KMDの研究計画書「研究方法」はどこまで具体的に書く?

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院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDの研究計画書「研究方法」はどこまで具体的に書く?」です。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)への進学を目指して研究計画を考える際、多くの受験生が悩むのが「研究方法」をどこまで具体的に書くべきかという問題です。

研究テーマや研究目的は決まっていても、「入学前に実験方法まで決める必要があるのか」「開発するシステムの仕様はどこまで書くべきか」「まだ使ったことのない技術を研究方法に含めてもよいのか」といった疑問が生じることがあります。

KMDでは、情報技術、デザイン、メディア表現、経営など、複数の領域を横断する研究が考えられます。研究テーマによって適切な方法は異なり、プロトタイプ制作を中心とする研究もあれば、利用者調査やインタビュー、事例分析などを中心とする研究もあります。

研究方法で重要なのは、専門的な技術を数多く並べることではありません。研究目的を達成するために、何を、どのような順序で実施し、得られた結果をどう分析するのかを説明できることです。

今回は、KMDの研究計画を考えるうえで押さえておきたい研究方法の具体性や書き方について、研究分野別の例も交えながら解説します。

研究計画書における「研究方法」とは?

研究方法とは、設定した研究目的を達成するために、具体的にどのような調査、開発、実験、分析などを行うのかを説明する部分です。

例えば、研究目的が「VRによる三次元的な情報提示が学習者の空間理解に与える影響を明らかにする」であれば、その影響をどのように検証するのかを考える必要があります。

VR教材を制作するだけではなく、どのような学習者を対象にし、何と比較し、どのような指標で理解度を評価するのかを検討します。

研究方法は、研究目的と実際の研究活動を結びつける役割を持っています。研究目的が明確であっても、方法が曖昧なままでは、その研究をどのように進めるのかが伝わりにくくなります。

研究方法はどこまで具体的に書けばよい?

研究方法の具体性を考える際には、「読み手が研究の進め方をイメージできるか」を一つの目安にするとよいでしょう。

例えば、「AIを利用して学習支援システムを開発し、効果を検証する」という説明では、研究の大まかな方向性は伝わります。

しかし、誰を対象とするのか、どのような機能を開発するのか、何を効果として評価するのかが分かりません。

そこで、「社会人学習者を対象に、AIによる学習計画の提案機能を試作する。その後、利用者による試用を通じて、学習計画の実行状況や利用者の評価を調査する」と具体化することが考えられます。

このように、研究対象、実施する内容、評価方法を説明することで、研究の進め方が明確になります。

ただし、研究計画書の提出段階で、すべての技術仕様や実験条件を確定させる必要があるとは限りません。まずは研究の基本的な手順と、その方法を選ぶ理由を説明できる状態を目指しましょう。

「まず何をして、次に何をするか」を示す

KMDの研究計画書で研究の段取りを整理するイメージ

研究方法を書く際には、実施する作業を順序立てて説明することが重要です。

例えば、プロトタイプ制作を伴う研究であれば、最初に先行研究や既存の技術を調査し、次に研究対象の課題を整理するという流れが考えられます。

その後、課題に対応するプロトタイプを設計・制作し、利用者による評価を実施します。

最後に、得られたデータを分析し、研究目的に対してどのような知見が得られたのかを考察します。

こうした段取りを示すことで、研究の各段階がどのようにつながっているのかを説明できます。

「まず」「次に」「その結果を踏まえて」「最後に」といった接続表現を活用すると、文章だけでも研究の流れを伝えやすくなります。

研究方法を書く前に研究目的を確認する

研究方法を考える前には、研究目的を改めて確認しましょう。

例えば、研究目的が「スマートグラスの操作方法が利用者の操作負担に与える影響を明らかにする」である場合、研究方法には操作負担を評価するための手順が必要になります。

一方、研究方法に新しいスマートグラスの開発工程だけが書かれている場合には、研究目的と方法が十分に対応していない可能性があります。

研究目的に対して必要なデータは何か、そのデータをどのように収集するのかを考えることで、適切な研究方法を検討しやすくなります。

研究方法を書き始める前に、「この方法で研究目的に答えられるか」という問いを確認することが大切です。

先行研究の調査も研究方法の一部になる

研究方法というと、実験やシステム開発を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、先行研究の調査も研究を進めるうえで重要な活動です。

例えば、VRを利用した教育研究であれば、既存のVR教材や学習効果に関する研究を調べる必要があります。

HCIの研究であれば、インターフェースの設計方法や利用者評価に関する先行研究が参考になります。

また、起業やスタートアップを対象とする研究では、事業化や顧客開発に関する既存の研究を確認することが考えられます。

研究計画書では、どのような分野の先行研究を調べ、その成果を研究設計にどう活かすのかを簡潔に説明するとよいでしょう。

プロトタイプ制作では何を書く?

