【教員紹介】水口哲也特任教授|『Rez』を生んだ世界的ゲームクリエイターが追求する共感覚デザイン

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今回のテーマは「【教員紹介】水口哲也特任教授|『Rez』を生んだ世界的ゲームクリエイターが追求する共感覚デザイン」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズ、特任教員編の第7回では、ゲーム、音楽、映像など複数のメディアを横断して活動してきた水口哲也特任教授を紹介します。

水口特任教授は、『Rez』をはじめとするゲーム作品で知られる一方、映像や音、触覚を組み合わせ、人間が身体全体で感じる新しいメディア体験を長年追求してきたクリエイターです。ゲーム制作そのものに関心がある人はもちろん、VR、インタラクティブアート、音楽、身体感覚などを組み合わせた研究を考えている受験生にとっても、その活動は研究テーマを考える上で参考になります。


水口哲也特任教授はどのような人物なのか

水口哲也特任教授は、ビデオゲーム、音楽、映像、プロダクトなど、さまざまな分野で創作活動を続けてきたクリエイターです。セガに入社してゲーム業界でのキャリアをスタートさせ、『セガラリー・チャンピオンシップ』、『スペースチャンネル5』、『Rez』、『ルミネス』、『Child of Eden』などを手掛けてきました。

現在は、米国法人エンハンスの代表、レゾネアの代表、エッジ・オブの共同創業者兼CCOを務めながら、KMDの特任教授として教育にも携わっています。研究者として大学の中だけで活動するのではなく、現在もコンテンツ産業の現場で作品を生み出している点が特徴です。

また、音楽ユニット「元気ロケッツ」のプロデュースや、2007年の「Live Earth」東京会場でのホログラム映像によるオープニング演出など、活動領域はゲームだけにとどまりません。複数のメディアを組み合わせながら、どのような体験を人に届けられるかを追求してきました。


シナスタジアという共感覚的な体験を追求する

水口特任教授の創作活動を理解する上で重要なキーワードが、シナスタジア、つまり共感覚です。共感覚とは、ある感覚への刺激が別の感覚にも結びついて感じられる知覚現象を指します。

水口特任教授は、この考え方をメディア表現へ応用し、映像を見る、音を聴くという個別の体験を超えて、視覚、聴覚、触覚を組み合わせた体験を作り出してきました。自ら主宰するシナスタジアラボでも、こうした感覚の融合を継続して探究しています。

代表作の『Rez』は、その考え方を分かりやすく示した作品のひとつです。映像、音楽、プレイヤーの操作が連動し、単に画面上のキャラクターを動かすだけではない一体感を生み出しています。後にVR技術を活用して拡張された『Rez Infinite』は、2016年にThe Game Awardsで最優秀VR賞を受賞しました。

新しい機器を使うこと自体を目的にするのではなく、技術によって人の感覚や没入感をどう変えられるのかを考えている点が、水口特任教授の活動を理解する上で重要です。


音・光・振動を身体全体へ広げる

水口特任教授は、ゲーム画面の中だけではなく、身体全体でメディアを感じる取り組みも進めてきました。記事案では、音楽を光や振動として全身へ広げる「シナスタジア・スーツ」や、共感覚体験装置「シナスタジアX1 – 2.44」などが紹介されています。

音楽は一般的には耳で聴くものですが、振動に置き換えれば身体でも感じられます。さらに映像や光を同期させることで、一つの作品を複数の感覚から体験することができます。

こうした取り組みは、これまで紹介した南澤孝太教授のEmbodied Media Projectとも接点を見いだせるテーマです。南澤教授が触覚や身体性メディアを研究しているのに対し、水口特任教授はエンタテイメントやアートの側から、身体感覚とテクノロジーの組み合わせを追求しています。

KMDでは、同じ身体感覚というテーマでも、工学、アート、ゲーム、HCIなど異なる入口から研究できることが分かります。受験生にとっては、自分がどの立場から問題に向き合いたいのかを整理することが大切です。


世界的な創作活動を教育につなげている

水口特任教授は、文化庁メディア芸術祭やArs Electronicaなど、国内外で評価を受けてきました。2006年には、全米プロデューサー協会とHollywood Reporter誌による「Digital 50」にも選出されています。

また、文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門審査主査、日本賞の審査員、芸術選奨の選考審査員なども務め、作品を作る立場だけでなく、デジタルコンテンツを評価する側としても活動してきました。

前回紹介した稲蔭正彦教授が、エンタテイメントデザインやメディアアートを研究・教育の立場から扱ってきたのに対し、水口特任教授は、実際に世界市場へ作品を送り出してきたクリエイターとしてKMDに関わっています。

そのため、ゲームや映像を研究したい受験生にとっては、作品の面白さだけでなく、それをどのような体験として成立させ、社会へ届けるのかという視点も重要になります。


受験生は「何を感じてもらいたいのか」を考える

水口特任教授の活動に関心がある受験生は、「ゲームを作りたい」「VRを使いたい」というところで研究目的を止めないことが大切です。

たとえばVR作品を研究する場合でも、没入感を高めたいのか、音楽を身体で感じられるようにしたいのか、視覚と触覚を組み合わせて新しい感情を生み出したいのかによって、研究内容は大きく変わります。

研究計画では、使いたい技術よりも先に、誰にどのような体験を届けたいのかを具体化するとよいでしょう。その上で、映像、音、振動、VRなどの中から、なぜその手段が必要なのかを説明できるようにします。

ゲームや映像制作の経験がある方であれば、過去に制作した作品で感じた課題や、表現しきれなかった感覚を研究テーマにつなげる方法もあります。面接でも、自分が好きな作品を紹介するだけではなく、どのような体験を研究したいのかまで話せるようにしておくことが重要です。


まとめ

水口哲也特任教授は、『Rez』をはじめとするゲーム作品を手掛けながら、映像、音、触覚などを組み合わせたシナスタジア体験を追求してきたクリエイターです。

ゲームだけでなく、音楽、映像、VR、身体感覚などを横断しながら、人がメディアをどのように感じるのかを考えてきた点に特徴があります。現在もコンテンツ産業の現場で活動しながら、KMDで教育に携わっていることも特徴のひとつです。

KMDへの進学を検討している方で、ゲーム、VR、インタラクティブアート、音楽、映像、触覚などに関心がある場合は、「何を作るか」だけではなく、「その体験によって人に何を感じてもらいたいのか」まで考えてみてください。その問いを具体化することが、研究計画や志望理由を深める手がかりになります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。