましょう。入試対策と同時に入学後の生活を具体的に考えておくことが、社会人の大学院進学を検討するうえで大切な準備になります。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、試験内容、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