KMDへの進学を考える方の中には、新しいシステムやインターフェース、デジタルサービスなどの制作を研究に取り入れたい方もいるでしょう。

その場合には、何を制作するのかだけでなく、なぜその制作物が研究に必要なのかを説明することが重要です。

例えば、スマートグラスの操作方法を研究する場合には、複数の操作方式を比較するための試作システムを開発することが考えられます。

研究方法では、どのような操作機能を実装し、それを使って何を検証するのかを示します。

ただし、研究目的と直接関係しない細かな画面仕様や機能を大量に書く必要はありません。

研究に必要な機能を中心に説明することで、制作物の位置づけが明確になります。

制作だけで終わらず検証方法まで考える

プロトタイプ制作を伴う研究では、制作後にどのような評価を行うのかを考えることが重要です。

例えば、新しいインターフェースを制作した場合、その操作方法が利用者にどのような影響を与えるのかを調べることが考えられます。

操作時間やエラーの発生回数を測定したり、利用者へのアンケートを実施したりする方法が候補になります。

また、利用者の行動を観察することで、数値だけでは把握しにくい問題を見つけられる可能性もあります。

重要なのは、評価方法が研究目的に対応していることです。

「何を作るか」と「作ったものを通じて何を明らかにするか」を区別し、制作と検証の関係を説明しましょう。

研究対象者はどこまで具体的に設定する?

