
慶應大学院は学歴に自信がなくても受験できる?
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する『慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド』をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは『慶應大学院は学歴に自信がなくても受験できる?』です。
「自分の出身大学に自信がない」「慶應義塾大学の学部出身ではない」「学部時代の成績があまり良くなかった」といった理由から、慶應義塾大学大学院への出願をためらっている人もいるのではないでしょうか。
大学院入試を考えるうえで大切なのは、出身大学のイメージだけで自分の受験可能性を判断しないことです。大学院入試では、研究科や入試方式ごとに出願資格や選考方法が定められています。まずは自分が希望する研究科の募集要項を確認し、どのような選考が行われるのかを正確に把握することから始めましょう。
この記事では、学歴に自信がない人が慶應大学院を目指す際に、どのような点を確認し、何を準備すればよいのかを整理します。
まず確認したいのは「出身大学」ではなく出願資格

慶應大学院への進学を検討するとき、最初に確認したいのは自分の出身大学の偏差値ではなく、志望研究科の出願資格です。
大学院入試では、研究科、課程、入試方式ごとに出願資格が定められています。自分がその条件を満たしているのであれば、まずは募集要項に沿って受験準備を進められるかを検討することが重要です。
反対に、「自分の大学から慶應大学院へ進学した人を知らない」「インターネット上で同じ大学の合格体験記を見つけられない」といった理由だけで、受験できないと判断する必要はありません。
出身大学名について悩む前に、出願資格、必要書類、試験科目、外国語の扱い、研究計画書の有無、面接や口頭試問の有無など、自分が実際に受ける選考内容を確認しましょう。
大学院入試では研究テーマとの接続が重要になる
学部入試と大学院入試の大きな違いの一つは、大学院では「何を研究したいのか」が重要になることです。特に研究計画書の提出が求められる入試では、自分の問題意識を研究としてどのように具体化するのかを考える必要があります。
たとえば、「経営について勉強したい」というだけでは、研究テーマとしてはまだ広すぎます。どのような企業や組織を対象に、どのような現象に注目し、何を明らかにしたいのかまで具体化していく必要があります。
そのうえで先行研究を調べ、これまで何が明らかになっているのかを確認し、自分が取り組む研究の位置づけを考えていきます。
この作業は、出身大学の名前とは別の問題です。どの大学を卒業していても、研究計画書が必要なのであれば、志望分野について文献を読み、研究上の問いを設定し、実現可能な研究方法を考える準備が必要になります。
「慶應だから無理」と考える前に選考方法を見る
慶應義塾大学という名前を意識するあまり、「自分にはレベルが高すぎる」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、院試対策では大学名のイメージではなく、実際の選考内容を確認することが重要です。
筆記試験があるのであれば、何が出題されるのかを確認します。研究計画書が必要なのであれば、研究テーマや先行研究を整理します。外国語能力を確認する選考であれば、どのような試験やスコアが必要なのかを確認します。面接や口頭試問があるのであれば、提出書類について自分の言葉で説明できるように準備します。
つまり、「慶應に受かる学歴があるか」と漠然と考えるのではなく、「この研究科のこの入試を受験するために、自分には何が足りないのか」と具体的な課題に置き換えることが大切です。
学部時代の成績に自信がない場合はどうする?

