
慶應大学院の院試にGPAはどこまで影響する?
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する『慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド』をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは『慶應大学院の院試にGPAはどこまで影響する?』です。
慶應義塾大学大学院への進学を考えている人の中には、「学部時代のGPAが低いと不利になるのではないか」「GPAが高くなければ慶應大学院には合格できないのではないか」と不安を感じている人もいるでしょう。
大学院入試では、研究科や入試方式によって選考方法が大きく異なります。そのため、「GPAが何点なら合格できる」「GPAが低ければ不合格になる」と一律に考えることはできません。まず確認すべきなのは、志望する研究科の募集要項で、成績証明書の提出が必要なのか、GPAなどについて具体的な出願条件が設けられているのかという点です。
この記事では、慶應大学院を目指す人が学部時代の成績をどのように捉え、GPAに不安がある場合に何を準備すればよいのかを整理します。
まず「GPA」と「成績証明書」を分けて考える

最初に理解しておきたいのが、GPAそのものと成績証明書は必ずしも同じものではないということです。GPAは、履修科目の成績を一定の方式で数値化した指標ですが、成績証明書からは、GPA以外にも履修した科目やそれぞれの評価などを確認できる場合があります。
そのため、大学院入試において成績証明書が提出書類となっている場合、「GPAの数字だけが見られる」と考える必要はありません。どのような科目を履修してきたのか、志望する研究分野に関連する学習をしてきたのかなど、学部時代の学修状況を示す資料の一つとして考えることができます。
また、大学によって成績評価制度やGPAの算出方法が異なる場合があります。自分のGPAだけを見て、他大学の学生と単純比較して必要以上に不安になるのは避けたいところです。
「GPAが何点必要?」は募集要項から確認する
受験生にとって気になるのは、「慶應大学院ならGPA3.0以上必要なのか」といった具体的な数字でしょう。しかし、大学院入試は研究科や入試方式ごとに出願資格や選考方法が定められているため、慶應大学院全体に共通する一つの数字として考えるのは適切ではありません。
インターネット上では「GPA〇〇以上なら安全」「〇〇以下だと難しい」といった情報を目にすることがあります。しかし、それが大学や研究科の公式情報でなければ、出願条件や合否基準として扱うことはできません。
確認すべきなのは、自分が受験する年度・研究科・課程・入試方式の募集要項です。GPAや成績に関する条件が明記されているのであれば、その内容に従う必要があります。一方、具体的な最低GPAなどが示されていないのであれば、根拠のない数字を自分で合格ラインとして設定しないことが大切です。
成績証明書からは履修科目も確認できる
成績について考えるときには、平均的な数字だけでなく、自分がどのような科目を履修してきたのかにも目を向けてみましょう。
たとえば、経済学に関する研究を希望しているのであれば、経済学や統計学など関連する分野を学んできた経験は、自分の学問的な背景を整理する材料になります。心理学、法学、工学などについても同様で、これまでの履修内容と大学院で取り組みたい研究とのつながりを整理しておくことが重要です。
反対に、学部時代の専攻と大学院で研究したい分野が大きく異なる場合には、現在どの程度の基礎知識を身につけているのかを自分自身で確認しておく必要があります。大学院では専門的な研究を進めることになるため、入試対策だけでなく、入学後に研究を進められるだけの基礎を準備するという視点も必要です。
GPAが低いからといって研究計画書で言い訳する必要はない

