教育×テクノロジーの最前線、KMDで学べることとは

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDで教育×テクノロジーを研究するには?」です。

AIやデジタル教材、オンライン学習、教育用ロボットなど、教育の現場ではさまざまなテクノロジーが活用されています。こうした技術を利用して新しい学習体験を生み出したい、教育格差の解消に取り組みたい、子どもたちの学びをより豊かにしたいと考える方もいるのではないでしょうか。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)は、テクノロジー、デザイン、メディア、社会との関係を横断的に考える研究科です。教育とテクノロジーを組み合わせた研究に関心がある方にとっても、検討対象の一つになります。

ただし、教育×テクノロジーという言葉が含む研究領域は非常に幅広く、学習の仕組みそのものを明らかにする研究と、デジタル教材を開発する研究、教育を受ける環境を整備する研究では、必要となる知識や研究方法が異なります。

KMD公式サイトの教員紹介を見る際にも、「教育」という言葉が専門分野に含まれているかどうかだけで判断するのではなく、学習科学、教育工学、認知科学、デジタルコミュニケーション、メディアなど、教育と接点を持つ専門分野を確認することが重要です。

この記事では、KMDで教育×テクノロジーに関連する研究を考える際に注目したい教員の専門分野と、研究テーマを具体化するためのポイントを解説します。

KMDで教育×テクノロジーを研究するとは?

KMDでデジタル技術を活用した新しい学習体験を研究するイメージ

教育とテクノロジーを組み合わせた研究というと、タブレット教材やオンライン授業、AIを利用した学習支援などを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、大学院で教育を研究する場合には、単に新しい技術を導入することだけが目的になるわけではありません。

例えば、AIによるフィードバックは学習者の理解にどのような影響を与えるのか、ロボットとの対話は子どもの学習意欲をどのように変化させるのか、オンライン学習環境では学習者同士の協働をどのように支援できるのかといった問いが考えられます。

また、教育を受けるための通信環境や教材へのアクセスなど、学習環境そのものを研究する方向もあります。

このように、教育×テクノロジーの研究では、技術そのものだけでなく、その技術を利用する学習者や教育者、学習が行われる環境を含めて考えることが重要です。

Sandra Yu Okita教授:学習科学と教育工学

Sandra Yu Okita教授は、学習科学、教育工学、認知科学、ヒューマンロボットインタラクションなどを専門分野とする教員です。

学習科学とは、人間がどのように知識や技能を獲得し、理解を深めていくのかを研究する領域です。

例えば、学習者が新しい知識を理解する際に、どのような情報提示が役立つのか、他者との対話が学習にどのような影響を与えるのかといった問いが考えられます。

一方、教育工学は、教育や学習を支援するための方法や技術を研究する分野です。デジタル教材や学習支援システムなどを利用して、学習環境をどのように改善できるのかを考えます。

こうした専門分野を組み合わせることで、テクノロジーを利用した新しい学習体験を設計し、その効果を検証する研究が考えられます。

教育用テクノロジーの開発だけでなく、人間がどのように学ぶのかという仕組みそのものに関心がある方にとって、参考になる専門分野です。

学習科学では何を明らかにするのか

学習科学では、学習者が知識を獲得する過程や、学習環境が理解に与える影響などを研究します。

例えば、同じ内容を学ぶ場合でも、文章だけで説明する方法と、映像や対話を組み合わせる方法では、学習者の理解が異なる可能性があります。

また、学習者が自分で問題を解決する場合と、他者から説明を受ける場合では、学習の進み方が異なることも考えられます。

こうした違いを検証するためには、学習者の理解度や行動を測定し、学習方法による変化を分析することが重要です。

「新しい教材を作りたい」という発想から、「どのような学習方法が、どのような理解を促すのか」という研究上の問いへ発展させることがポイントになります。

ヒューマンロボットインタラクションと教育

ヒューマンロボットインタラクション(HRI)は、人間とロボットがどのように関わるのかを研究する領域です。

教育分野では、ロボットを学習支援に利用する方法や、ロボットとの対話が学習者の行動に与える影響などが研究テーマとして考えられます。

例えば、学習者がロボットに説明する活動を通じて理解を深めることができるのか、ロボットからのフィードバックは学習意欲にどのような影響を与えるのかといった問いがあります。

