
慶應大学院は学部と違う専攻でも受験できる?文系・理系の分野変更を解説
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「慶應大学院は学部と違う専攻でも受験できる?文系・理系の分野変更を解説」です。
大学院進学を考える中で、学部時代とは違う分野を研究したいと考える方もいるでしょう。社会人であれば、大学卒業後の仕事を通じて関心が変化し、学部時代とはまったく異なるテーマを研究したくなることもあります。その際に気になるのが、異なる専攻からでも出願できるのかという点です。慶應義塾大学大学院には、出身学部の分野を限定せずに出願を検討できる研究科があります。ただし、出願資格を満たすことと、入試や入学後の研究に必要な準備ができていることは別です。今回は、分野変更を考える受験生が確認しておきたいポイントを具体的に整理します。
まずは研究科ごとの出願資格と試験内容を確認する

慶應義塾大学大学院では、研究科ごとに出願資格や選考方法が定められています。四年制大学を卒業した者や卒業見込みの者など、学歴に関する要件を中心に出願資格を定めている場合には、学部時代の専攻が異なるという理由だけで出願できないとは限りません。
例えば、法学部で学んだ人が経営に関心を持ち、商学研究科や経営管理研究科(KBS)を検討することも考えられます。また、文系学部の出身者が政策・メディア研究科(SFC)やシステムデザイン・マネジメント研究科(SDM)のように複数の分野にまたがる研究を扱う研究科を検討するケースも考えられるでしょう。
一方で、出身学部を限定していないことだけを見て、受験できると判断するのは早計です。入試では専門科目が課される場合もありますし、研究計画に関する書類や面接などを通じて、自分が取り組みたい研究について説明する必要が生じることもあります。出願資格を確認したら、次に試験科目、提出書類、選考方法まで確認し、自分がどのような準備を求められるのかを把握しましょう。
文系から理系など大きな分野変更では知識の差を確認する
分野変更の難しさは、どの分野からどの分野へ移るのかによって大きく異なります。例えば、経済から経営のように関連する領域への移動と、文系学部から理工系の専門分野への移動では、準備すべき内容が同じとは限りません。
特に理工学研究科のように専門科目の試験がある研究科を検討する場合には、数学、物理、プログラミングなど、その分野を学部で専攻してきた学生が身につけている知識が必要になる可能性があります。出願資格上は受験できたとしても、試験問題を解くために必要な基礎が不足していれば、その部分から学び直す必要があります。
そこで、分野変更を考えたら「自分は異分野出身だから不利だ」と漠然と考えるのではなく、現在地を具体的に確認することが重要です。志望研究科の試験科目を確認し、自分が理解できる部分と、学び直す必要がある部分を分けてみましょう。さらに、カリキュラムやシラバスを確認することで、入学後にどのような内容を学ぶのかを知る手掛かりにもなります。
大学院に入ることだけを目標にするのではなく、入学後に授業や研究を進められる状態まで考えて準備することが、分野変更では特に大切です。
「なぜ分野を変えるのか」を研究テーマまでつなげる
分野変更を伴う受験では、「なぜ今までとは違う分野に進みたいのか」を自分の中で整理しておく必要があります。単に「以前から興味があった」「新しい分野を勉強したくなった」というだけでは、大学院で何を研究したいのかまで伝わりません。
まず、これまでの学習や仕事の経験を振り返ります。その中で、どのような疑問や課題を感じたのかを考えてみましょう。次に、その疑問を深く考えるためには、なぜ現在の専門だけでは足りず、新しい分野の知識や研究方法が必要なのかを整理します。そして最終的に、それを大学院で取り組みたい研究テーマにつなげます。
例えば、心理学を学んできた人がSDMを検討する場合には、心理学を離れたいという説明ではなく、人間の行動について学んできた経験からどのような問題意識が生まれ、それを新しい研究領域でどのように扱いたいのかを考えることができます。
この整理は、志望理由書だけでなく研究計画書にも関係します。分野変更の理由と研究テーマが別々に存在するのではなく、これまでの経験から問題意識が生まれ、その問題を研究するために新しい分野へ進むという流れを作ることがポイントです。
これまでの専門を捨てるのではなく新しい研究につなげる

異分野を目指すとき、「自分には新しい分野の経験がない」という不足部分ばかりが気になるかもしれません。しかし、大学院で分野を変えるからといって、これまで学んできた専門をすべて切り離す必要はありません。
例えば、法学を学んだ人が政策・メディア研究科(SFC)で研究するのであれば、法的な視点と政策やメディアに関する新しい視点を組み合わせることも考えられます。仕事を経験してから進学する社会人であれば、学部時代の専門に加えて、実務で得た経験も研究テーマを考える材料になります。
ここで一度、「これまで何を学んできたか」「仕事や活動を通じて何を経験したか」「現在どのような問題に関心があるか」「新しい分野から何を学ぶ必要があるか」を分けて書き出してみると、自分の経歴と研究テーマの接点が見つかりやすくなります。
異分野出身であること自体が強みになると決めつける必要はありません。重要なのは、過去の専門や経験を、新しい研究テーマの中でどのように使えるのかを具体的に説明できることです。
志望研究科と教員まで調べて分野変更の現実性を確認する

研究テーマがある程度見えてきたら、次はその研究を慶應義塾大学大学院のどこで進めるのかを具体的に調べます。研究科の名称だけで判断せず、所属教員の専門分野や研究テーマ、カリキュラムなどを確認しましょう。
特に分野変更の場合、自分がイメージしている研究内容と、実際に研究科で行われている研究との間にずれがないかを確認することが重要です。「この研究科なら幅広く研究できそう」という印象だけで決めるのではなく、自分のテーマに関係する教員がいるのか、どのような研究が行われているのかまで調べる必要があります。
そのうえで、志望理由では「分野を変えたいからこの研究科を選んだ」とするのではなく、自分の問題意識を研究するために、なぜその研究科を検討しているのかを整理します。研究計画書についても、新しい分野の用語を並べることより、自分が何を明らかにしたいのか、そのためにどのような知識が必要なのかを考えることが大切です。
説明会などで質問できる機会がある場合には、異分野からの進学について確認する方法もあります。また、入試要項だけでは判断できない出願資格については、研究科が案内している問い合わせ先を確認しましょう。
まとめ
慶應義塾大学大学院には、学部時代とは異なる分野から出願を検討できる研究科があります。ただし、「出身学部が違っても出願できる」ということだけで志望先を決めるのではなく、出願資格、試験内容、必要な専門知識、入学後の研究まで含めて考えることが重要です。
分野変更を考えている方は、まず現在の専門と志望分野の間にどの程度の知識差があるのかを確認しましょう。そのうえで、これまでの学習や仕事から生まれた問題意識を整理し、なぜ新しい分野で研究する必要があるのかを考えます。さらに、志望研究科の教員や研究内容を調べ、自分のテーマを実際に深められる環境なのかを確認していきます。
分野を変えることは、これまでの専門を捨ててゼロからやり直すこととは限りません。過去に学んだことや実務経験と、新しく学ぶ分野との間にどのような接点を作れるのかを考えることも、研究テーマを具体化する手掛かりになります。出願資格の確認だけで終わらせず、「何を研究したいのか」「なぜ分野を変える必要があるのか」「そのために何を準備するのか」という三つの視点から、進学の可能性を具体的に検討してみてください。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、試験内容、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


