【教員紹介】堀江新特任講師|起業家とアカデミアの二刀流でハプティクスを追求

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今回のテーマは「【教員紹介】堀江新特任講師|起業家とアカデミアの二刀流でハプティクスを追求」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズ、特任教員編の第8回では、ハプティクスや身体性メディアを研究しながら、自ら会社を経営する堀江新特任講師を紹介します。

堀江特任講師の特徴は、触覚を扱う先端的な研究だけでなく、その成果を社会の中で活用するための事業にも取り組んでいる点です。大学で研究を続ける研究者と、企業を経営する起業家という二つの立場を持ち、人間の身体と情報技術の関係を考えています。ハプティクスやウェアラブルデバイスに関心がある方だけでなく、大学院での研究を将来の起業や事業につなげたい受験生にとっても参考になる教員です。


堀江新特任講師はどのような研究者なのか

堀江新特任講師は、東北大学大学院情報科学研究科で修士課程を修了した後、東京大学の先端学際工学専攻で研究を進めました。そこでは、人間の身体性を理解した上で触覚をどのように提示するかというテーマに取り組み、企業との共同研究にも携わってきました。

2022年3月に博士(工学)の学位を取得した後、東京大学先端科学技術研究センターの特任助教を務め、2023年からはJSTムーンショット型研究開発事業のCybernetic Being Projectにも参画しています。

研究対象は、人が触ったと感じる感覚をどのようにデジタル技術で生み出すのかという問題から、身体と機械、複数の人間同士の身体的な関係まで広がっています。単に新しいデバイスを作るだけではなく、人がその技術を使ったときにどのような経験が生まれるのかまで考えている点が特徴です。


株式会社commissureを創業し研究と事業を両立

堀江特任講師は、KMDで教育・研究に携わる一方、自ら創業した株式会社commissureの代表取締役CTOも務めています。

掲げているのは、アカデミアとビジネスの両方から、人間と情報技術のより良い関係を考えていくという方向性です。身体性について研究しながら、HCIやハプティクスを中心とした技術を実際の社会で利用できる形へつなげようとしています。

研究成果には、新しい理論や知見を示すという役割があります。一方で、それを製品やサービスとして社会へ届けるには、利用者のニーズ、費用、継続的な運用、事業としての成立可能性など、研究とは異なる視点も必要です。

堀江特任講師は、この二つを分けるのではなく、研究と事業を並行して進めています。大学院で研究を深めた後に研究職へ進むだけではなく、自ら会社を作って技術を社会へ届けるというキャリアの選択肢を示している点も、受験生にとって参考になります。


ハプティクスと間身体性を研究する

堀江特任講師の専門領域には、ハプティクス提示技術、ハプティクスセンシング、Physical AI、身体化されたインタラクション、ウェアラブルデバイス、身体表面インターフェースなどがあります。

その中でも特徴的な考え方が「間身体性」です。これは、一人の身体だけを見るのではなく、複数の人の身体が互いに影響しながら経験を共有する関係に注目するものです。

たとえば、遠く離れた二人が映像や音声だけでなく、触覚まで共有できるようになれば、コミュニケーションのあり方は大きく変わります。また、人間とロボットが触覚情報をやり取りする場合には、機械が動けばよいというだけでなく、人間がその動きをどのように感じるかも重要になります。

堀江特任講師は、南澤孝太教授のEmbodied Media Projectにも参加し、Mauricio Sousa准教授や吉田貴寿特任助教などとともに身体性メディアに関する研究を進めています。2026年のSIGGRAPH Emerging Technologiesで発表された「Experience Sharing Studio」では、身体を通じた多感覚的な記憶を記録・再生する没入型プラットフォームの研究にも共同発表者として参加しています。


MRと触覚を組み合わせた新しい体験を探る

堀江特任講師は、実際に触覚を生み出すデバイスの研究にも取り組んでいます。2024年のSIGGRAPHでは、「FEEL TECH Wear」というMR環境における触覚提示システムのコンセプトを発表しました。

MRでは、現実世界とデジタル情報を重ね合わせた体験が可能になります。しかし、映像として存在しているバーチャルな物体を見ても、通常は実際に触れた感覚までは得られません。そこで触覚提示技術を組み合わせることで、見るだけだったデジタル空間を、身体でも感じられる体験へ変えていくことができます。

また、皮膚をひねるような刺激を生み出す素子群を利用した研究など、触覚を生み出すための独自のデバイスにも取り組んでいます。こうした研究では、触覚の強さや種類を制御する技術だけでなく、人がどのような刺激をどのような感覚として受け取るのかという身体への理解も必要になります。

技術だけを見るのではなく、人の身体を起点として新しいインタラクションを考えることが、堀江特任講師の研究を理解するポイントです。


受験生は研究と社会実装のつながりを考える

堀江特任講師の研究に関心がある受験生は、「触覚デバイスを作りたい」「HCIを研究したい」というところから一歩進み、その技術を誰が、どのような場面で使うのかを考えることが大切です。

たとえば、遠隔コミュニケーションで触覚を共有したいのか、VRやMRの体験を豊かにしたいのか、医療や福祉の場面で身体感覚を補いたいのかによって、必要な技術や評価方法は変わります。

さらに、将来的に起業や事業化まで考えるのであれば、その技術にどのような利用者がいるのか、研究成果をどのような形で社会に届けるのかという視点も必要です。

研究計画や志望理由では、自分が興味を持つ技術だけを並べるのではなく、解決したい課題、対象となる利用者、必要となる技術、社会での活用方法まで一つの流れとして整理するとよいでしょう。研究と起業の両方に関心がある方にとって、堀江特任講師のキャリアは、その二つを必ずしも別々に考える必要がないことを示す一例です。


まとめ

堀江新特任講師は、東京大学で身体性と触覚提示に関する研究を進めた後、KMDでハプティクス、Physical AI、ウェアラブルデバイス、間身体性などの研究に取り組んでいる研究者です。

同時に、自ら創業した株式会社commissureの代表取締役CTOとして、研究成果を社会の中で活用するための事業にも取り組んでいます。研究とビジネスを並行して進めながら、人間と情報技術のより良い関係を探っている点が特徴です。

KMDへの進学を検討している方で、ハプティクス、身体性メディア、MR、ウェアラブル技術、HCIなどに関心がある場合は、技術そのものだけではなく、その技術によって誰にどのような身体的体験を届けたいのかを考えてみてください。さらに、研究成果を将来どのように社会へつなげたいのかまで整理することで、研究計画や志望理由をより具体的にすることができます。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。