
- 1. 学部と大学院では「学ぶ」の意味が変わる
- 2. 専門性をさらに深められる
- 3. 大学院では「問いを立てる」ことから始まる
- 4. 「慶應大学院に行くこと」自体を目的にしない
- 5. 学部卒で就職する2年間にも価値がある
- 6. 大学院進学には「機会費用」もある
- 7. 「大学院卒なら就職で有利」とは限らない
- 8. 研究職を目指すならその先の進学も考える
- 9. 社会人にとっては仕事を研究対象として見直す機会にもなる
- 10. キャリアチェンジのための大学院進学は慎重に考える
- 11. 人との出会いも大学院生活の一部
- 12. 大学院に行けば年収が上がるとは限らない
- 13. 「学歴を変えたい」だけで進学する前に考えたいこと
- 14. 大学院に行かない選択肢も含めて考える
- 15. 大学院に行く意味は志望理由にもつながる
- 16. 「慶應大学院に行く意味」を自分の言葉で説明できるか
慶應大学院に行く意味とは?学部卒との違いから考える
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する『慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド』をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは『慶應大学院に行く意味とは?学部卒との違いから考える』です。
慶應義塾大学大学院への進学を考えるとき、「本当に大学院まで行く必要があるのか」「学部を卒業して就職したほうがよいのではないか」と迷う人もいるでしょう。社会人であれば、仕事を続けながら大学院へ通う意味や、学費と時間をかけて学び直す価値について考えることもあります。
大学院進学には、専門分野を深く学べるというメリットがある一方、時間や学費も必要です。学部卒で就職すれば、その期間に実務経験を積むこともできます。そのため、「慶應大学院へ行けば必ず得をする」と単純に考えることはできません。
大切なのは、自分が将来やりたいことと大学院で得られる経験がどのようにつながっているのかを考えることです。ここでは、学部卒で就職する場合との違いも踏まえながら、大学院へ進学する意味について整理します。
学部と大学院では「学ぶ」の意味が変わる
学部では、専門分野の基礎を幅広く学びながら、講義や演習などを通して知識を身につけていきます。一方、大学院では、より限定されたテーマについて専門的に研究することになります。
もちろん学部でも卒業論文やゼミなどを通じて研究に取り組むことはありますが、大学院では自分の研究テーマを中心に文献を読み、研究上の問いを設定し、調査や実験、分析などを進めていく時間が増えていきます。
つまり、大学院では「すでに整理された知識を学ぶ」だけではなく、「まだ十分に明らかになっていない問題について自分で考える」という学びの比重が大きくなります。
この違いを理解しておくと、自分が大学院で本当にやりたいことがあるのかを考えやすくなります。
専門性をさらに深められる

大学院進学の意味として分かりやすいのが、特定の分野について専門性を深められることです。
学部では限られた時間の中でさまざまな科目を履修しますが、大学院では自分の研究テーマを軸として、関連する先行研究や理論、研究方法などをより深く学びます。
たとえば、同じ「経営」「経済」「政策」「メディア」「工学」といった分野でも、大学院ではその中からさらに研究対象を絞り、具体的な問題について研究することになります。
将来、自分が特定の分野に関わる仕事や研究を続けたいのであれば、大学院で専門的に学ぶことが、その後のキャリアを考える一つの土台になる可能性があります。
大学院では「問いを立てる」ことから始まる
大学院で身につけるものは、専門知識だけではありません。研究では、「何が問題なのか」「何を明らかにしたいのか」という問いそのものを考える必要があります。
たとえば、ある社会問題について関心を持ったとしても、「この問題について研究したい」というだけでは研究テーマとして十分ではありません。これまでの研究で何が分かっているのかを調べ、そのうえで何がまだ明らかになっていないのかを考えます。
さらに、その問いに答えるためにはどのようなデータや資料が必要なのか、どのような方法で分析するのかを設計し、結果を考察します。
このように、問題を発見し、情報を集め、仮説や問いを設定し、検証していく一連の経験が大学院での研究です。こうした思考の進め方は、研究以外の場面でも応用できる可能性があります。
「慶應大学院に行くこと」自体を目的にしない
慶應義塾大学大学院を目指していると、いつの間にか「慶應に合格すること」が最大の目標になってしまうことがあります。しかし、本来は大学院へ合格してからが学びのスタートです。
