KMDの研究計画書で研究テーマが広すぎるときの絞り方

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院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDの研究計画書で研究テーマが広すぎるときの絞り方」です。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)への進学を目指して研究計画を考えていると、「興味のある分野は決まっているのに、研究テーマがなかなか具体化できない」という悩みに直面することがあります。

例えば、「VRを使って教育を変えたい」「AIで社会課題を解決したい」「新しいデジタルサービスを開発したい」といった目標は、研究の出発点として魅力的です。しかし、そのままでは対象となる課題や研究方法が広すぎて、大学院で何を明らかにしたいのかが伝わりにくくなります。

KMDは、情報技術、デザイン、メディア表現、経営、教育など、さまざまな領域に関係する研究が行われている研究科です。複数の分野を横断する研究に関心がある方にとって、研究テーマをどこまで絞り込むべきかは重要な問題です。

この記事では、広すぎる研究テーマを具体化するための考え方を、研究対象、課題、技術、研究方法、実現可能性などの視点から詳しく解説します。研究計画書の作成を進めている方は、ぜひ参考にしてください。

研究テーマが広すぎるとはどういう状態?

研究テーマが広すぎる状態とは、研究したい分野や方向性は示されているものの、具体的に何を明らかにするのかが十分に定まっていない状態です。

例えば、「AIを活用した教育の改善」というテーマを考えてみましょう。この表現には、AIという技術と教育という対象が含まれています。しかし、どのような学習者を対象にするのか、教育の何を改善したいのか、どのような方法で効果を検証するのかは明確ではありません。

小学生の算数学習を支援する研究と、社会人のリスキリングを支援する研究では、対象者も課題も研究方法も異なります。

研究テーマを絞るためには、興味のある分野を示すだけでなく、その中で扱う課題を具体的にする必要があります。

研究テーマを絞り込むことが重要な理由

研究テーマを絞り込むことは、単に研究計画書を読みやすくするためだけではありません。

研究対象や目的が明確になることで、必要な先行研究を探しやすくなり、適切な研究方法を検討できるようになります。

また、研究期間内にどこまで取り組めるのかを判断するうえでも、研究範囲の設定は重要です。

例えば、「すべての人にとって使いやすいデジタルサービスを開発する」という目標は、社会的な意義がある一方で、対象者や利用場面が広すぎます。

そこで、「高齢者が行政サービスのオンライン申請を行う際の操作上の課題を明らかにする」と具体化すれば、調査対象や評価方法を検討しやすくなります。

研究テーマを絞ることは、研究の価値を小さくすることではなく、研究として検証できる形に整える作業です。

最初に「誰の」「どんな課題」を研究するのか決める

KMDの研究計画書で研究対象と課題を具体的に整理するイメージ

研究テーマを絞る際に、最初に考えたいのが研究対象です。

例えば、「教育を改善したい」という目標がある場合には、誰の教育を対象とするのかを考えます。

小学校低学年の児童、中学生、大学生、社会人など、対象によって必要な支援や学習環境は異なります。

さらに、対象者がどのような課題を抱えているのかを具体的にします。

例えば、「社会人の学び直しに関心がある」という場合には、学習時間の確保が難しいことに注目するのか、学習を継続できないことに注目するのか、必要な教材を選べないことに注目するのかによって研究の方向性が変わります。

