
慶應大学院で教授選びはどれくらい重要?研究テーマとの相性を考える
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する『慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド』をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは『慶應大学院で教授選びはどれくらい重要?研究テーマとの相性を考える』です。
慶應義塾大学大学院への進学を考えるとき、研究科選びとあわせて考えておきたいのが、どの教員のもとで研究するのかという問題です。大学院では、自分で設定した研究テーマについて専門的に掘り下げていくため、指導を受ける教員の専門領域と自分の研究テーマとの相性は重要になります。
ただし、「有名な教授だから」「興味のある授業を担当しているから」という理由だけで決めるのはおすすめできません。研究テーマ、研究方法、指導体制、入学後に利用できる研究環境など、複数の観点から検討することが大切です。今回は、慶應大学院を目指す際に、どのような視点で教員を探せばよいのかを整理します。
指導教員は大学院での研究を支える重要な存在
大学院での学びは、学部までの授業中心の学習とは異なります。もちろん大学院でも講義や演習を履修しますが、それと並行して、自分自身の研究テーマについて調査や分析を進め、最終的には修士論文などの成果へとつなげていくことになります。
そこで重要になるのが指導教員です。研究上の問いの設定、先行研究の探し方、研究方法の選択、調査・分析、論文の構成などについて助言を受けながら研究を進めていきます。そのため、自分が研究したい領域について専門的な知見を持つ教員がいるかどうかは、研究科を選択する段階から確認しておきたいポイントです。
たとえば、同じ「経営学」を扱う研究であっても、マーケティング、組織論、経営戦略、人的資源管理、イノベーションなどでは関連する研究領域が異なります。「経営学を研究している先生だから大丈夫」と大きなくくりだけで判断するのではなく、自分の研究テーマとの具体的な接点まで確認しましょう。
研究テーマは「完全一致」である必要はない

指導教員を探す際、「自分が研究したいテーマとまったく同じ研究をしている先生を探さなければならない」と考える人もいます。しかし、研究テーマが完全に一致する教員を探す必要があるとは限りません。
重要なのは、自分の研究を専門的な立場から指導できる研究領域にいるかどうかです。研究対象そのものは異なっていても、理論的な枠組みや研究方法が近ければ、適切な指導を受けられる可能性があります。
逆に、テーマの表面的なキーワードだけが一致していても、教員が採用している研究方法や問題意識が自分の研究とは大きく異なることもあります。教員を探すときには「何を研究しているか」だけでなく、「どのような視点や方法で研究しているか」まで確認することが重要です。
教員プロフィールだけでなく論文や研究業績まで確認する
指導を希望する教員を探す第一歩は、各研究科の公式サイトに掲載されている教員紹介を確認することです。専門分野、研究テーマ、担当科目などから、自分の研究との接点を探していきます。
ただし、教員紹介に掲載されている数行のプロフィールだけで判断するのは十分ではありません。候補となる教員が見つかったら、最近の論文、著書、研究プロジェクトなども調べてみましょう。
特に確認したいのが「最近どのようなテーマを研究しているか」です。研究者の関心領域は長い研究活動の中で変化することがあります。過去の代表的な著書だけを見るのではなく、近年発表された論文や研究活動まで確認することで、現在の専門領域をより正確に把握できます。
論文をすべて完全に理解する必要はありません。まずは論文タイトル、要旨、問題意識、研究方法、結論などを確認し、自分が取り組みたい研究とどこに接点があるのかを考えてみましょう。
教授選びは研究計画書の説得力にも関係する
指導を希望する教員を調べる作業は、入学後の研究環境を選ぶだけではなく、院試対策そのものにもつながります。
研究計画書では、「何を研究したいのか」だけでなく、「なぜその研究をこの大学院で行うのか」を整理することが重要です。自分の研究テーマと研究科の教育・研究環境との接点が明確であれば、志望理由にも具体性を持たせやすくなります。
たとえば、「〇〇教授のもとで学びたい」と教員名を書くだけでは十分とはいえません。その教員がどのような研究を行っており、その専門性が自分の研究計画とどのようにつながっているのかまで説明できるようにしておきましょう。
面接でも、「なぜこの研究科なのですか」「なぜこの教員の指導を希望するのですか」と質問される可能性があります。その際に教員の研究内容をほとんど知らなければ、志望理由の説得力が弱くなってしまいます。研究計画書を作成する段階から教員研究を進めておくことが重要です。
教員の肩書きや知名度だけで選ばない