利用者調査や実験を予定している場合には、研究対象者についても説明する必要があります。

例えば、「利用者を対象に評価する」という表現だけでは、どのような人に協力してもらうのかが分かりません。

そこで、「オンライン学習を利用している社会人」や「スマートグラスの操作経験が少ない成人」など、研究目的に関係する条件を設定することが考えられます。

対象者を設定する際には、なぜその人たちを対象にする必要があるのかを説明できることが重要です。

また、研究協力者を実際に確保できるかどうかも検討する必要があります。

出願段階で人数を確定できない場合でも、対象者の条件や募集方法の見通しを整理しておくとよいでしょう。

評価指標は研究目的に合わせて選ぶ

研究方法では、何を評価するのかを具体的にすることも重要です。

例えば、HCIの研究で操作負担を検討する場合には、操作時間、エラーの発生回数、利用者の主観的な負担などが評価項目として考えられます。

教育に関する研究では、理解度、学習継続、学習行動などを評価する場合があります。

ただし、複数の評価指標を設定する場合には、それぞれが何を測定するのかを理解する必要があります。

例えば、学習意欲が高いことと、実際に学習を継続できていることは同じではありません。

研究目的に対応する指標を優先し、なぜその指標を用いるのかを説明できるようにしましょう。

比較対象を設定すると研究方法が具体化する

研究方法を検討する際には、何と比較するのかを考えることも有効です。

例えば、VR教材の効果を検討する場合には、従来の教材を利用する場合と比較する方法が考えられます。

また、スマートグラスの操作方法を研究する場合には、音声操作とジェスチャー操作を比較することが考えられます。

比較対象を設定することで、研究によって明らかにしたい違いや関係が具体化します。

ただし、比較対象の選び方によって研究結果の解釈は変わります。研究目的に対して適切な比較になっているかを検討することが重要です。

AIを利用した教育研究の方法例

AIを利用した教育研究で試作と評価を行うイメージ

ここでは、「AIによる学習計画の提案が社会人学習者の学習継続に与える影響を明らかにする」という研究目的を例に考えてみましょう。

第一段階では、オンライン学習の継続やAIによる学習支援に関する先行研究を調査します。

第二段階では、学習計画を提案する試作システムを設計し、必要な機能を実装します。

第三段階では、社会人学習者による試用を行い、学習計画の実行状況や利用者の評価を収集します。

第四段階では、収集したデータを分析し、AIによる提案が学習継続にどのような影響を与えるのかを検討します。

実際の研究計画では、比較対象や試用期間、評価指標などをさらに具体化する必要があります。

このように段階を分けて説明することで、研究の進め方が伝わりやすくなります。

VR・XRを利用した研究方法の例

VRやXRを利用した研究では、開発する体験環境と評価方法の関係を整理することが重要です。

例えば、「VR空間における身体動作の共有が遠隔共同作業に与える影響を明らかにする」という研究目的を考えてみましょう。

まず、遠隔共同作業や身体動作の共有に関する先行研究を調査します。

次に、身体動作を共有できるVR環境を試作し、共同作業の課題を設定します。

その後、身体動作を共有する条件と共有しない条件を比較するなどして、作業の進め方や参加者の評価を調べる方法が考えられます。

ただし、具体的な実験条件や評価指標については、先行研究を踏まえて慎重に検討する必要があります。

HCI・ユーザー中心デザインの研究方法の例

HCIやユーザー中心デザインに関する研究では、利用者の行動や体験をどのように調べるのかが重要になります。

例えば、「高齢者によるオンライン行政手続きにおいて、画面構成が操作負担に与える影響を明らかにする」という研究目的を考えてみましょう。

最初に、既存のオンライン手続きの画面構成や、関連するユーザビリティ研究を調査します。

次に、異なる画面構成を持つ試作画面を用意します。

その後、研究対象者に一定の操作課題を実施してもらい、操作時間やエラーの発生回数、主観的な負担などを調べることが考えられます。

このように、研究目的に応じて利用者、操作課題、評価項目を具体化することが重要です。

起業・スタートアップ研究の方法例

KMDに関連する研究テーマは、システム開発や実験だけに限られません。起業や事業開発などを対象とする研究では、インタビューや事例分析などの方法も考えられます。

例えば、「大学発技術系スタートアップの初期顧客獲得において、研究者と顧客のコミュニケーションが果たす役割を明らかにする」という研究目的を設定した場合を考えてみましょう。

まず、大学発スタートアップや顧客開発に関する先行研究を調査します。

次に、対象となる企業の選定条件を整理し、公開資料の収集や関係者へのインタビューを検討します。

その後、複数の事例を比較し、顧客とのコミュニケーションにどのような特徴が見られるのかを分析する方法が考えられます。

ただし、インタビューへの協力を得られるかどうかや、企業の機密情報をどのように扱うのかについても検討する必要があります。

アンケートとインタビューはどう使い分ける?

研究方法としてアンケートやインタビューを考える場合には、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

アンケートは、あらかじめ設定した質問を通じて、複数の回答者の傾向を把握する方法として利用できます。

一方、インタビューは、回答者の経験や考え方を詳しく理解したい場合に適しています。

例えば、デジタルサービスの利用状況を幅広く把握したい場合には、アンケートが役立つことがあります。

また、利用者が特定の操作を難しいと感じる理由を詳しく調べたい場合には、インタビューが参考になります。

研究目的によっては、両方を組み合わせることも考えられます。

重要なのは、調査方法の名称を並べることではなく、何を明らかにするためにその方法を利用するのかを説明することです。

定量的な評価と定性的な評価を区別する

研究方法を考える際には、定量的な評価と定性的な評価の違いを理解しておくことも役立ちます。

定量的な評価では、操作時間や回答数、テストの得点など、数値として扱えるデータを用います。

一方、定性的な評価では、インタビュー内容や行動観察の記録などから、利用者の経験や課題を詳しく検討します。

例えば、新しいインターフェースの評価では、操作時間を測定するとともに、利用者が操作中に感じた難しさをインタビューで確認する方法が考えられます。

ただし、複数の評価方法を組み合わせれば必ず研究の質が高まるわけではありません。

研究目的に対して必要なデータを整理し、適切な方法を選ぶことが大切です。

収集したデータをどう分析するかも考える

研究方法では、データを収集する手順だけでなく、そのデータをどのように分析するのかも検討する必要があります。

例えば、複数の操作方法を比較する場合には、各条件で得られた操作時間やエラー数などを比較することが考えられます。

また、インタビューを実施する場合には、発言内容を整理し、共通する特徴や相違点を分析する方法が考えられます。

ただし、統計手法や分析方法は、研究目的やデータの性質に応じて選ぶ必要があります。

出願段階では、すべての分析手順を確定できない場合もありますが、少なくとも収集したデータから何を読み取ろうとしているのかを説明できるようにしましょう。

専門用語は理解したうえで使う

研究方法を専門的に見せようとして、難しい用語を多く使ってしまうことがあります。

しかし、専門用語を正確に理解しないまま使用すると、研究内容の説明が不自然になる場合があります。

例えば、「機械学習」「ユーザビリティ評価」「質的分析」などの言葉を使う場合には、それぞれがどのような方法を指すのかを理解しておく必要があります。

また、面接などで研究方法について質問された際には、自分の言葉で説明できることが重要です。

専門用語を無理に増やすよりも、実施する内容を正確に説明することを優先しましょう。

研究方法を細かく決めすぎる必要はある?