対象者と課題を具体化することで、研究テーマの範囲を自然に狭めることができます。

研究対象は利用場面まで具体化する

研究対象を設定する際には、対象者だけでなく、どのような場面で課題が生じているのかを考えることも重要です。

例えば、「高齢者向けの使いやすいアプリケーションを研究したい」という場合には、利用する場面を具体的にすることで、研究テーマを絞り込みやすくなります。

医療機関の予約、行政手続き、買い物、家族とのコミュニケーションなど、利用場面によって求められる機能は異なります。

また、同じサービスであっても、自宅で利用する場合と外出先で利用する場合では、操作環境が異なる可能性があります。

研究対象を考える際には、「誰が」「どこで」「何をするときに」「どのような問題を抱えるのか」という視点で整理するとよいでしょう。

研究目的と研究手段を分けて考える

研究テーマが広すぎる場合には、研究目的と研究手段が混同されていることがあります。

例えば、「AIを使って教育を改善したい」という目標では、AIが研究の目的なのか、教育上の課題を解決するための手段なのかが曖昧です。

もし目的が学習者の理解を支援することであれば、AIはその目的を実現するための手段の一つになります。

同様に、「VRを使ってコミュニケーションを改善したい」という目標であれば、まず、どのようなコミュニケーション上の問題を解決したいのかを考える必要があります。

技術を使うこと自体を目的にするのではなく、その技術によって何を明らかにしたいのかを整理することが重要です。

使いたい技術や手法を一つか二つに絞る

KMDの研究分野を調べていると、AI、VR、XR、ハプティクス、ウェアラブルコンピューティングなど、さまざまな技術に関心が広がることがあります。

しかし、研究計画書の段階ですべての技術を組み合わせようとすると、研究の中心となる課題が見えにくくなる場合があります。

例えば、「AIとVRと触覚技術を組み合わせた教育システムを開発したい」というテーマでは、それぞれの技術がなぜ必要なのかを説明する必要があります。

そこで、最初は「VRによる体験型学習が理解度に与える影響」のように、中心となる技術と研究目的を整理する方法が考えられます。

そのうえで、AIや触覚技術を組み合わせる必要性が明確になった場合に、研究計画へ取り入れるとよいでしょう。

重要なのは、使用する技術の数ではなく、研究目的との関係が説明できることです。

VRを使った教育研究を絞り込む具体例

ここでは、「VRを使って教育を変えたい」という広いテーマを例に考えてみましょう。

まず、対象者を設定します。例えば、中学生を対象にすることが考えられます。

次に、教科や学習内容を絞ります。例えば、理科の天体分野を対象とすることができます。

さらに、どのような課題に注目するのかを考えます。天体の位置関係を平面的な図だけで理解することが難しいという課題に注目することが考えられます。

ここまで整理すると、「中学生の天体学習において、VRによる三次元的な情報提示が空間的な理解に与える影響」という研究テーマの候補が見えてきます。

このテーマであれば、従来の教材とVR教材を比較する方法や、学習前後の理解度を測定する方法などを検討できます。

このように、対象者、学習内容、課題、評価方法を具体化することで、広い関心を研究可能な問いへと発展させることができます。

AIを利用した社会課題研究を絞り込む具体例

次に、「AIで社会課題を解決したい」というテーマを考えてみましょう。

社会課題という言葉には、教育、医療、地域社会、環境、労働など、非常に多くの分野が含まれます。

そこで、まず関心のある社会課題を一つ選びます。

例えば、社会人の学び直しを対象とする場合には、学習を継続できないという課題に注目することが考えられます。

さらに、AIを利用した学習支援の中でも、学習計画の提案に焦点を当てます。

すると、「社会人のオンライン学習において、AIによる学習計画の提案が学習継続に与える影響」というテーマの候補が考えられます。

研究方法としては、異なる支援方法を利用する学習者の行動を比較したり、学習継続に関するアンケート調査を実施したりすることが考えられます。

ただし、実際の研究計画では、AIによる提案の仕組みや、比較対象、評価指標などをさらに具体化する必要があります。

HCI・ユーザー中心デザインのテーマを絞る方法

HCIやユーザー中心デザインに関心がある場合には、「使いやすいシステムを開発したい」という目標から研究テーマを考えることがあります。

しかし、使いやすさという言葉は幅広く、何を評価するのかが明確でない場合があります。

例えば、スマートグラスの操作方法を研究したい場合には、利用者がどのような場面で操作するのかを設定します。

さらに、音声操作、視線操作、ジェスチャー操作など、比較したい操作方法を限定することが考えられます。

すると、「歩行中のスマートグラス操作において、音声操作とジェスチャー操作が利用者の操作負担に与える影響」という研究テーマの候補が考えられます。

このように、対象となるデバイス、利用場面、操作方法、評価項目を具体化することで、HCIの研究テーマを絞り込みやすくなります。

起業・スタートアップ研究のテーマを絞る方法

KMDで起業や新規事業開発の研究テーマを具体化するイメージ

起業やスタートアップに関心がある場合にも、研究テーマの絞り込みは重要です。

例えば、「スタートアップの成功要因を研究したい」というテーマでは、対象となる企業や成功の定義が広すぎます。

そこで、まず対象とする企業を絞ります。

例えば、大学発の技術系スタートアップを対象とすることが考えられます。

次に、企業活動のどの段階に注目するのかを決めます。研究成果の事業化、初期顧客の獲得、資金調達など、さまざまな切り口があります。

例えば、「大学発技術系スタートアップが初期顧客を獲得する際に、研究者と顧客のコミュニケーションが果たす役割」というテーマであれば、研究対象と検討する課題が明確になります。

