
- 1. まずは志望研究科の修了後の進路を確認する
- 2. 修士修了後に民間企業へ就職する
- 3. 専門性を生かした職種を目指す
- 4. 博士課程へ進学して研究を続ける
- 5. 社会人は「転職」だけが大学院進学の目的ではない
- 6. KBS・SDM・KMDなども修了後のキャリアから比較する
- 7. 大学院をきっかけにキャリアチェンジする
- 8. 起業や新規事業に大学院での経験を生かす
- 9. 大学院進学で年収が上がるとは限らない
- 10. 就職活動と研究をどう両立するか
- 11. 「大学院で何をしたか」を説明できるようにする
- 12. キャリアが決まっていなくても大学院へ進学できる?
- 13. 修了後から逆算すると研究科選びも変わる
慶應大学院の修了後はどんな進路がある?進学前に考えたいキャリア
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する『慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド』をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは『慶應大学院の修了後はどんな進路がある?進学前に考えたいキャリア』です。
慶應義塾大学大学院への進学を考えるとき、研究テーマや入試対策と同時に考えておきたいのが「修了後に何をするのか」という点です。
大学院へ進学すると、その後は研究者になるというイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、実際に考えられる進路は博士課程への進学だけではありません。民間企業への就職、専門性を生かした職種への就職、転職、現職でのキャリア形成、起業など、研究科や本人の目的によってさまざまな方向性があります。
一方で、「慶應大学院を修了すれば自動的に希望するキャリアを実現できる」と考えるのも適切ではありません。大切なのは、大学院で何を学び、どのような経験を積み、それを修了後にどうつなげるのかを考えることです。
まずは志望研究科の修了後の進路を確認する

修了後のキャリアを考える際に最初に確認したいのが、志望する研究科の進路情報です。
慶應大学院には複数の研究科があり、研究対象や教育内容が異なります。そのため、修了後の進路についても、すべての研究科を一括りにして考えることはできません。
志望研究科の公式サイトに進路や就職に関する情報が掲載されている場合には、どのような業界・職種などへ進んでいるのかを確認してみましょう。博士課程への進学を考えているのであれば、進学に関する情報も参考になります。
ただし、過去の修了生の進路は「自分も同じ企業や職種へ進める」という保証ではありません。あくまで、その研究科で学んだ先にどのような選択肢が考えられるのかを知るための参考情報として活用しましょう。
修士修了後に民間企業へ就職する
修士課程修了後の選択肢の一つが、民間企業への就職です。理工系であれば研究開発や技術系の職種など、大学院で学んだ専門性とのつながりが比較的分かりやすい進路もあります。
一方、人文社会系などでは、研究テーマと就職先の業務が直接一致するとは限りません。大学院で培った専門知識に加えて、文献やデータから情報を収集する力、課題を設定する力、論理的に文章を組み立てる力、自分の考えを発表する力などを、就職活動でどのように伝えるかを考える必要があります。
「大学院を修了した」という事実だけではなく、2年間で何を研究し、その過程でどのような能力を身につけたのかを説明できるようにしておくことが大切です。
専門性を生かした職種を目指す
大学院へ進学する大きな意味の一つが、特定分野について専門的に学べることです。そのため、修了後に自分の専門性を生かせる仕事を探すという方向性もあります。
研究開発や技術系の仕事だけではなく、研究分野によっては調査、分析、企画、教育、政策、デザインなど、大学院で身につけた知識や研究経験との接点を持つ仕事が考えられます。
ただし、「この研究科を出ればこの職種になれる」と単純に結びつけるのではなく、その職種ではどのような経験や能力が求められているのかを調べておくことが重要です。
進学前から希望する職種が決まっている場合には、そのキャリアに大学院進学がどのように役立つのかを具体的に考えてみましょう。