出身大学だけではなく、学部時代の成績に不安を感じている人もいるでしょう。募集要項で成績証明書の提出が求められている場合には、当然ながら過去の履修状況や成績が提出書類に含まれることになります。
ただし、具体的なGPA基準や評価方法について公式に示されていないのであれば、「GPAが低いから絶対に受からない」「この数字以上なら合格できる」と自己判断することはできません。
まずは募集要項を確認し、成績についてどのような条件が設定されているのかを確認しましょう。そのうえで、これから準備できる研究計画書、筆記試験、外国語、面接などに取り組むことが現実的です。
過去の成績そのものを変更することはできませんが、現在の専門知識を増やしたり、研究テーマについて理解を深めたりすることはできます。変えられない過去の数字だけに時間を使うのではなく、現在から改善できる部分を明確にすることが大切です。
他大学出身者は「なぜ慶應なのか」を整理しておく
他大学から慶應大学院を受験する場合には、「なぜ現在の大学や他の大学院ではなく、慶應義塾大学大学院なのか」を自分なりに整理しておきましょう。
ここで重要なのは、「有名だから」「慶應という学歴が欲しいから」といった大学名そのものを志望理由の中心にするのではなく、自分の研究との接点を示すことです。
志望研究科にはどのような教員が所属しているのか、どのような研究が行われているのか、どのようなカリキュラムや研究環境があるのかを調べ、「自分が取り組みたい研究をなぜこの研究科で行いたいのか」を説明できるようにします。
これは慶應の学部出身者にも必要な準備です。内部進学か他大学からの進学かにかかわらず、自分の研究目的と志望研究科との関係を整理することが重要です。
専攻が違う場合は基礎知識を補う
「学歴に自信がない」という相談の中には、大学名ではなく、「学部で十分に専門的な勉強をしてこなかった」「大学院で専攻を変えたい」という不安が含まれていることもあります。
たとえば、学部では文学を学んでいたものの、社会人経験を経て経営分野を研究したいと考えるケースなどです。このような場合には、大学名以上に、志望分野の基礎知識をどの程度身につけているのかが重要な課題になります。
専門書や基本文献を読む、関連する論文を調べる、必要な研究方法を学ぶなど、研究計画を作成する前提となる知識を身につけていきましょう。筆記試験がある場合には、過去問などを確認して現在の自分との距離を把握することも必要です。
異分野から挑戦するのであれば、「なぜ専攻を変えるのか」「これまでの経験と新しい研究分野がどのようにつながっているのか」についても説明できるようにしておきましょう。
社会人の場合は実務経験をそのまま研究実績と考えない
社会人経験を経て大学院を目指す人の場合、学部卒業から時間が経っていることもあります。その場合、「大学時代の学歴より、社会人経験を評価してもらえるのではないか」と考える人もいるでしょう。
実務経験は、自分の問題意識を形成する重要な背景になり得ます。しかし、仕事で大きな実績を残していることと、大学院で研究を行う準備ができていることは同じではありません。
たとえば、マーケティングの仕事を10年間経験していたとしても、「マーケティングについて詳しいので研究したい」だけでは研究計画にはなりません。実務で感じた問題を研究上の問いへ変換し、先行研究との関係を整理し、どのような方法で検証するのかを考える必要があります。
社会人経験を強みにするのであれば、職歴の長さだけではなく、そこから生まれた問題意識を研究計画へどう結びつけるのかを考えてみましょう。
面接では学歴を気にしすぎない
面接や口頭試問が実施される場合には、学歴への引け目から必要以上に自分を小さく見せないことも大切です。
「自分は〇〇大学出身なので自信がありません」と自分から学歴について弁解するのではなく、質問された内容に対して正確に答えることを意識しましょう。
研究計画について質問されたのであれば、研究目的や方法を説明します。志望理由を聞かれたのであれば、なぜその研究科で学びたいのかを説明します。分からない質問については、無理に知っているように振る舞わず、自分が分かる範囲を整理して答える姿勢も重要です。
面接対策では、自分の出身大学をどう見られるかを想像し続けるより、「自分の研究計画のどこを質問される可能性があるか」を考えて準備するほうが具体的な対策になります。
大学院進学を「学歴の上書き」だけにしない

慶應大学院への進学を考える人の中には、「最終学歴を慶應にしたい」という気持ちを持つ人もいるかもしれません。進学を考えるきっかけは人それぞれですが、実際に大学院へ進学すれば、研究や授業、論文作成などに取り組むことになります。
そのため、受験を決める前に、「慶應大学院に合格したい」だけではなく、「入学後に何を研究したいのか」「そのために大学院へ進学する必要があるのか」まで考えてみることが大切です。
研究したいテーマが明確になれば、どの研究科を選ぶべきか、どの教員の研究を調べるべきか、何を入試までに勉強する必要があるのかも見えてきます。
学歴に自信がない人が最初にやるべきこと
学歴に不安があり、慶應大学院を受験するか迷っているのであれば、まず志望研究科の最新の募集要項を確認してみましょう。そして、「出願資格を満たしているか」「どのような書類が必要か」「どのような試験があるか」「研究計画書が必要か」「外国語はどのように評価されるのか」といった項目を書き出します。
次に、自分が大学院で研究したいテーマを簡単に文章にしてみます。そのテーマに関連する教員がいるか、研究科の教育内容と自分の目的が合っているかを確認しましょう。
そこで初めて、「専門知識が不足している」「英語対策を早く始める必要がある」「研究テーマがまだ広すぎる」といった、自分がこれから取り組むべき具体的な課題が見えてきます。
出身大学に自信がないという漠然とした不安だけで、慶應大学院への挑戦を諦める必要はありません。一方で、「学歴は一切関係ないから大丈夫」と楽観的に考えるのも適切ではありません。大切なのは、志望研究科がどのような選考を行っているのかを確認し、その選考に向けて自分に不足している部分を一つずつ準備していくことです。
この記事の内容は執筆時点の情報です。出願資格、提出書類、試験科目、選考方法、外国語の取り扱いなどは、研究科・課程・入試方式・年度によって異なります。受験を検討する際は、必ず慶應義塾大学および各研究科の最新の募集要項・公式サイトをご確認ください。
志樹舎
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