研究計画書の作成段階では、研究方法の細部まで確定できないことがあります。

例えば、利用する機材や開発環境、実験条件などは、入学後に先行研究や研究環境を確認する中で変更する可能性があります。

そのため、研究方法を説明する際には、現時点で想定している方法と、今後検討する必要がある部分を区別するとよいでしょう。

ただし、すべてを入学後に決めるという説明では、研究計画としての具体性が不足します。

現時点での合理的な計画を示したうえで、必要に応じて調整するという姿勢が重要です。

研究方法を変更する可能性はどう説明する?

研究を進める中で、当初想定していた方法を変更することは珍しくありません。

例えば、試作システムの開発が難しいことが分かった場合には、利用する技術や実験方法を見直す必要が生じることがあります。

また、研究協力者を十分に確保できない場合には、調査対象や研究設計を再検討することも考えられます。

研究計画書では、必要以上に変更の可能性を強調する必要はありませんが、現時点での想定であることを適切に説明することは有効です。

研究方法の柔軟性とは、計画が曖昧であることではなく、研究目的を保ちながら適切な方法を選び直せることだと考えましょう。

研究期間から逆算して実現可能性を考える

KMDの研究計画で研究期間と実現可能性を検討するイメージ

研究方法を考える際には、大学院で利用できる研究期間を意識することも重要です。

例えば、大規模なシステムを開発し、多数の利用者を対象に長期間の実験を行う計画は、限られた期間では実現が難しい場合があります。

研究計画を立てる際には、先行研究の調査、開発、実験、分析、論文執筆などに必要な時間を整理しましょう。

また、新しい技術を習得する必要がある場合には、そのための時間も考慮する必要があります。

研究期間内に実施できる範囲を検討することで、研究方法の具体性と実現可能性を高めることができます。

1年目と2年目の研究スケジュールを考える

修士課程の研究計画を考える際には、研究活動を大きな段階に分けて整理する方法があります。

例えば、標準的な2年間の修士課程を想定する場合、前半では先行研究の調査や研究課題の具体化、試作や予備調査などを行う計画が考えられます。

後半では、本格的な実験や調査、データ分析、成果の整理、論文執筆などを進める見通しを立てることができます。

ただし、実際の研究スケジュールは研究テーマや入学時期、履修状況などによって異なります。

研究計画書では、細かな日程を確定することよりも、研究をどのような順序で進めるのかを説明することが重要です。

必要な設備やツールについても整理する

研究方法の実現可能性を考える際には、必要な設備やツールを整理することも大切です。

例えば、VRやXRを利用する研究では、ヘッドセットや開発用ソフトウェアなどが必要になる場合があります。

また、AIを利用する研究では、データの収集や処理に必要な環境を検討する必要があります。

HCIの研究では、試作システムや利用者評価のための環境が必要になることもあります。

ただし、KMDに特定の設備があると確認できていない場合には、利用できることを前提として研究計画を立てないよう注意しましょう。

公式サイトや説明会などを通じて、研究環境について確認することが重要です。

研究協力者を確保できるかも検討する

研究方法によっては、利用者や企業、教育機関などの協力が必要になります。

例えば、教育に関する研究では、学校や学習者の協力を得る必要がある場合があります。

また、企業活動を対象とする研究では、経営者や従業員へのインタビューが必要になることがあります。

研究協力者の確保が難しい場合には、研究方法そのものを見直す必要が生じる可能性があります。

そのため、出願段階から、どのような協力者が必要なのか、どのような方法で協力を依頼するのかを考えておくとよいでしょう。

研究倫理や個人情報の取り扱いにも注意する

利用者調査や実験を予定している場合には、研究倫理や個人情報の取り扱いについても検討する必要があります。

例えば、利用者の行動データや身体情報を収集する研究では、研究参加者への説明や同意、データの管理方法などが重要になります。

また、未成年者を対象とする研究では、追加の配慮や手続きが必要になる場合があります。

企業の内部情報を扱う場合にも、情報の機密性や利用許可を確認する必要があります。

研究計画書では、研究対象や方法に応じて、どのような倫理上の配慮が必要になるのかを整理しておくことが大切です。

想定される課題やリスクも考えておく

研究方法を具体化する際には、研究を進めるうえで想定される課題についても検討しましょう。

例えば、試作システムの開発が想定以上に難しい場合や、研究協力者を十分に確保できない場合などが考えられます。

また、必要なデータを収集できない場合には、研究方法を変更する必要が生じる可能性があります。

こうした課題を考えることは、研究計画を現実的にするために役立ちます。

ただし、研究計画書の中でリスクを長く列挙する必要はありません。

研究の実施に大きく影響する課題を整理し、必要に応じて代替方法を検討しておくとよいでしょう。