慶應義塾大学には複数の大学院研究科があり、研究内容、教育方針、カリキュラムなどはそれぞれ異なります。
そのため、「慶應という名前に魅力を感じる」という理由だけで研究科を決めるのではなく、「この研究科で何を学びたいのか」「どのような研究に取り組みたいのか」まで考えることが重要です。
自分の目的と研究科の教育・研究内容が合っていなければ、入学後にミスマッチを感じる可能性があります。大学名だけでなく、研究科の中身を見ることが大学院選びでは欠かせません。
学部卒で就職する2年間にも価値がある

大学院進学を検討するときには、「進学した場合」だけを見るのではなく、「進学しなかった場合」と比較することも重要です。
学部卒業後に就職すれば、大学院へ通う期間に実務経験を積むことができます。仕事を通じて業界について学び、実際の顧客や組織の課題に触れることもできます。
一方、大学院へ進学した場合には、その時間を専門的な学習や研究に使うことになります。授業、文献調査、研究指導、調査・実験、論文作成など、仕事とは異なる経験を積むことになります。
どちらが一律に優れているわけではありません。自分が目指しているキャリアでは、今の時点で実務経験を積むことと、専門性や研究経験を深めることのどちらが必要なのかを考えてみましょう。
大学院進学には「機会費用」もある
大学院進学を考えるうえで忘れたくないのが、学費以外の負担です。
学部卒業後にフルタイムの修士課程へ進学する場合には、在学中の学費や生活費だけでなく、その期間に就職していれば得られた可能性のある収入や実務経験についても考えることができます。
社会人が仕事を辞めて進学する場合には、その影響はさらに大きくなります。一方、仕事を続けながら進学するのであれば、収入を維持できる可能性がある反面、仕事と研究を両立するための時間的な負担があります。
大学院進学の価値を考えるときには、「学費はいくらか」だけではなく、時間、仕事、生活とのバランスまで含めて考えることが大切です。
「大学院卒なら就職で有利」とは限らない
大学院へ行く意味を考える際、「修士号を取得すれば就職で有利になるのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。
これは業界や職種によって異なるため、一律には判断できません。研究開発など、大学院での専門的な研究経験との関連が比較的強い職種もあれば、大学院修了そのものが直接的な条件にならない仕事もあります。
また、就職活動では「大学院を修了した」という事実だけではなく、大学院で何に取り組み、どのような経験や能力を得たのかを説明することも重要になります。
将来希望する業界や職種が決まっているのであれば、大学院へ進学する前に、その仕事ではどのような経験や能力が求められているのかを調べておくとよいでしょう。
研究職を目指すならその先の進学も考える
大学院進学の目的が研究者になることであれば、修士課程の2年間だけではなく、その先の博士課程・博士後期課程なども視野に入れる必要があります。
修士課程で研究の基礎を身につけ、さらに研究を深めたい場合には、その後も大学院で研究を継続する道があります。
ただし、研究者としてのキャリアを考えるのであれば、必要な学位、研究成果、将来の就職先などについても早い段階から情報を集めておくことが重要です。
「研究が好きだから大学院へ行く」という気持ちも大切ですが、長期的に研究を続けたいのであれば、修士課程以降のキャリアまで含めて考えてみましょう。
社会人にとっては仕事を研究対象として見直す機会にもなる
大学院進学は、学部を卒業したばかりの学生だけの選択肢ではありません。社会人として働いた後に大学院へ進学する人もいます。
社会人の場合、実務を経験したからこそ生まれる問題意識があります。「なぜこの業界ではこの問題が繰り返されるのか」「組織の仕組みを改善する方法はないのか」といった疑問を、大学院で研究上の問いとして捉え直すことも考えられます。
仕事では目の前の問題を解決することが優先されますが、大学院では先行研究や理論を使いながら、その問題を別の角度から考えることができます。
実務経験と学術的な視点を組み合わせたい人にとって、大学院は学び直しの選択肢の一つになります。
キャリアチェンジのための大学院進学は慎重に考える
これまでとは違う分野へ進むために大学院を検討する人もいます。新しい分野を体系的に学べるという点では、大学院進学がキャリアを考え直すきっかけになる可能性があります。
ただし、「大学院へ行けば未経験の業界へ転職できる」と考えるのは早計です。転職では、これまでの職歴、実務経験、専門性など、さまざまな要素が関係します。
キャリアチェンジを目的とするのであれば、自分が希望する仕事に大学院での学びがどうつながるのかを具体的に調べることが重要です。
「現在の経験」と「大学院で学ぶこと」と「修了後にやりたいこと」の三つをつなげて考えると、進学する意味を整理しやすくなります。