また、ロボットの外見や動き、話し方などによって、学習者の反応が変化する可能性もあります。

このような研究では、ロボットの技術だけでなく、認知科学や心理学、教育学などの知識も関係します。

教育用ロボットを開発すること自体を目的にするのではなく、ロボットを利用することで学習者にどのような変化が生まれるのかを明らかにすることが重要です。

AIを活用した学習支援を研究する

近年、生成AIや機械学習の発展によって、教育分野でもAIを利用した新しい学習支援の方法が考えられています。

例えば、学習者の回答に応じて説明を変化させる仕組みや、学習履歴を分析して適切な問題を提示する仕組みなどです。

また、生成AIを利用して学習者が質問しやすい環境を作ったり、文章作成に対するフィードバックを提供したりする方法も考えられます。

ただし、AIを導入すること自体が学習効果の向上を保証するわけではありません。

例えば、「生成AIによるフィードバックは、学習者の理解度にどのような影響を与えるのか」「AIとの対話は、学習者が自分で考える行動をどのように変化させるのか」といった問いを設定することが重要です。

AIを教育研究に取り入れる場合には、技術の性能だけでなく、学習者の理解や行動への影響、回答の正確性、個人情報の扱いなども検討する必要があります。

大川恵子教授:デジタルコミュニケーションと教育環境のデザイン

デジタルコミュニケーションと教育環境のデザインを研究するイメージ

大川恵子(Keiko Okawa)教授は、デジタルコミュニケーション、教育環境のデザイン、国際協力などを専門分野とする教員です。

ご提供いただいたKMD公式プロフィールの情報によると、アジアやアフリカ地域における教育基盤の構築などに関わってきた経歴が紹介されています。

教育とテクノロジーを考える際には、学習者が利用する教材やシステムだけでなく、学習できる環境そのものも重要です。

例えば、インターネットへの接続環境が十分でない地域では、オンライン教材が存在していても、継続的に利用できるとは限りません。

また、通信環境が整っていても、教材の内容や言語、教員の支援体制などによって、学習環境の使いやすさが異なる可能性があります。

こうした問題を考える際には、技術だけでなく、地域の教育事情や社会的な条件も理解する必要があります。

教育を受ける機会や環境を広げるためにテクノロジーを活用したい方にとって、関連性の高い専門分野です。

教育環境をデザインするとは?

教育環境のデザインという言葉は、教室の設備を整えることだけを意味するものではありません。

学習者が必要な情報へアクセスできる仕組みや、教員と学習者がコミュニケーションを取る方法、学習を継続するための支援体制なども、教育環境を考えるうえで重要です。

例えば、オンライン学習サービスを開発する場合、教材の内容が優れていても、学習者が利用方法を理解できなければ十分に活用されない可能性があります。

また、学習者が途中で学習を中断してしまう場合には、教材の難易度だけでなく、利用環境や支援体制に課題があることも考えられます。

研究テーマとしては、「オンライン学習環境におけるコミュニケーションの方法は、学習継続にどのような影響を与えるのか」「学習者の利用環境に応じた教材設計は、学習機会の確保にどのように関係するのか」といった問いが考えられます。

国際協力と教育テクノロジー

教育とテクノロジーを組み合わせた研究では、国際協力という視点も重要になります。

世界には、地域や経済状況によって教育を受ける環境が異なる場所があります。

例えば、学校までの距離が遠い地域や、十分な教材を確保することが難しい地域では、デジタル技術によって学習機会を広げられる可能性があります。

一方で、通信環境や電力、使用する言語、教員の支援体制など、技術を導入するだけでは解決できない問題もあります。

そのため、国際的な教育プロジェクトでは、地域の実情を理解し、利用者にとって継続的に利用できる仕組みを考えることが重要です。

研究テーマとしては、「通信環境に制約がある地域では、どのようなデジタル教材が継続的に利用されるのか」「オンライン学習の導入には、どのような地域的・社会的条件が関係するのか」といった問いが考えられます。

教育格差の解消を研究テーマにする

教育格差という言葉には、家庭の経済状況、地域、教育資源へのアクセスなど、さまざまな要素が含まれます。

テクノロジーを利用することで、こうした格差の一部を改善できる可能性がありますが、すべての問題を技術だけで解決できるわけではありません。

例えば、オンライン教材を無料で提供したとしても、学習に利用できる端末や通信環境がなければ、十分に活用できない場合があります。

また、教材を利用できても、学習を支援する大人や教員が不足している場合には、別の課題が生じる可能性があります。

そのため、教育格差を研究する場合には、どのような格差を対象にするのかを具体化することが重要です。

「教育格差をなくしたい」という大きな目標から、「特定の地域におけるオンライン教材へのアクセスを妨げる要因は何か」といった研究上の問いへ発展させることが考えられます。