博士課程へ進学して研究を続ける
修士課程で取り組んだ研究をさらに発展させたい場合には、博士課程・博士後期課程などへ進学する道もあります。
修士課程の研究を進める中で、「もっとこの問題を明らかにしたい」「研究そのものを仕事につなげたい」と考えるようになり、博士課程への進学を検討する人もいます。
博士課程を視野に入れているのであれば、修士課程の早い段階から、その後の研究テーマや必要な準備について考えておくとよいでしょう。研究分野や状況によっては、学会発表や研究成果の公表などに取り組むこともあります。
また、博士課程への進学では研究内容だけでなく、修了までの期間、学費や生活費、奨学金など、経済面を含めた長期的な計画も必要になります。研究者を目指す場合にも、その後にどのようなキャリアが考えられるのかまで情報を集めておくことが重要です。
社会人は「転職」だけが大学院進学の目的ではない
社会人が大学院へ進学する場合、「大学院を修了して転職したい」と考える人もいれば、現在の会社や業界で専門性を高めたいと考える人もいます。
たとえば、仕事を通じて感じてきた課題を大学院で研究し、その成果や知識を現在の業務へ還元するという考え方があります。また、大学院で新しい専門分野を学び、それをきっかけとして別の業界や職種への転身を検討する場合もあります。
社会人の場合には、進学によって得られるものだけでなく、仕事との両立、学費、学習時間なども含めて考える必要があります。
「慶應大学院を修了すればキャリアアップできる」という漠然とした期待ではなく、「現在のキャリアに何が不足していて、それを大学院でどう補いたいのか」まで整理してみましょう。
KBS・SDM・KMDなども修了後のキャリアから比較する

慶應大学院を検討している社会人の中には、経営管理研究科(KBS)、システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)、メディアデザイン研究科(KMD)などに関心を持っている人もいるでしょう。
これらはそれぞれ教育内容やカリキュラムが異なり、同じ「慶應大学院」という理由だけで比較することはできません。
研究科を選ぶ際には、入試難易度や通学のしやすさだけでなく、「そこで何を学べるのか」「どのような研究やプロジェクトに取り組めるのか」「自分の修了後の目標とどのようにつながるのか」という観点から比較することが大切です。
各研究科の公式サイトでカリキュラムや修了生の進路などが紹介されている場合には、進学前に確認しておきましょう。
大学院をきっかけにキャリアチェンジする
これまでとは異なる分野へ進むために大学院を活用したいと考える人もいます。特に社会人の場合、仕事を経験する中で新たな問題意識が生まれ、学部時代とは異なる分野を研究したいと考えることがあります。
ただし、大学院へ進学しただけで未経験分野への転職が保証されるわけではありません。希望する業界や職種について調べ、大学院で身につける知識や経験がどのように評価されるのかを考える必要があります。
キャリアチェンジを目的の一つとするのであれば、「今までの経験」「大学院で学ぶこと」「修了後に取り組みたい仕事」を一本の線として説明できるか考えてみましょう。
これまでの経験をすべて捨てて新しい分野へ移るのではなく、過去の実務経験と大学院で身につける専門性を組み合わせることで、自分なりのキャリアを作れる場合もあります。
起業や新規事業に大学院での経験を生かす
研究科や本人のキャリアによっては、修了後に起業したり、企業の中で新規事業などに取り組んだりする方向性も考えられます。
大学院では、自分とは異なる業界や専門分野を持つ学生、教員などと関わる機会があります。こうした環境から新しい問題意識やアイデアが生まれる可能性もあります。
ただし、「大学院へ行けば起業できる」と考えるのではなく、大学院で何を学び、どのような知識や研究成果を事業へつなげられるのかを考えることが重要です。
起業を考えている場合には、研究テーマそのものだけでなく、大学院で得られる学習機会や研究環境が自分の目的と合っているかを確認しましょう。
大学院進学で年収が上がるとは限らない
キャリアを考えるうえでは、大学院進学と収入の関係が気になる人もいるでしょう。しかし、「慶應大学院を修了すれば必ず年収が上がる」と考えることはできません。