人との出会いも大学院生活の一部
大学院では、教員だけでなく、自分とは異なる研究テーマや職歴を持つ学生と学ぶ機会があります。研究科によっては、社会人経験を持つ学生や留学生などと一緒に学ぶことも考えられます。
他の学生の研究発表を聞いたり、議論したりする中で、自分にはなかった考え方を知ることがあります。こうした交流も大学院生活の一つです。
ただし、「人脈を作るため」という理由だけで進学を決めるのではなく、まずは自分が学びたいことや研究したいことがあるかを考えることが大切です。
大学院に行けば年収が上がるとは限らない

社会人の場合には、「大学院へ行けば年収が上がるのか」という点も気になるでしょう。しかし、大学院修了と収入の関係は、業界、職種、企業、職歴などによって異なります。
大学院で得た専門性が仕事に直接生かせる場合もあれば、すぐには収入に反映されない場合もあります。
そのため、年収アップだけを目的に大学院進学を決めるのではなく、大学院で何を得たいのか、それが中長期的なキャリアにどうつながるのかを考えることが重要です。
特に仕事を辞めて進学する場合には、学費と生活費だけでなく、在学中の収入についても含めて現実的な計画を立てましょう。
「学歴を変えたい」だけで進学する前に考えたいこと
大学院進学を検討している人の中には、現在の学歴に自信がなく、「慶應大学院を修了することでキャリアを変えたい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、大学院は単に最終学歴の名称を変えるためだけの場所ではありません。入学後には授業や研究に取り組み、研究科が定める修了要件を満たす必要があります。
また、就職や転職では大学院名だけではなく、これまでの経歴や大学院での研究内容、本人の経験なども含めて見られる可能性があります。
学歴への不安だけを出発点にするのではなく、「大学院で具体的に何を研究したいのか」「修了後にその経験をどのように生かしたいのか」まで考えてみることが重要です。
大学院に行かない選択肢も含めて考える
大学院進学に迷っているときには、「どうすれば慶應大学院へ入れるか」だけではなく、「そもそも今の自分に大学院が必要なのか」を考えてみることも大切です。
自分が学びたい内容によっては、仕事を通じて経験を積む方法や、書籍・講座などで学ぶ方法が適している場合もあります。一方、指導を受けながら本格的に研究したい、特定の専門分野を体系的に学びたい、研究活動そのものに取り組みたいのであれば、大学院進学を検討する意味が見えてきます。
進学することを前提に理由を探すのではなく、「進学する場合」と「進学しない場合」の両方を考え、それぞれ数年後の自分を想像してみるとよいでしょう。
大学院に行く意味は志望理由にもつながる
「なぜ大学院へ行くのか」という問いは、そのまま院試での志望理由にもつながります。
単に「専門知識を身につけたい」「キャリアアップしたい」だけではなく、これまでどのような経験をし、どのような問題意識を持ち、なぜ今大学院で研究する必要があるのかを整理してみましょう。
さらに、「なぜ慶應義塾大学なのか」「なぜその研究科なのか」「なぜその研究テーマなのか」までつなげられると、進学目的が具体的になります。
大学院に行く意味を考えることは、受験するかどうかを判断するためだけではありません。研究計画書や志望理由、面接で自分の考えを説明するための土台にもなります。
「慶應大学院に行く意味」を自分の言葉で説明できるか
大学院進学に万人共通の正解はありません。学部卒で就職して実務経験を積むことに価値を感じる人もいれば、大学院で研究に集中する時間を必要とする人もいます。社会人として経験を積んだ後だからこそ、大学院で学び直したいと考える人もいます。
重要なのは、「慶應だから行きたい」で終わらせず、「自分は何を研究したいのか」「なぜ大学院でなければならないのか」「なぜこの研究科なのか」「修了後に何をしたいのか」を一つずつ考えることです。
まだ答えが明確でない場合には、志望研究科のカリキュラムや教員の研究内容を調べ、実際に研究計画を考えてみるところから始めてもよいでしょう。その過程で、自分が本当に大学院で学びたいのかが少しずつ見えてきます。
大学院進学には時間も費用も必要です。だからこそ、合格する方法を考える前に、自分にとって大学院へ行く意味を整理しておくことが、納得できる進路選択につながります。
この記事の内容は執筆時点の情報です。カリキュラム、研究内容、学位、標準修業年限、修了要件、キャリア支援などは、研究科・専攻・課程・プログラム・年度によって異なります。進学を検討する際は、必ず慶應義塾大学および各研究科の最新の公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