GPAに不安がある受験生がやってしまいがちなのが、志望理由書や研究計画書の中で学部時代の成績について長く弁解することです。しかし、提出書類で説明を求められていないのであれば、必要以上にGPAの低さを強調する必要はありません。
研究計画書で重要なのは、本来そこで求められている内容に答えることです。研究背景、問題意識、先行研究、研究目的、研究方法などを論理的に整理し、自分が大学院で取り組みたい研究を具体的に示すことに時間を使いましょう。
もちろん、成績について説明する必要がある入試方式や書類項目が設けられている場合には、その指示に従います。その場合も、事情の説明だけで終わらせるのではなく、その後どのように学び直したのか、現在どのような準備を進めているのかを事実に基づいて説明できるようにしておくとよいでしょう。
学部時代と異なる分野を受験する場合はどうする?
大学院受験では、学部時代とは異なる分野への進学を考えるケースもあります。社会人の場合には、大学卒業後の仕事を通じて新しい問題意識を持ち、大学院で改めて専門的に研究したいと考えることもあるでしょう。
この場合に重要なのは、「学部でその分野を専攻していなかった」という事実だけではなく、なぜ現在その分野を研究したいのか、研究を始めるためにどのような準備をしているのかを整理することです。
関連する専門書や論文を読む、必要な基礎理論を学ぶ、研究方法について勉強するといった準備を進めることで、研究計画そのものも具体的になります。専門分野を変更する場合ほど、出願直前になって研究計画を考え始めるのではなく、早めに基礎学習を始めることが大切です。
社会人受験生は大学卒業後の経験も整理しておく
社会人受験生の場合、大学卒業から受験までに長い期間が空いていることがあります。「10年以上前の大学時代の成績が気になる」という人もいるでしょう。
このような場合には、過去の成績だけに意識を向けるのではなく、大学卒業後にどのような経験を積み、そこからどのような研究上の問題意識を持つようになったのかを整理しておくことも重要です。
ただし、実務経験が長ければ、それだけで研究能力を示せるわけではありません。大学院は研究を行う場所でもあるため、仕事上の課題をそのまま語るのではなく、「その経験からどのような問いを立て、それをどのような方法で研究したいのか」まで落とし込む必要があります。
学部卒業後に得た経験と、これから取り組みたい研究をつなげて説明できれば、なぜ今大学院へ進学するのかという志望理由も整理しやすくなります。
GPAに不安がある人ほど筆記試験や英語の準備を早める
過去の成績は、受験を決めた時点から変更することはできません。一方で、これから受験までの間に準備できるものはあります。
志望する研究科で筆記試験が実施されるのであれば、出題範囲や過去問を確認し、必要な専門知識を身につけていきましょう。外国語能力に関する試験や外部試験の提出が必要な場合には、その対策も早めに始めます。
また、研究計画書が必要であれば、先行研究を十分に読み、研究目的と研究方法が対応した計画を作成していく必要があります。面接や口頭試問がある場合には、自分の研究計画について質問されても、自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。
「GPAが低いからどうしよう」と考え続けるよりも、募集要項を確認し、これから改善できる部分を一つずつ準備するほうが現実的な院試対策につながります。
資格や追加資料は勝手に提出しない

GPAに不安があると、「資格証明書や仕事の実績をできるだけたくさん提出したほうがよいのではないか」と考えるかもしれません。しかし、大学院入試では、募集要項で指定された方法に従って出願することが基本です。
提出を求められていない資料を自己判断で追加するのではなく、まず指定された出願書類を正確に準備しましょう。資格、研究実績、職務経験などを記載できる欄が設けられている場合には、その指示の範囲内で自分の経験を伝えます。
大切なのは資料の量を増やすことではなく、その入試方式で何を提出するよう求められているのかを正確に理解することです。
成績証明書は早めに取り寄せて確認する
大学を卒業してから時間が経っている社会人の場合、自分のGPAや履修科目を正確に覚えていないこともあります。受験を検討し始めた段階で、一度成績証明書の内容を確認しておくとよいでしょう。
「思っていたより成績が悪かった」と不安になる場合もあれば、反対に、志望分野に関連する科目では比較的良い成績を取っていたことに気づく場合もあります。まずは実際の記録を確認したうえで、自分にどのような準備が必要なのかを考えることが大切です。
また、証明書の発行方法や必要日数は出身大学によって異なります。卒業後に氏名が変わっている場合や、海外大学を卒業している場合などには、通常とは異なる手続きが必要になることも考えられるため、出願直前ではなく余裕を持って確認しましょう。
GPAの数字だけで慶應大学院を諦めない
大学院入試を考える際、GPAは目に見える数字であるため、どうしても気になりやすいものです。しかし、重要なのは、インターネット上の「GPA〇〇以上必要」といった情報だけで受験可能性を判断しないことです。
まずは志望する研究科と入試方式を決め、最新の募集要項を確認しましょう。そのうえで、成績証明書、研究計画書、筆記試験、外国語、面接など、自分が受ける選考で何が求められているのかを一つずつ整理します。
過去のGPAそのものを変えることはできませんが、研究テーマを深めること、先行研究を読むこと、専門知識を学び直すこと、筆記試験や外国語の準備をすることは今からでも可能です。GPAだけに意識を集中させるのではなく、志望する研究科の選考内容を正確に把握し、現在から改善できる部分に時間を使うことが重要です。
この記事の内容は執筆時点の情報です。成績証明書などの提出書類、出願資格、GPA・成績の取り扱い、選考方法は、研究科・課程・入試方式・年度によって異なります。受験を検討する際は、必ず慶應義塾大学および各研究科の最新の募集要項・公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