Nanako Ishido氏:子どもとメディアの関係

Nanako Ishido氏は、子どもとメディアの関わりを専門分野として挙げています。

子どもたちは、学校の授業だけでなく、家庭や地域、オンライン上のさまざまな場面でデジタルメディアに触れています。

例えば、動画、ゲーム、デジタル教材、プログラミングツールなどを通じて、新しい知識や技能を身につける機会があります。

こうしたメディアとの関わりを研究する際には、子どもが何を学ぶのかだけでなく、どのような活動を通じて学びが生まれるのかを考えることが重要です。

また、メディアを利用する時間や内容、保護者や教員との関わり方によって、子どもの体験が異なる可能性もあります。

学校教育だけでなく、家庭や地域、学校外の学習活動に関心がある方にとって、参考になる専門分野です。

子どもの創造性とデジタルメディア

デジタルメディアは、情報を受け取るためだけでなく、子どもが自分で何かを制作し、表現するための道具にもなります。

例えば、プログラミングを利用してゲームを制作したり、デジタルツールを使って映像や音楽を制作したりする活動が考えられます。

このような活動では、子どもが自分のアイデアを形にする過程で、どのような学びが生まれるのかが重要になります。

研究テーマとしては、「デジタル制作活動は子どもの問題解決行動にどのような影響を与えるのか」「共同制作を取り入れたプログラミング学習では、子ども同士のコミュニケーションがどのように変化するのか」といった問いが考えられます。

また、完成した作品だけでなく、制作過程での試行錯誤や他者との協力に注目することも重要です。

ゲームを教育に活用する研究

教育とテクノロジーの接点として、ゲームを利用した学習も考えられます。

ゲームには、目標の設定、課題への挑戦、結果に応じたフィードバックなど、学習と関係する要素があります。

こうした特徴を教育へ応用することで、学習者が主体的に取り組める環境を設計できる可能性があります。

例えば、「ゲーム形式の教材は学習者の継続意欲にどのような影響を与えるのか」「協力型ゲームを利用した学習では、学習者同士の対話がどのように変化するのか」といった問いが考えられます。

ただし、ゲームを導入すれば必ず学習効果が高まるわけではありません。

学習目的に対して、ゲームのどのような要素が役立つのかを整理し、実際に検証することが重要です。

VR・XRを利用した教育研究

VRやXRを活用した教育・学習体験の研究イメージ

VRやXRを教育へ活用する方向も、教育×テクノロジーの研究テーマとして考えられます。

例えば、通常の教室では体験しにくい環境を仮想空間で再現したり、立体的な情報を操作しながら学習したりする方法です。

また、技能訓練などでは、実際の作業に近い環境を仮想空間で体験することが考えられます。

研究テーマとしては、「VRを利用した学習は、立体的な構造の理解にどのような影響を与えるのか」「仮想空間での反復練習は、技能習得にどのような影響を与えるのか」といった問いが考えられます。

このような研究では、VR・XRの技術だけでなく、学習科学や認知科学、教育評価などの知識も関係します。

教育用VRを制作すること自体を目的にするのではなく、その体験が学習者にどのような変化をもたらすのかを検証することが重要です。

教育×テクノロジーの研究対象を整理する

教育×テクノロジーという分野は幅広いため、研究対象を具体化することが重要です。

例えば、幼児、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人など、学習者の年齢や背景によって、必要となる学習支援は異なります。

また、学校の授業、家庭学習、企業研修、地域での学習活動など、学習が行われる場面によっても課題は変わります。

さらに、学習内容が語学なのか、プログラミングなのか、専門的な技能なのかによって、適した技術や評価方法も異なる可能性があります。

研究テーマを考える際には、「誰が、どこで、何を学ぶのか」という視点から対象を整理するとよいでしょう。

研究テーマは「学習者+技術+課題」で考える

教育×テクノロジーの研究テーマを具体化する際には、「学習者+技術+課題」という形で整理する方法があります。

例えば、「小学生+教育用ロボット+学習意欲」「高校生+生成AI+文章作成」「社会人+VR+技能訓練」といった形です。

そこから、「教育用ロボットとの対話は、小学生の学習意欲にどのような影響を与えるのか」「生成AIによるフィードバックは、高校生の文章推敲行動をどのように変化させるのか」といった研究上の問いへ発展させることができます。

また、国際教育協力に関心がある場合には、「地域+学習環境+課題」という形で考える方法もあります。

例えば、「通信環境に制約がある地域+オンライン教材+学習継続」といった形です。

このように、対象と技術、解決したい課題を組み合わせることで、研究計画を具体化しやすくなります。

教育研究では学習効果をどう評価する?