修了後の収入は、業界、職種、企業、これまでの職歴、専門性など、さまざまな要因によって変わります。特に社会人が仕事を中断して進学する場合には、学費だけでなく、その期間の収入なども含めて検討する必要があります。
大学院進学を金銭的な投資として考えるのであれば、学費や生活費だけではなく、2年間で何を得たいのか、その経験を修了後にどのように活用するのかまで考えておくことが大切です。
就職活動と研究をどう両立するか
修士課程修了後に新卒として就職することを考えている場合には、大学院での研究と就職活動を並行して進める時期があります。
修士課程は一般的に2年間という限られた期間です。入学後に授業や研究を始め、研究テーマを具体化している間に、修了後の進路についても考える必要が出てきます。
そのため、就職を希望している場合には、修士2年目になってから初めてキャリアを考えるのではなく、入学後の早い時期から情報を集めておくことが重要です。
一方で、就職活動だけに意識が向き、研究が進まなくなってしまっては大学院へ進学した目的を見失ってしまいます。研究とキャリア形成の双方を見据えて時間を管理する必要があります。
「大学院で何をしたか」を説明できるようにする
修了後のキャリアで重要になるのは、大学院名だけではなく、大学院での経験を自分の言葉で説明できることです。
どのような問題意識を持ち、どのような研究上の問いを設定し、どのような方法で情報を集め、どのように分析したのか。その過程でどのような問題が起こり、どのように修正したのか。こうした研究のプロセスそのものが、自分の経験になります。
研究テーマと就職先の仕事が直接つながらない場合でも、研究を通して身につけた力を整理して説明することはできます。
「慶應の大学院を出ました」で終わらせるのではなく、「慶應大学院で何に取り組み、何ができるようになったのか」まで説明できる状態を目指しましょう。
キャリアが決まっていなくても大学院へ進学できる?
進学を考えている時点で、10年後のキャリアまで完全に決めている必要はありません。大学院で研究する中で興味の対象が変化したり、新しい仕事を知ったりすることもあります。
ただし、「修了後のことは入学してから考えればよい」と何も考えずに進学するのではなく、現時点でどのような可能性を考えているのかは整理しておいたほうがよいでしょう。
研究者を目指すのか、民間企業へ就職するのか、現在の仕事を続けるのか、キャリアチェンジを考えているのか。それによって研究科を見るときのポイントも変わります。
入学時点では仮のキャリアプランでも構いません。大学院での経験を通じて定期的に見直していくことが大切です。
修了後から逆算すると研究科選びも変わる

大学院選びでは、「慶應に入りたい」という気持ちから研究科を探すのではなく、自分が大学院で何を学び、その先で何をしたいのかという順番でも考えてみましょう。
研究を続けたいのであれば、研究テーマや指導環境を重視する必要があります。特定の専門性を仕事へ生かしたいのであれば、カリキュラムと自分のキャリアとの接点を確認します。社会人として現在の仕事と両立したいのであれば、学習内容だけでなく、履修や研究に必要な時間も重要になります。
このように修了後から逆算して考えると、「有名だから」「何となく興味があるから」ではなく、自分なりの研究科選びの基準が見えてきます。
そして、この整理は院試にもつながります。「なぜ大学院へ進学するのか」「なぜ慶應義塾大学のこの研究科なのか」「大学院で何を研究し、その経験をその後どう生かしたいのか」を考えることで、志望理由書や面接でも一貫した説明をしやすくなります。
大学院への合格はゴールではなく、新しい学びやキャリアのスタートです。受験対策を始める段階から修了後の選択肢にも目を向け、自分にとって大学院へ進学する意味を整理してみましょう。
この記事の内容は執筆時点の情報です。カリキュラム、学位、修了要件、キャリア支援、修了生の進路などは、研究科・専攻・課程・プログラム・年度によって異なります。進学を検討する際は、必ず慶應義塾大学および各研究科の最新の公式サイトをご確認ください。
志樹舎
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