教授選びで注意したいのが、肩書きや知名度だけを基準にしてしまうことです。有名な研究者の指導を受けたいと考えること自体は自然ですが、大学院で重要なのは、自分が取り組みたい研究に必要な指導を受けられるかどうかです。
教授、准教授などの肩書きだけではなく、専門領域、研究方法、担当する研究プロジェクトなどを確認しましょう。場合によっては、自分のテーマと非常に近い研究を行っている教員が、最初に注目していた教員とは別に見つかることもあります。
最初から一人だけに決めて情報を集めるより、まず複数の候補を挙げ、それぞれの研究内容を比較する方法がおすすめです。
研究テーマだけでなく指導体制も確認する
教員選びでは、専門分野との相性に加えて、どのような研究指導体制になっているのかも確認しておきたいところです。研究科によって、特定の教員を中心に研究指導を受ける場合もあれば、複数の教員から助言を受けられる体制になっている場合もあります。
また、ゼミや研究会の進め方、研究発表の頻度なども、研究生活に関係します。公式サイトやシラバスなどで確認できる情報があれば、事前に目を通しておきましょう。
ただし、外部から教員の指導スタイルを完全に把握することは困難です。「厳しい先生」「面倒見のよい先生」といった口コミだけで判断するのではなく、公式に公開されている情報や、実際に確認できた事実をもとに検討することが大切です。
事前コンタクトが必要かどうかは研究科ごとに確認する
大学院受験を検討していると、「出願前に教授へ連絡したほうがよいのか」と迷うことがあります。しかし、教員への事前連絡や研究相談の扱いは、研究科や入試制度によって異なります。
事前の研究相談や教員へのコンタクトについて案内がある場合は、そのルールに従いましょう。反対に、募集要項などで特別な指示がない場合に、自己判断で長文の研究計画書を突然送付したり、合否に関する質問をしたりすることは避けたほうがよいでしょう。
教員への連絡が認められている場合には、自分の経歴を簡潔に伝えたうえで、研究したいテーマ、教員の研究との接点、確認したい事項を整理して連絡することが大切です。「指導してもらえますか」とだけ質問するのではなく、なぜその教員に相談したいのかが伝わる内容を心がけましょう。
複数の教員を候補として調べておく
第一希望の教員だけではなく、自分の研究テーマと関連する教員を複数確認しておくことも大切です。教員の担当状況や研究科の指導体制などによっては、自分が想定していた形で研究指導を受けられるとは限らないためです。
比較するときには、「専門分野」「最近の研究テーマ」「研究方法」「担当科目」「自分の研究計画との接点」などを整理すると、それぞれの違いが見えやすくなります。
さらに、大学院で研究を進めていくうちに、自分の問題意識が変化することもあります。一人の教員だけを見るのではなく、研究科全体として自分の研究を発展させられる環境があるかという視点を持つことも重要です。
入学後まで同じ指導体制とは限らない
教員情報を確認する際には、現在の所属状況だけでなく、自分が入学を予定している年度にも指導を受けられるのかという視点が必要です。教員の異動や退職、研究活動の状況などによって、指導体制が変わる可能性があります。
特に、特定の一人の教員だけを理由に研究科を選ぶ場合には注意が必要です。その教員がいなければ研究できない計画になっていないか、関連領域を研究する別の教員がいるか、研究科全体の研究環境も確認しておきましょう。
また、出願時に希望する教員を記載する制度であっても、その希望がそのまま入学後の指導体制を保証するとは限りません。希望指導教員の扱いについては、各研究科の募集要項や公式案内を確認することが必要です。
教授選びに迷ったら「研究テーマとの接点」を言葉にしてみる

複数の教員が候補になり、誰を選べばよいか迷った場合には、それぞれについて「なぜこの先生なのか」を文章にしてみる方法があります。
「自分は何を明らかにしたいのか」「そのためにどのような知識や研究方法が必要なのか」「その教員のどの研究が自分のテーマと関係するのか」という三点を整理してみましょう。この説明が具体的にできる教員ほど、自分の研究計画との接点も見えやすくなります。
大学院選びでは大学名や研究科名だけに目が向きがちですが、実際に入学した後には、誰からどのような研究指導を受けるのかが重要になります。慶應義塾大学大学院への出願を検討する際には、研究科を調べるのと同時に所属教員の研究内容にも目を向け、自分の研究テーマを発展させられる環境なのかを丁寧に確認していきましょう。
この記事の内容は執筆時点の情報です。所属教員、研究分野、指導体制、希望指導教員の指定方法、事前コンタクトの要否などは、研究科や入試年度によって異なります。出願を検討する際は、必ず慶應義塾大学および各研究科の最新の募集要項・公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