教育×テクノロジーの研究では、新しい教材やシステムを開発するだけでなく、その効果をどのように評価するのかが重要です。

例えば、AIを利用した教材を開発した場合、学習者が使いやすいと感じたかどうかだけでなく、理解度や学習行動がどのように変化したのかを調べることが考えられます。

評価方法としては、学習前後のテスト、アンケート、インタビュー、学習履歴の分析、授業中の行動観察などがあります。

ただし、どのような方法が適しているかは研究目的によって異なります。

また、学習者の成績が向上したとしても、その変化が教材だけによるものなのか、学習時間や指導方法など別の要因が関係しているのかを慎重に検討する必要があります。

研究計画書を書く段階から、何を測定し、どのような方法で比較するのかを考えておくことが重要です。

学校現場で実証研究を行う場合の注意点

教育×テクノロジーの研究では、学校や教育機関と協力して実証研究を行いたいと考える方もいるでしょう。

例えば、新しい教材を授業で利用してもらい、学習者の反応や理解度を調べる方法です。

しかし、学校現場で研究を行うためには、教育機関との調整や、児童・生徒の個人情報、研究倫理への配慮などが必要になります。

特に未成年者を対象とする研究では、本人や保護者への説明、同意の取得など、研究内容に応じた手続きが必要になる場合があります。

また、学校の授業時間や年間行事などの制約によって、希望する時期に実験を行えるとは限りません。

研究計画を考える際には、研究内容の魅力だけでなく、対象者や協力先を確保できるかどうかも検討することが重要です。

教育現場での実務経験を研究に生かす

教員や塾講師、教育サービスの運営者など、教育に関わる実務経験を持つ方の場合には、日々の仕事で感じた課題を研究テーマへ発展させることができます。

例えば、同じ教材を利用していても学習者によって理解度が異なることや、オンライン学習では学習を継続できない人がいることなどが、研究上の疑問につながる可能性があります。

また、教育サービスを開発・運営してきた方であれば、利用者の行動や学習環境に関する課題を研究テーマにすることも考えられます。

ただし、実務上の問題をそのまま研究テーマにするのではなく、先行研究を踏まえ、どのような問いを明らかにしたいのかを整理することが重要です。

自分の経験を出発点にしながら、他の教育現場にも参考になる可能性のある問いへ発展させることを意識しましょう。

教育経験がなくても研究できる?

教育×テクノロジーに関心はあるものの、これまで教育現場で働いた経験がない方もいるでしょう。

その場合には、まず自分がどのような教育課題に関心を持っているのかを整理することが重要です。

例えば、AIやプログラミングの経験がある方であれば、その技術を学習支援に応用する研究を考えることができます。

また、デザインやサービス開発の経験がある方であれば、学習者が利用しやすい教材や学習環境の設計に関心を持つかもしれません。

ただし、教育研究では、学習者の発達段階や学習理論、教育評価などの知識が必要になる場合があります。

教育経験がないから研究できない、あるいは経験がなくても必ず研究できると一律に判断するのではなく、希望する研究テーマに必要な知識や技能を確認することが大切です。

KMDと教育学系大学院をどう比較する?

教育とテクノロジーを研究したい場合には、KMDだけでなく、教育学系の大学院も比較対象になります。

例えば、教育制度、教育政策、学校教育の仕組み、教員養成などを中心に研究したい場合には、教育学系の研究環境が適している可能性があります。

一方、新しい学習支援システムを開発したい場合や、デジタル技術を利用した学習体験を設計・評価したい場合には、KMDの教員の専門分野と接点が見つかる可能性があります。