ただし、企業へのインタビューや内部情報の収集が必要になる場合には、調査協力を得られるかどうかも検討する必要があります。

「最終的に実現したいこと」と「大学院で研究すること」を分ける

研究テーマを絞り込む際には、将来的に実現したい大きな目標と、大学院で実際に取り組む研究の範囲を区別することが重要です。

例えば、「誰もが利用しやすいデジタル社会を実現したい」という目標を持つことは、研究への強い動機になります。

しかし、その目標を一つの修士研究ですべて実現することは現実的ではありません。

そこで、大学院では「高齢者がオンライン行政手続きを利用する際の操作負担を軽減する方法」のように、具体的な課題へ焦点を当てることが考えられます。

大きな目標と個別の研究テーマは、対立するものではありません。

研究計画書では具体的な研究内容を示し、志望理由ではその研究を通じて将来的に何を実現したいのかを説明することで、両者を結びつけることができます。

研究テーマは問いの形にすると整理しやすい

研究テーマを絞り込む際には、最終的に「何を明らかにしたいのか」という問いの形で説明できるかを確認しましょう。

例えば、「VRを利用した新しい教育システムの開発」というテーマは、制作するものを示しています。

しかし、それだけでは研究として何を明らかにするのかが十分に伝わらない場合があります。

そこで、「VRによる三次元的な情報提示は、従来の教材と比較して学習者の空間理解にどのような影響を与えるのか」という問いへ発展させることが考えられます。

この問いであれば、比較対象や評価方法を検討しやすくなります。

研究テーマを絞り込む際には、単に対象を限定するだけでなく、研究によって明らかにしたいことを具体化する必要があります。

研究方法から逆算して範囲を調整する

研究テーマを絞る際には、どのような方法で検証するのかを考えることも有効です。

例えば、利用者の行動を研究する場合には、実験やアンケート調査、インタビューなどの方法が考えられます。

一方、企業活動を研究する場合には、事例研究や経営者へのインタビュー、公開資料の分析などが候補になります。

また、新しいインターフェースを研究する場合には、試作品の開発と利用者による評価を組み合わせることも考えられます。

研究方法を検討することで、必要な設備やデータ、協力者などが見えてきます。

その結果、当初考えていた研究テーマが広すぎることに気づく場合もあります。

研究テーマと研究方法は別々に決めるのではなく、相互に調整しながら具体化することが重要です。

評価指標を決めると研究の焦点が明確になる

研究テーマを具体化するうえで、何を評価するのかを考えることも重要です。

例えば、「使いやすいインターフェースを開発する」という目標がある場合には、使いやすさをどのように評価するのかを考える必要があります。

操作時間、エラーの発生回数、操作に必要な手順、利用者の主観的な負担など、さまざまな評価項目が考えられます。

また、教育に関する研究では、理解度、学習継続、学習意欲などが評価対象になる場合があります。

ただし、評価項目を増やしすぎると、研究範囲が広がってしまうことがあります。

研究目的に直接関係する指標を優先し、何を明らかにするために測定するのかを説明できるようにしましょう。

先行研究を調べながら研究範囲を絞る

研究テーマを絞り込む際には、関連する先行研究を調べることも欠かせません。

例えば、VRを利用した教育に関心がある場合には、すでにどのような学習効果が検証されているのかを確認します。

また、HCIに関心がある場合には、既存のインターフェース研究でどのような評価方法が使われているのかを調べることができます。

先行研究を確認することで、すでに明らかになっていることと、まだ十分に検討されていない課題を整理できます。

ただし、研究が行われていないという理由だけで、そのテーマに価値があるとは限りません。

なぜその課題を研究する必要があるのか、既存の研究に対してどのような新しい知見を加えられるのかを考えることが重要です。

修士課程の研究期間から逆算する

研究テーマを絞る際には、大学院で利用できる研究期間を意識することも重要です。

例えば、複数の技術を組み合わせた大規模なシステムを開発し、多数の利用者を対象に長期間の実験を行う計画は、限られた研究期間では実現が難しい場合があります。

