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今回のテーマは「菅野智博准教授の研究室と中国近現代史」です。
慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。中国については、ニュースやSNSを通じてさまざまな情報が日々流れています。米中対立や安全保障の問題などから、強い印象を持つ方も多いかもしれません。
一方で、中国は日本にとって長い交流の歴史を持つ隣国でもあります。文化、経済、人の移動など、多くの面で深く関わってきました。
こうした中国を一面的に見るのではなく、歴史の積み重ねから複雑に理解しようとしているのが、経済学部で准教授を務める菅野智博准教授です。
本記事では、中国近現代史と東アジア近現代史を専門とする菅野准教授の研究と、研究室で求められる視点について整理していきます。
中国東北地方から東アジアを読み解く
菅野准教授の専門分野は、中国近現代史および東アジア近現代史です。
主な研究対象は、かつて「満洲」と呼ばれた中国東北地方です。この地域は、中国だけでなく、日本、朝鮮半島、ロシア、モンゴルなど、さまざまな国や地域の影響が重なり合ってきた場所です。
そのため、中国東北地方の歴史を研究することは、中国一国の歴史を理解するだけではなく、東アジア全体の関係性を考えることにもつながります。
菅野准教授は、農村社会や農業労働力、戦後日本における満洲の記憶などをテーマに、地域の変化を長期的な視点から分析しています。
一次史料と聞き取りから見える「生きた歴史」
菅野准教授の研究では、一次史料を丁寧に読み解く姿勢が重視されています。
歴史研究では、教科書に書かれた出来事だけではなく、当時を生きた人々の日記や記録、聞き取り調査などが重要な手がかりになります。
例えば、戦後の満洲に関する日記や、農村での聞き取り調査からは、政治や外交の大きな流れだけでは見えてこない人々の生活や記憶が浮かび上がります。
こうしたミクロな史料を積み重ねることで、国家や社会の大きな変化をより具体的に理解することができます。
歴史を抽象的な出来事としてではなく、生身の人間の経験として捉える姿勢が大切になります。
一面的ではない中国像を理解する
菅野准教授が重視しているのは、「一面的ではない複雑で多様な中国像」を理解することです。
中国については、政治や経済のニュースを通じて強いイメージが作られやすい面があります。
しかし、歴史を丁寧に見ていくと、中国社会は地域、民族、階層、時代によって大きく異なります。
一つの言葉で簡単に説明できるほど単純ではありません。
だからこそ、大学院で中国近現代史を学ぶ場合には、単純な善悪や印象論ではなく、史料に基づいて多角的に考える姿勢が求められます。
求められるのは語学力と粘り強い読解力
菅野准教授の研究室を志望する場合、中国近現代史や東アジア史への関心はもちろん、中国語文献に向き合う力も重要になります。
歴史研究では、現地の史料や論文を読む機会が多くあります。そのため、語学力は研究を支える大切な土台です。
また、一次史料は読みやすい文章ばかりではありません。背景知識が必要だったり、当時の表現を丁寧に読み解く必要があったりします。
そのため、すぐに答えを求めるのではなく、時間をかけて資料に向き合う粘り強さが求められます。
研究計画書で意識したいポイント
菅野准教授の研究室を目指す場合、研究計画書では「どの地域、どの時代、どの史料を扱うのか」を具体的に示すことが重要です。
まず、自分の研究が中国近現代史や東アジア近現代史の中でどの位置にあるのかを明確にしましょう。
次に、国家や外交の大きな歴史だけでなく、農村社会、労働力の移動、個人の記憶、地域社会の変化など、ミクロな視点をどのように取り入れるのかを整理します。
さらに、そのミクロな分析が、東アジア全体の構造変化や現代の中国理解にどうつながるのかを示すことが大切です。
メディアで語られる単純な中国像に対して、歴史研究としてどのような複雑な見方を提示できるのかを意識すると、研究計画書に深みが出ます。
まとめ:中国を歴史の深さから理解する
菅野准教授の研究は、中国東北地方や満洲の歴史を通じて、中国と東アジアの複雑な関係を読み解くものです。
そこでは、国家や政治だけでなく、農村、労働、個人の記憶といった多様な視点が重要になります。
中国を一面的に見るのではなく、歴史の層を丁寧にたどりながら理解したい人にとって、非常に魅力的な研究分野と言えるでしょう。
まずは関連する著書や論文に触れ、自分自身がどのような中国像を問い直したいのかを考えてみてください。
※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに整理しています。最新の募集要項や研究内容については、必ず公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