また、教育工学や学習科学を専門とする教員は、教育学系以外の研究科に所属している場合もあります。

そのため、研究科名だけで判断するのではなく、自分が教育の何を研究したいのかを整理し、教員の専門分野や研究方法を比較することが重要です。

研究プロジェクトと教員の論文を確認する

KMDで教育×テクノロジーに関連する研究を希望する場合には、教員の専門分野だけでなく、実際の研究プロジェクトや論文なども確認することをおすすめします。

例えば、同じ教育工学という分野でも、学習者の認知を中心に研究している場合と、学習環境の設計を中心に研究している場合では、研究方法が異なります。

また、国際教育協力に関する研究では、対象となる地域や教育機関によって課題が変わる可能性があります。

公式サイトの研究紹介や公開されている研究成果を確認し、自分の関心とどのような接点があるのかを整理してみましょう。

論文を読む際には、研究の目的、対象者、利用した技術、評価方法、得られた結果などに注目すると、研究内容を理解しやすくなります。

教員の所属と研究指導体制を確認する

教育×テクノロジーに関連する教員を探す際には、研究テーマだけでなく、現在の所属や研究指導体制を確認することも重要です。

教員の専門分野が自分の関心に近くても、現在どのような研究に取り組んでいるのか、修士課程でどのような研究指導を担当しているのかは、別途確認する必要があります。

また、特任教員や兼任教員などについては、研究科での教育活動への関わり方が異なる場合があります。

出願前には、最新の公式プロフィールや研究科の案内を確認し、必要に応じて説明会などの機会を活用しましょう。

研究計画書では教育課題を具体化する

教育×テクノロジーに関する研究計画書では、「教育をよくしたい」「AIを教育に活用したい」という大きな目標だけでは、研究内容が十分に伝わらない場合があります。

例えば、「AIを利用した学習支援を研究したい」というテーマであれば、どのような学習者を対象にするのか、どのような学習上の課題を解決したいのか、AIによって何が変化すると考えているのかを具体化する必要があります。

また、「オンライン教育を研究したい」という場合には、教材の内容なのか、学習者同士のコミュニケーションなのか、学習継続の仕組みなのか、研究したい要素を整理することが重要です。

そのうえで、関連する先行研究を確認し、これまでに何が明らかになっているのか、自分の研究ではどのような点を新しく検討したいのかを考えます。

研究目的に応じて、教材開発、実験、アンケート、インタビュー、学習履歴の分析など、適切な研究方法を検討しましょう。

志望理由書ではなぜKMDなのかを説明する

教育に関心がある場合、志望理由書では「教育を通じて社会に貢献したい」「子どもたちの学びを支援したい」という思いを中心に書いてしまうことがあります。

しかし、教育への熱意だけでは、なぜKMDへ進学する必要があるのかを十分に説明できない場合があります。

例えば、自分が解決したい教育課題を整理し、その課題に取り組むために必要な技術や研究方法を考えます。

そのうえで、KMDの教員の専門分野や研究プロジェクトと、自分の問題意識との接点を具体的に説明することが重要です。

「教育に関心があるからKMDへ進学する」という説明から、「この教育課題を研究し、テクノロジーを利用した新しい学習環境を検討したい。そのためにKMDの研究環境が必要である」という説明へ発展させましょう。

出願前に確認したいポイント

KMDで教育×テクノロジーに関連する研究を希望する場合には、まず自分がどのような教育課題に関心を持っているのかを整理しましょう。

そのうえで、学習科学、教育工学、デジタルコミュニケーション、国際教育協力、子どもとメディアの関係など、どの方向から研究したいのかを具体化します。

次に、教員の専門分野や研究プロジェクトを確認し、自分の研究テーマとの接点を探します。

また、出願資格、提出書類、英語に関する要件、研究計画の扱いなどについては、必ず受験年度の募集要項を確認してください。

教員への事前連絡や研究指導体制についても、最新の公式情報を確認しておく必要があります。

教育への関心だけでなく、大学院で何を研究し、その成果を将来的にどのような教育現場や学習環境へ生かしたいのかを説明できるようにしておきましょう。

まとめ

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)で教育×テクノロジーに関連する研究を考える場合には、学習科学、教育工学、認知科学、デジタルコミュニケーション、国際教育協力、子どもとメディアの関係など、複数の方向性から研究テーマを探すことが重要です。

Sandra Yu Okita教授の専門分野である学習科学や教育工学、ヒューマンロボットインタラクションは、テクノロジーが人間の学習にどのような影響を与えるのかを考えるうえで参考になります。

また、大川恵子教授の専門分野であるデジタルコミュニケーションや教育環境のデザインは、教育を受ける環境や国際的な教育課題を考えるうえで重要です。Nanako Ishido氏の専門分野である子どもとメディアの関係は、学校内外での新しい学習体験を考える際の参考になります。

重要なのは、「教育をよくしたい」という目標だけで研究科を選ぶのではなく、「誰の、どのような学習課題を、どのような技術や方法によって研究したいのか」という問いを具体化することです。

そのうえで、各教員の最新の研究活動や研究プロジェクト、研究指導体制を確認し、自分の問題意識と接点のある研究環境を探していきましょう。


※本記事はご提供いただいたKMD公式サイトの教員情報をもとに作成しています。教員の所属・職位・専門分野・研究指導体制、研究プロジェクト、入試制度などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。