
【教員紹介】稲蔭正彦教授|KMDを率いてきたエンタテイメントデザインの第一人者
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今回のテーマは「【教員紹介】稲蔭正彦教授|KMDを率いてきたエンタテイメントデザインの第一人者」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズ、特任教員編の第6回では、エンタテイメントデザインやメディアアートを専門とし、長年にわたってKMDを支えてきた稲蔭正彦教授を紹介します。
稲蔭教授は、研究者としてだけでなく、アーティスト、ディレクター、プロデューサー、経営者など、複数の立場でコンテンツ産業に関わってきた人物です。テクノロジーと表現、ストーリー、人間の感性を組み合わせながら新しい体験を生み出す研究に取り組んできました。エンタテイメント、映像、メディアアート、未来の体験づくりなどに関心がある受験生にとって、KMDの考え方を理解する上でも参考になる教員です。
稲蔭正彦教授はどのような研究者なのか

稲蔭正彦教授の専門分野は、エンタテイメントデザイン、メディアアート、デジタルシネマ、コンピュータグラフィックス、ストーリーテリング、未来学などです。
米国オベルリン大学を卒業した後、カリフォルニア芸術工芸大学大学院で芸術修士課程を修了しました。その後、アートやデジタルコンテンツの分野で活動を続け、2008年からKMDの教員を務めています。
稲蔭教授は、KMDの設立当初から研究科に関わり、研究科委員長として研究科を率いてきた人物でもあります。これまでの記事でも、KMDの新たな教員の着任や研究科の取り組みに関連して名前が登場してきました。
KMDは、工学だけ、デザインだけ、経営だけといった一つの分野に限定されず、それらを横断しながら新しいメディアや社会のあり方を考える研究科です。稲蔭教授の幅広い研究分野や経歴は、こうしたKMDの特徴とも重なっています。
アーティストとプロデューサーの両方を経験
稲蔭教授の特徴は、アカデミックな研究だけでなく、実際のコンテンツ制作やビジネスにも長く関わってきたことです。アーティストやディレクターとして作品制作に携わり、映画をはじめとするコンテンツの制作にも関わってきました。
一方で、プロデューサーや経営者、顧問としてコンテンツビジネスにも携わり、国内外の企業で社外取締役や顧問を務めてきました。作品を作る側の視点と、それを社会に届け、事業として成り立たせる側の視点の両方を持っていることになります。
これは、これまで紹介してきたMatthew Waldman教授や陳敦雅准教授など、実務と研究を横断する教員にも通じる特徴です。KMDでは、研究成果を論文としてまとめるだけでなく、作品やサービス、事業などの形で社会へ届けることも重要なテーマになります。
また、ACM SIGGRAPHや日本デザイン学会などに関わり、Visual Effects Societyの会員でもあるなど、映像やデザインに関する国際的なコミュニティとも接点を持っています。
ドリームドリブンデザインで未来を考える

稲蔭教授が提唱する考え方の一つに、ドリームドリブンデザインがあります。これは、現在ある問題だけを出発点にするのではなく、「こんな未来があったら面白い」「こんな体験を実現したい」という夢や想像力を起点に、未来の社会や体験を考えていくアプローチです。
以前紹介したリアルプロジェクト「PLAY」にも、この考え方が関係しています。遊び心やストーリー、イマジネーションを重視しながら、人が思わず参加したくなるような体験や、日常を少し変えるメディアのあり方を探ります。
研究テーマも、デジタルシネマやメディアアートだけに限定されません。記事案では、共感覚のような人間の知覚に関するテーマ、都市空間における人々の好奇心を捉える研究、ユビキタスコンテンツを短期間で試作するための開発環境などが挙げられています。
共通しているのは、テクノロジーを高性能にすることだけを目的とせず、それによって人が何を感じ、どのような行動を取り、どのような物語を体験するのかまで考えている点です。
KMDの学びの形を作ってきた存在
KMDでは、テクノロジー、デザイン、ビジネス、社会などを分けて学ぶのではなく、実際の課題やテーマを中心に複数の知識を組み合わせて研究を進めます。その代表的な仕組みの一つが、学生と教員が実際のテーマに取り組むリアルプロジェクトです。
稲蔭教授をはじめとする創設期からの教員は、こうしたKMD独自の学びの環境を形づくってきました。さまざまな専門分野を持つ教員が集まり、一つのテーマに対して異なる視点から研究する環境は、KMDの大きな特徴です。
そのため、KMDを志望する受験生は、自分の研究テーマを一つの学問分野だけに当てはめる必要はありません。映像制作の経験とテクノロジーを組み合わせたり、ビジネス経験とストーリーテリングを結びつけたりするなど、自分がこれまで培ってきたものを別の領域と組み合わせることもできます。
ただし、分野を横断すること自体が目的ではありません。最終的には、どのような未来や体験を実現したいのか、そのためになぜ複数の知識が必要なのかを説明できることが重要です。
受験生は作りたい未来から研究テーマを考える

稲蔭教授の研究に関心がある受験生は、まず自分がどのような未来や体験を作りたいのかを考えてみるとよいでしょう。
たとえば「メディアアートを研究したい」というだけでは、研究テーマとしては広すぎます。誰にどのような感情を与えたいのか、どのような場所で体験してもらうのか、映像やCG、インタラクティブ技術を使う理由は何かまで考えることで、テーマが具体的になります。
また、映画やゲーム、広告、アートなどの制作経験がある方は、これまでの作品づくりで感じた課題を研究上の問いに変えることもできます。なぜ人はある物語に引き込まれるのか、デジタル技術によって鑑賞者と作品の関係をどう変えられるのか、といった問いも研究につながります。
研究計画や志望理由では、自分が好きな作品や表現を並べるだけではなく、その背景にある問題意識や、KMDでどのような研究を進めたいのかを整理することが大切です。面接でも、作りたいものだけでなく、それによって誰にどのような変化を生み出したいのかを説明できるようにしておくとよいでしょう。
まとめ
稲蔭正彦教授は、エンタテイメントデザイン、メディアアート、デジタルシネマ、ストーリーテリングなどを専門とし、アーティスト、プロデューサー、研究者として幅広い活動を続けてきた教員です。
また、KMDの設立期から研究科に関わり、研究科委員長として長くKMDを支えてきました。ドリームドリブンデザインという考え方のもと、遊び心や想像力を起点に、テクノロジーと人間の感性を結びつける研究に取り組んでいます。
KMDへの進学を検討している方で、エンタテイメント、映像、メディアアート、CG、ストーリーテリングなどに関心がある場合は、単に作品を作りたいと考えるのではなく、「どのような未来を実現したいのか」「その体験によって人に何を感じてもらいたいのか」まで掘り下げてみてください。そこから研究テーマを具体化することで、志望理由や研究計画にもつながっていきます。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