そのため、研究計画を考える際には、必要な技術の習得、先行研究の調査、試作品の開発、実験、分析、論文執筆などにどの程度の時間が必要なのかを整理しましょう。

また、研究対象となる利用者や企業への協力依頼に時間がかかる場合もあります。

研究期間内に何を実施できるのかを考えることで、現実的な研究範囲を設定しやすくなります。

自分のスキルから研究テーマの実現可能性を考える

研究テーマを絞り込む際には、自分が現在持っている知識や技術も重要な判断材料になります。

例えば、VRシステムを開発する場合には、プログラミングや3Dコンテンツ制作などの知識が必要になる可能性があります。

また、AIを利用する場合には、データ処理や機械学習に関する基礎知識が求められる場合があります。

さらに、利用者を対象とした調査を行う場合には、調査設計やデータ分析などの能力が重要になります。

もちろん、大学院に進学してから新しい技術を学ぶことも考えられます。

しかし、研究期間の大部分を基礎技術の習得に費やすことになる場合には、研究計画を見直す必要があるかもしれません。

現在のスキルと、入学後に習得する必要があるスキルを区別して整理するとよいでしょう。

研究に必要な設備や協力者を確認する

研究テーマの実現可能性を考える際には、設備や研究協力者の確保も重要です。

例えば、VRやハプティクスの研究では、専用の機材や開発環境が必要になる場合があります。

また、教育に関する研究では、学校や学習者の協力が必要になることがあります。

企業活動を対象とする研究では、企業へのインタビューや資料の収集が必要になる場合もあります。

こうした条件を十分に確認しないまま研究計画を立てると、実際の研究を進める段階で問題が生じる可能性があります。

研究計画書の作成段階では、必要な設備やデータ、研究協力者について整理し、実現可能な方法を検討することが大切です。

研究倫理や個人情報の扱いも考慮する

研究テーマを絞り込む際には、研究倫理や個人情報の取り扱いについても検討する必要があります。

例えば、利用者の行動データや身体情報を取得する研究では、研究参加者への説明や同意、データの管理方法などが重要になります。

また、教育に関する研究で未成年者を対象とする場合には、研究の実施にあたって追加の配慮が必要になることがあります。

企業の内部情報を扱う場合にも、情報の機密性や利用許可について検討する必要があります。

研究テーマが魅力的であっても、必要な倫理上の手続きや協力体制を整えられなければ、計画どおりに研究を進めることは難しくなります。

こうした条件を早い段階から考慮することも、研究範囲を現実的に設定するための重要な視点です。

絞り込んだ研究テーマとKMDの教員の専門分野を比較する

研究テーマを具体化できたら、KMD公式サイトに掲載されている教員の専門分野と照らし合わせてみましょう。

例えば、VRや触覚技術に関心がある場合には、ハプティクスや身体情報学などの研究分野が参考になります。

また、利用者の体験やインターフェースに関心がある場合には、HCIやユーザー中心デザインなどの専門分野を確認することが考えられます。

教育とテクノロジーに関心がある場合には、学習科学や教育工学に関係する研究を調べることもできます。

ただし、教員の専門分野が近いという理由だけで、希望する研究指導を受けられるとは限りません。

現在の研究活動や研究指導体制について、公式サイトや説明会などで確認することが重要です。

研究テーマを絞りすぎた場合の問題

研究テーマを絞り込むことは重要ですが、対象を限定しすぎることにも注意が必要です。

例えば、特定の機種の特定の操作画面について、非常に限られた条件だけを調べる研究では、その結果がどのような学術的な意義を持つのかを説明しにくい場合があります。

もちろん、対象が狭い研究であっても、重要な知見が得られることはあります。

大切なのは、研究対象の狭さそのものではなく、その研究によって何を明らかにできるのかという点です。

例えば、特定の操作方法を研究する場合でも、その結果がインターフェース設計の一般的な原則を考えるうえで役立つのであれば、研究としての意義を説明できます。

研究テーマを絞り込む際には、具体性と学術的な意義の両方を意識することが重要です。

研究テーマの新規性はどこにある?