研究方法の文章例を考える

ここでは、HCIに関する研究を例に、研究方法の文章を考えてみましょう。

研究目的を「スマートグラスの操作方法が利用者の操作負担に与える影響を明らかにする」と設定します。

研究方法の文章例としては、次のような構成が考えられます。

「まず、スマートグラスの操作方法やウェアラブルデバイスのユーザビリティに関する先行研究を調査する。次に、音声操作とジェスチャー操作を比較できる試作環境を構築する。その後、成人の利用者を対象に操作課題を実施し、操作時間やエラーの発生回数、主観的な負担を測定する。得られた結果を比較・分析することで、操作方式の違いが利用者の操作負担に与える影響を検討する。」

この文章では、先行研究の調査、試作、実験、評価、分析という研究の段取りが示されています。

実際の研究計画では、研究目的や先行研究に応じて、対象者の条件や実験環境、評価指標などを調整する必要があります。

研究方法で避けたい曖昧な表現

研究方法では、「効果を検証する」「データを分析する」「利用者の意見を調査する」といった表現だけで終わらないように注意しましょう。

例えば、「利用者の意見を調査する」という説明であれば、誰を対象に、どのような内容を、どのような方法で調べるのかを考える必要があります。

また、「データを分析する」という説明であれば、どのようなデータを収集し、何を明らかにするために分析するのかを示すことが重要です。

研究方法を具体化する際には、「誰を対象に」「何を実施し」「何を測定し」「どのように分析するのか」という視点で見直すとよいでしょう。

図や模式図を使う場合は出願要項を確認する

研究方法を説明する際には、図や模式図を利用すると研究の流れを伝えやすくなる場合があります。

例えば、システムの構成や実験の手順などは、図を使うことで理解しやすくなることがあります。

ただし、出願書類の形式や使用できる図表については、募集要項や提出書類の指定を確認する必要があります。

図表の使用が認められていない場合や、文章量に制限がある場合には、文章だけで研究方法を説明する工夫が必要です。

その場合には、研究の段階を明確にし、順序立てて説明するとよいでしょう。

面接では研究方法についても説明できるようにする

大学院入試で面接や口述試験が実施される場合には、研究方法について質問される可能性も考えて準備しておきましょう。

例えば、「なぜその方法を選んだのか」「その方法で研究目的を達成できるのか」「必要なデータをどのように集めるのか」といった質問が考えられます。

また、研究期間内に実施できるのか、研究協力者を確保できるのかなど、実現可能性に関する質問が出ることも想定できます。

研究方法を文章として書くだけでなく、その方法を選んだ理由を自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。

研究方法を書き終えた後の確認ポイント

研究方法が完成したら、まず研究目的との対応関係を確認しましょう。

次に、研究の段取りが順序立てて説明されているかを確認します。

また、研究対象者や評価指標、データの収集方法などが具体的になっているかも重要です。

プロトタイプ制作を伴う場合には、制作物を通じて何を検証するのかが説明されているかを確認しましょう。

さらに、研究期間、必要な設備、研究協力者などを考慮し、実現可能な計画になっているかを見直します。

最後に、研究方法で使用した専門用語や評価項目が、研究計画書全体で一貫しているかを確認するとよいでしょう。

まとめ

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)の研究計画を考える際、研究方法は研究目的を実現するための具体的な手順を示す重要な部分です。

研究方法では、使用する技術や調査手法の名称を並べるだけでなく、何をどのような順序で実施するのかを説明することが大切です。

特に、プロトタイプ制作を伴う研究では、制作物の内容だけでなく、それを通じて何を検証し、どのような知見を得ようとするのかを明確にしましょう。

また、研究対象者、評価指標、データの収集方法、分析方法などを整理することで、研究計画の具体性を高めることができます。

一方で、入学前の段階ですべての実験条件や技術仕様を確定させる必要があるとは限りません。現時点での合理的な計画を示しながら、必要に応じて研究方法を調整することも大切です。

研究期間や必要な設備、研究協力者、研究倫理なども考慮し、実現可能な計画を目指しましょう。

研究方法を書き終えたら、「この方法で研究目的に答えられるか」「研究の進め方が読み手に伝わるか」という二つの視点から見直すことをおすすめします。


※本記事は研究計画を考えるための一般的な解説です。KMDの出願書類における項目名や記載形式を指定するものではありません。入試制度、出願資格、提出書類、試験内容、カリキュラム、教員の所属・専門分野・研究指導体制などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。