研究テーマを具体化した後には、その研究にどのような新規性があるのかを考える必要があります。

新規性とは、必ずしも世界で初めての技術を開発することだけを意味するものではありません。

例えば、既存の技術を新しい対象や利用場面へ応用し、その効果を検証することにも研究上の意義がある場合があります。

また、従来の研究とは異なる評価方法を用いたり、これまで十分に検討されていなかった利用者の体験を調べたりすることも考えられます。

ただし、新しい対象に適用したというだけで、必ず研究上の新規性が認められるわけではありません。

先行研究を確認し、自分の研究がどのような知見を加えるのかを説明できるようにすることが重要です。

研究テーマを絞り込むための5つの質問

研究テーマが広すぎると感じた場合には、次の5つの質問を自分に投げかけてみましょう。

一つ目は、「誰を対象に研究するのか」という質問です。研究対象となる利用者や組織、集団を具体的にします。

二つ目は、「どのような課題を扱うのか」という質問です。研究によって明らかにしたい問題を整理します。

三つ目は、「どのような技術や方法を利用するのか」という質問です。研究目的に必要な手段を検討します。

四つ目は、「何を評価するのか」という質問です。研究成果をどのように確認するのかを考えます。

五つ目は、「なぜその研究が必要なのか」という質問です。先行研究や社会的な背景との関係を整理します。

これらの質問に具体的に答えられるようになると、研究テーマの範囲が明確になりやすくなります。

研究計画書では絞り込んだ過程も活かす

研究テーマを絞り込む過程で考えた内容は、研究計画書の作成にも役立ちます。

例えば、なぜその研究対象を選んだのかという理由は、研究背景や研究目的の説明につながります。

また、なぜその技術や研究方法を利用するのかという理由は、研究方法の説明につながります。

さらに、先行研究を調べる中で見つけた課題は、研究の必要性や新規性を説明する材料になります。

ただし、研究計画書に検討過程をすべて書く必要はありません。

最終的には、研究背景、目的、方法、期待される成果が論理的につながるように整理することが重要です。

志望理由書と研究計画書の役割を区別する

研究テーマを絞り込む際には、志望理由と研究計画の役割を区別して考えることも有効です。

例えば、「デジタル技術によって教育格差を縮小したい」という大きな目標は、大学院への進学を考える動機として説明できます。

一方、研究計画では、「社会人のオンライン学習において、AIによる学習支援が学習継続に与える影響」のように、具体的な研究対象と問いを設定することが考えられます。

大きな目標と個別の研究テーマがどのようにつながっているのかを説明できれば、志望理由と研究計画の一貫性が高まります。

なお、実際に提出する書類の名称や形式、記載内容については、必ず受験年度の募集要項を確認してください。

面接では研究テーマを絞った理由も説明する

大学院入試で面接や口述試験が実施される場合には、研究テーマの内容だけでなく、なぜその範囲に絞ったのかを説明できるようにしておくことも重要です。

例えば、「なぜその対象者を選んだのか」「なぜその技術を利用するのか」「ほかの研究方法では難しいのか」といった質問が考えられます。

こうした質問に答えるためには、研究テーマを決めた理由を自分の言葉で説明できることが大切です。

また、研究計画に限界がある場合には、その限界を理解したうえで、どこまで明らかにできるのかを説明することも重要です。

研究テーマを絞り込む過程で考えた内容は、面接への準備にもつながります。

絞り込みは一度で終わらせず、書きながら見直す

研究テーマの絞り込みは、一度で完成するとは限りません。

最初に考えたテーマを文章にしてみると、研究対象が曖昧だったり、研究方法が十分に具体化できていなかったりすることに気づく場合があります。

そのような場合には、研究目的や方法を見直し、必要に応じて研究範囲を調整しましょう。

また、先行研究を調べることで、当初考えていた課題がすでに十分に研究されていることが分かる場合もあります。

その場合には、研究対象や評価方法を変更することで、新しい研究上の問いを見つけられる可能性があります。

研究計画書は、最初から完成した文章を書くのではなく、調査と修正を繰り返しながら具体化していくことが大切です。

出願準備では研究テーマの検討期限を決める

研究テーマを絞り込むことに時間をかけすぎると、ほかの出願準備が後回しになってしまう場合があります。

そのため、出願時期から逆算して、研究テーマの検討に使える時間を把握しておくことが重要です。

例えば、最初の段階では研究テーマの候補を複数挙げ、次の段階では先行研究や教員の専門分野を調べ、その後に研究計画書の草案を作成するという進め方が考えられます。

また、研究テーマの検討と並行して、出願資格や提出書類、英語に関する要件なども確認しておく必要があります。

研究テーマを完璧にしてからほかの準備を始めるのではなく、全体のスケジュールを意識して進めることが大切です。

まとめ

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)の研究計画書で研究テーマが広すぎる場合には、まず研究対象と課題を具体化することが重要です。

「誰の」「どのような課題」を研究するのかを明確にし、その課題を検討するために必要な技術や研究方法を整理しましょう。

また、将来的に実現したい大きな目標と、大学院で実際に研究する範囲を区別することも大切です。

研究テーマを絞り込む際には、研究期間、自分のスキル、利用できる設備やデータ、研究協力者などを考慮し、実現可能性を検討する必要があります。

一方で、研究範囲を限定しすぎると、研究としての意義を説明しにくくなる場合もあります。具体性と学術的な意義の両方を意識しながら、研究テーマを調整していきましょう。

そして、最終的には「何を作るのか」だけでなく、「何を明らかにするのか」という研究上の問いを説明できる状態を目指すことが重要です。

研究テーマの絞り込みは、一度で完成させる必要はありません。先行研究の調査や研究計画書の作成を通じて、少しずつ具体化していきましょう。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、試験内容、カリキュラム、教員の所属・専門分野・研究指導体制などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。